上野公園にある東京芸術大学美術館で「「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」が開催されました。(10月28日~11月26日) 終了も近い11月24日に行って来ました。入場に多くの人の列ができており、最後尾を示すプラカードには70分待ちと書いてありましたが、この機会を逃すと二度と見ることが出来ないと思い並びましたが、45分ほどで入場できました。
<看板>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/9b/fba85d6ea01e4ed4cbae725ca16afb86.jpg)
日本文化の継承者としての皇室の存在意義はますます高まってきています。近代、特に大正から昭和の初期にかけて様々な皇室への献上品や宮殿の室内装飾作品の制作依頼、買い上げなどが行われ、多くの日本美術工芸品が皇室に納められてきました。しかし、一旦献上されたり買い上げられた美術工芸品は宮殿などに飾られていたため、一般の人々の目に触れる機会がほとんどなく、製作者も二度と目にすることはなかったと言われています。今回の展示は、こうした美術工芸品が皇居外で初めて公開されるものであり、実に意義深いものとなっています。
展示は2部に分かれており「第1章 皇室をめぐる文化政策と東京美術学校」で、展示は29点。 第二部は「大正十三年、皇太子ご成婚奉祝祝」で51点でした。
第一部では、横山大観が昭和15年(1940年)に横山大観が天皇に直接献上した『日出処日本』と、大正4年(1915年)大正天皇の即位を祝して当時の東京市が東京美術学校(現東京藝術大学)に制作委嘱し、大正天皇に献上された衝立 『東京名勝図・萬歳楽図衝立』が特に印象に残りました。 衝立の表面の中央には、東京市の地図(縮尺2万分の1)、周囲には、浅草観音堂などの東京の名勝地が描かれたれた扇面図が配置されています。扇面図は東京市に在住だった15名の名工の作品です。
N.24横山大観『日出処日本』(ハフポスト日本版より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/88/36ca167857c726a1701f78fb5ef33f5f.jpg)
No.17『東京名勝図・萬歳楽図衝立』(NHK日曜美術館より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/e6/12175d603dae9228be6e249b46fa9a5d.jpg)
第二部は、大正13年(1924年)年、当時の皇太子(のちの昭和天皇)のご成婚を祝して献上された品々が展示されており、中でも『御飾棚』(2基)と『二曲御屏風』(二曲一双で2双)が圧巻です。これらは、内閣総理大臣はじめ官吏一同からの献上品で、東京美術学校(東京藝術大学)の第5代校長だった正木直彦氏が全国の各分野を代表する美術工芸家や職人たち135人を終結した国家プロジェクトを組織し、5年の歳月をかけて制作しました。 『御飾棚』は2基あり、皇太子(昭和天皇)献上品には「鳳凰に菊文」が、皇太子妃(香淳皇后)献上品には「鶴に桐文」の蒔絵が施されています。
また、『二曲御屏風』は二曲一双で2双あり、皇太子献上品には腰板の部分が菊花形の透かし彫り、皇太子妃献上品には桐の透かし彫りが各々施されています。二曲一双で24面の扇面と色紙がはめ込まれており、二双全体で48名の名工が参加しています。
No49『御飾棚』(NHK日曜美術館より借用)
左は皇太子献上品、右は皇太子妃献上品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/d3/5c686ec2fcc89c40214b4fa37fe1e949.jpg)
No.72&No73『二曲御屏風』(NHK日曜美術館より借用)
左は皇太子妃献上品、右は皇太子献上品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/ca/90b0afc28240c6455d1ce6b8375ef5c7.jpg)
NO.66『 裁縫箱並ニ道具』(NHK日曜美術館より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/84/dda72e030080fd3800a0a8aa0c9dc31c.jpg)
<東京芸術大学美術館のホームページ>から引用
「およそ 100 年前。大正から昭和最初期の頃に、皇室の方々の御成婚や御即位などの御祝いのために、当代選りすぐりの美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作しました。中には、大勢の作家たちが関わった国家規模の文化プロジェクトがありましたが、今日ではそれを知る者がほとんどいなくなっています。いったん献上されたそれら美術工芸品は、宮殿などに飾り置かれていたために、一般の人々の目に触れる機会が極めて限られてきたからです。
古くから皇室は、日本の文化を育み、伝えてきましたが、近代になってからは、さまざまな展覧会への行幸啓や作品の御買上げ、宮殿の室内装飾作品の依頼などによって文化振興に寄与してきました。皇室の御慶事に際しての献上品の制作は、制作者にとって最高の栄誉となり、伝統技術の継承と発展につながる文化政策の一面を担っていました。
大正期には、東京美術学校(現、東京藝術大学。以下美術学校)5代校長・正木直彦(1862 ~ 1940)の指揮下で全国の各分野を代表する作家も含めて展開された作品がこの時代の美の最高峰として制作されました。本展では、宮内庁に現存する作品とともに、その制作にまつわる作品や資料を紹介いたします。
また本展は、東京美術学校を継承する東京藝術大学の創立130周年を記念して、東京美術学校にゆかりある皇室に関わる名作の数々も合わせて展示いたします。皇室献上後、皇居外で初めて公開される作品を中心に、100年前の皇室が支えた文化プロジェクトの精華をお楽しみください。」
〆
<看板>
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日本文化の継承者としての皇室の存在意義はますます高まってきています。近代、特に大正から昭和の初期にかけて様々な皇室への献上品や宮殿の室内装飾作品の制作依頼、買い上げなどが行われ、多くの日本美術工芸品が皇室に納められてきました。しかし、一旦献上されたり買い上げられた美術工芸品は宮殿などに飾られていたため、一般の人々の目に触れる機会がほとんどなく、製作者も二度と目にすることはなかったと言われています。今回の展示は、こうした美術工芸品が皇居外で初めて公開されるものであり、実に意義深いものとなっています。
展示は2部に分かれており「第1章 皇室をめぐる文化政策と東京美術学校」で、展示は29点。 第二部は「大正十三年、皇太子ご成婚奉祝祝」で51点でした。
第一部では、横山大観が昭和15年(1940年)に横山大観が天皇に直接献上した『日出処日本』と、大正4年(1915年)大正天皇の即位を祝して当時の東京市が東京美術学校(現東京藝術大学)に制作委嘱し、大正天皇に献上された衝立 『東京名勝図・萬歳楽図衝立』が特に印象に残りました。 衝立の表面の中央には、東京市の地図(縮尺2万分の1)、周囲には、浅草観音堂などの東京の名勝地が描かれたれた扇面図が配置されています。扇面図は東京市に在住だった15名の名工の作品です。
N.24横山大観『日出処日本』(ハフポスト日本版より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/88/36ca167857c726a1701f78fb5ef33f5f.jpg)
No.17『東京名勝図・萬歳楽図衝立』(NHK日曜美術館より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/e6/12175d603dae9228be6e249b46fa9a5d.jpg)
第二部は、大正13年(1924年)年、当時の皇太子(のちの昭和天皇)のご成婚を祝して献上された品々が展示されており、中でも『御飾棚』(2基)と『二曲御屏風』(二曲一双で2双)が圧巻です。これらは、内閣総理大臣はじめ官吏一同からの献上品で、東京美術学校(東京藝術大学)の第5代校長だった正木直彦氏が全国の各分野を代表する美術工芸家や職人たち135人を終結した国家プロジェクトを組織し、5年の歳月をかけて制作しました。 『御飾棚』は2基あり、皇太子(昭和天皇)献上品には「鳳凰に菊文」が、皇太子妃(香淳皇后)献上品には「鶴に桐文」の蒔絵が施されています。
また、『二曲御屏風』は二曲一双で2双あり、皇太子献上品には腰板の部分が菊花形の透かし彫り、皇太子妃献上品には桐の透かし彫りが各々施されています。二曲一双で24面の扇面と色紙がはめ込まれており、二双全体で48名の名工が参加しています。
No49『御飾棚』(NHK日曜美術館より借用)
左は皇太子献上品、右は皇太子妃献上品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/d3/5c686ec2fcc89c40214b4fa37fe1e949.jpg)
No.72&No73『二曲御屏風』(NHK日曜美術館より借用)
左は皇太子妃献上品、右は皇太子献上品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/ca/90b0afc28240c6455d1ce6b8375ef5c7.jpg)
NO.66『 裁縫箱並ニ道具』(NHK日曜美術館より借用)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/84/dda72e030080fd3800a0a8aa0c9dc31c.jpg)
<東京芸術大学美術館のホームページ>から引用
「およそ 100 年前。大正から昭和最初期の頃に、皇室の方々の御成婚や御即位などの御祝いのために、当代選りすぐりの美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作しました。中には、大勢の作家たちが関わった国家規模の文化プロジェクトがありましたが、今日ではそれを知る者がほとんどいなくなっています。いったん献上されたそれら美術工芸品は、宮殿などに飾り置かれていたために、一般の人々の目に触れる機会が極めて限られてきたからです。
古くから皇室は、日本の文化を育み、伝えてきましたが、近代になってからは、さまざまな展覧会への行幸啓や作品の御買上げ、宮殿の室内装飾作品の依頼などによって文化振興に寄与してきました。皇室の御慶事に際しての献上品の制作は、制作者にとって最高の栄誉となり、伝統技術の継承と発展につながる文化政策の一面を担っていました。
大正期には、東京美術学校(現、東京藝術大学。以下美術学校)5代校長・正木直彦(1862 ~ 1940)の指揮下で全国の各分野を代表する作家も含めて展開された作品がこの時代の美の最高峰として制作されました。本展では、宮内庁に現存する作品とともに、その制作にまつわる作品や資料を紹介いたします。
また本展は、東京美術学校を継承する東京藝術大学の創立130周年を記念して、東京美術学校にゆかりある皇室に関わる名作の数々も合わせて展示いたします。皇室献上後、皇居外で初めて公開される作品を中心に、100年前の皇室が支えた文化プロジェクトの精華をお楽しみください。」
〆