花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「東京電力の賠償資金捻出に思う。」

2011年09月28日 17時09分22秒 | ちょっと気になること
枝野経済産業大臣やマスコミによる東京電力批判がヒートアップしています。枝野大臣

は、(1)損害賠償請求の手続き書類が分厚く、弁護士の枝野大臣自身でも読みきれな

い、(2)東京電力の役員報酬・従業員の給与が高すぎる、競争が無いのだから国家公務

員並みか独立行政法人並みにすべき、(3)福島第一原子力発電所の手順書が黒く塗られ

てものが提出されている、大臣の職権で黒塗りでない手順書を提出させる、 として、東

京電力に対して改善を要求し、指示を出しています。 個々には最もな指摘です。多くの

国民も枝野大臣は当然のことを指摘していると見ています。 しかし、枝野大臣は管内閣

の官房長官として、菅総理の意を体して東京電力の事故に対応すると共に、“放出されて

いる放射性物質は直ちに健康に影響は無い”と国民を欺く発言を続け、結果、国民を放射

性物質汚染に晒した元凶の一人です。菅内閣総辞職後は国民への謝罪で謹慎するのかと思

いきや、鉢呂氏の突然の辞任という予期せぬ事態があったにせよ、電力業界を主管する経

済産業大臣に就任しました。 枝野氏は福島第一原発事故当時の内閣の主要閣僚として

も、東京電力への憎しみも一段と強いものと感じます。それだけに、経済産業大臣に就任

したときには、東京電力バッシングに走るではないかと危惧していましたが、現実になっ

てきているようです。


さて、生命保険、火災保険など、保険金関係の書類の分かりにくさに嫌気がさした経験を

持っている人は多いと思いますが、TVで放映される東電福島第一原発事故の損害賠償請求

手続きの書類の分厚さには、ため息が出ました。 このような分厚い書類を見ただけで読

む気が失せてしまいそうです。流石に批判が噴出しましたが、今のところ、東電は書類を

薄くし、手続きを簡素化することはせずに、概要版を作成したり、丁寧な説明を行うなど

で対応するようです。   東京電力の言い分では、手続きを“間違いなく厳格に”進め

るために必要ということのようですが、「出来る限り分かりやすく、簡潔に」手続きを進

めることなど、東京電力の方々には全く考慮されなかったようです。 これだけを見て

も、東京電力は殿様体質を変える必要を感じていないように思われます。 被害者への東

電社員の親身になった対応を望みます。


原子力損害賠償支援機構が設立され、賠償に税金が投入されるしくみが出来ました。当

然、東京電力には賠償資金捻出のために“身を削る努力”が求められます。報道によれ

ば、東京電力では賠償資金捻出のために様々な検討が進められているようですし、政府の

第三者委員会の報告書原案も28日の新聞で報道されました。


◆資産の売却―――6,000億円規模捻出。

 ・関係会社・子会社の売却: 2,300億円
 ・保養所・社宅・寮・遊休地、ビルなどの不動産:1,000億円
 ・有価証券:2,700億円

◆人件費の削減――1,000億円捻出。,
  ・2014年末までにグループ人員の14%(7,400人)削減、及び本体人員の10%(3,600
   人)の削減(希望退職の募集と新規採用の抑制)。
  ・企業年金の予定利率引下(現役:2.0%―→1.0%、OB:5.5%―→3.0%)-
   企業年金削減には、現役については労働組合の同意が、また、OBについてはOB全員   の2/3 の同意が必要で、日本航空、パナソニックなど訴訟になった例もある。
 

東京電力が所有している不動産の中に、尾瀬があると報じられ、このブログでも6月19日

に国が率先して買い上げるべきと指摘しました。東京電力が不動産売却を検討している中

で、尾瀬がどのように扱われているか不明ですが、尾瀬の保全のために東京電力が毎年2

億円費やしているようです。尾瀬の年間維持費2億円は金額的にはたいしたことはないか

も知れませんが、「ちりも積もれば山になる」です。  尾瀬は日本国民の貴重な財産で

すので、是非、国で率先して購入すべきと思います。



人件費については、東京電力は、平成23年度については、役員報酬の40~50%削減、一般

社員の年収20%カットを実施していると報じられています。  電力業界、中でも東京電

力の給与水準は元々、産業界では抜きんでていましたので、年収で20%カットしても、他

の業界の水準に近づいただけのことです。 身を削って賠償資金を捻出するという大義名

分のためにも、このカットは暫くの間、続けるべきと思います。 ただし、枝野経済産業

大臣が指摘している、「地域独占で競争がないのだから国家公務員並みか、もしくは、独

立行政法人並みの水準にすべき」というのは、疑問に思います。 都市ガス各社、、JR各

社(JR東日本やJR東海などJR各社は私鉄との一部競合はありますが、法事守られたほぼ実

質的に競争なしです)。 日本航空。全日空という競争会社はありますが、認可業種で法

律により守られている会社です。 他にも、法律でしっかりと守られている会社があるも

のと思われます。  都市ガス各社、JR各社、日本航空など法律で守られている会社の役

員報酬や社員の給与水準は、すべて国家公務員か独立行政法人並みの水準なのでしょう

か?  枝野大臣は、国民から厳しい視線を受けている東京電力を徹底的に追い詰めるこ

とにより、国民の歓心を得、野田内閣の支持率の更なるアップを目論んでいるのかも知れ

ません。



政府やマスコミによる東京電力へのリストラの要求も日増しに強くなってきています。

東京電力が計画している人員の10%削減は、マスコミなどでは甘すぎるとして、さらな

る大幅な削減を要求するべきという論調が大半です。 しかし、福島第一原発事故対応

(事故の収束作業、避難者・被害者等への対応など)、は長期にわたると考えられ、ま

た、通常の業務についても従来とは異なりスムーズに進められなくなっていると思われま

す。さらに、東京電力の将来に悲観し見切りをつける人材の流出も避けられないものと思

われます。 いずれ人員が不足することは目に見えています。 

このような状況のときに、東電本体で10%もの人員削減を本当に行うべきなのでしょう

か。 人員削減の一環として、新入社員の採用抑制を実施しているとも報じられています

が、これも非常に疑問に思います。 新卒社員の採用は従来同様とすべきです。 新卒者

の就職難の今、地域社会で東京電力の存在は大きいものがありますので、この影響を無視

すべきではありません。定年退職による自然減と新卒の採用で、人員的にはバランスを保

ち、原発事故対応等を円滑に行っていくべきと思います。


  
(2011年9月28日 花熟里)
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「服役中の政治家の政治活動は自由なのか?」

2011年09月26日 16時04分34秒 | ちょっと気になること
先週、ちょっと気になる新聞記事を目にしました。それは、受託収賄罪などで服役中の

“鈴木宗男”元衆議院議員が都内のホテルで政治資金パーティーを開いたこと、鳩山由紀

夫元総理、福島瑞穂社民党党首をはじめ多くの政治家が出席しており、小沢一郎代議士が

乾杯の挨拶をしたと報じられています。(9月22日 産経新聞)


鈴木宗男氏の裁判については、マスメディアで様々な意見があることが報じられており、

産経新聞の記事によれば、「本人は収監先からメッセージを寄せ 『 時が必ず真相を明

らかにすると確信している。命ある限り戦う 』と強調 」しているようです。 

我々一般国民には、鈴木宗男氏の裁判の真相などは知る由もありません。 裁判が不当で

冤罪であると批判することは“日本では自由”です。 裁判上は再審という手続きもある

と思いますが、しかし、鈴木宗男氏は判決を受け入れ、裁判は確定し収監されたのです。

政治家が法に触れる政治活動で実刑判決を受け服役しているときでも、服役中の政治活動

は自由に行ってもよいのでしょうか?   また、暴力団組長や大幹部が収監中に配下の

組員に“公然と様々な指示を行う”のも自由(許される)なのでしょうか。  


収監されていても従来同様の言動が許されるならば、全く罪を悔いていないことになりま

す。 収監すると言うことは、単に身柄を拘束する(自由を束縛する)だけが目的なので

しょうか。我々一般人の感覚からすると、「 死刑は別にして、刑務所は改悛させるため

の教育を行うところであり、本人は罪を悔いて身を律する」ものと思っています。 鈴木

宗男氏の政治資金パーティーを見る限りでは、このような考えは間違っている思わざるを

得ないようです。


さらに、鈴木宗男氏のパーティーに、与野党の現職の大物政治家、しかも政権与党の有力

政治家が出席していたことも驚きです。政治家、とりわけ政権与党の大物政治家は国会で

立法に大きな影響を与えることが可能です。民主的な手続きで行われ、本人も受け入れた

裁判の結果を無視し、否定するような政治資金パーティーに現職の政治家がすることに

は、疑問を持たざるをえません。 国会議員による司法への一種の介入なのではないので

しょうか。



『主催者は服役中 宗男パーティーに800人 小沢一郎氏もエール』
 産経新聞(2011年9月22日(木))

「受託収賄などの罪で実刑判決が確定して服役中の新党大地代表の鈴木宗男元衆院議
 員(63)が21日、都内のホテルで政治資金パーティーを開いた。パーティーは
 収監後2度目。台風15号が直撃する中、本人不在にもかかわらず鳩山由紀夫元首相
 や福島瑞穂社民党党首ら約800人が出席した。 鈴木元議員は収監先からメッセ
 ージを寄せ「時が必ず真相を明らかにすると確信している。命ある限り戦う」と強調。 小沢一郎元民主党代表は乾杯のあいさつで「政治生活を通じて不撓(ふとう)不屈の
 精神で正義と真実を求めて敢然と戦う人物に2人会った。1人は田中角栄元首相、
 もう1人は鈴木元議員だ」と賛辞を呈した。」


(2011年9月26日 花熟里)
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「ハギ(萩)、オミナエシ(女郎花)、ススキ(芒)」

2011年09月24日 12時18分33秒 | 自然
秋の七草『 萩、女郎花、尾花(オバナ/ススキ)、桔梗、葛、撫子』の一部を散歩途中

で目にしましたので、アップします。


【ハギ(萩)】

民家の庭先で満開のハギを見かけました。あまり見かけない白い花と紅の萩の花です。萩

が咲くと秋を感じます。


(白い花)















(紅い花)

















“マメ科ハギ属の総称。日本各地の山野に広く分布している落葉低木木。
 秋の七草のひとつ。花期:7月~10月。日本のほぼ全域に分布。 
 高さ1~2m。よく株元から叢生し、小枝を出して、分枝する。   
 日本に自生するハギの種類は十数種ある。白い花をつけるシラハギ(白萩)、
 葉が円形のマルバハギ(丸葉萩)。また、仙台市の宮城野にある、
 ミヤギノハギ(宮城野萩)は古来より有名。花が咲く頃には、枝が下垂する。
 他に、ネコハギ(猫萩)、イヌハギ(犬萩)などもある。





【オミナエシ(女郎花)】

道端で見かけました。黄色い小さな粟のような花が印象的です。 最近はなかなか見かけ

ないようになりました。















“オミナエシ属 の多年生植物。原産地;日本、朝鮮半島、中国。
 別名:「粟花」(あわばな)黄色い花が粟に似ているから。
 「思い草」(おもいぐさ)。 毎年夏から秋にかけて小さな黄色い小花が
 一カ所にまとまって咲き、円すい状の形を作る。 草の丈は60-100cm程度。
 根を乾燥させて煎じたものを「敗醤(はいしょう)」といい、昔から、
 腫(は)れ物や、むくみなどに漢方として使われる。名前の「オミナ」は美し
 い女性の意味であるのと、粟のご飯を「おみな飯」と呼んだという説もある。“ 




【ススキ(芒・薄)・オバナ(尾花)】

近所の空き地でススキを見かけました。さらに、雑木林の斜面にススキがありましたが、

近づけないので、ズームで撮影して見ました。かつてはススキは至る所で見かけました

が、今では目に出来るところは、限られるようになりました。


(近所の空き地)















(雑木林の斜面)












“イネ科ススキ属の多年生植物。 別名:萱(かや)、尾花。 全国の草地に
 生育、朝鮮・中国・台湾・マレーシアなどにも分布する。 高さは1 - 2m。
 花は8月頃から咲き始め、はじめは花枝は横に開いているが、やがてすぼんで
 尾状になる。葉は細長く葉の中央には白い筋がある。縁には鋭いギザギザがあり、
 時として手を切ってしまう。 地下には短いがしっかりした地下茎がある。
 そこから多数の花茎を立てる。 かつては農家で茅葺(かやぶき)屋根の材料
 に用いたり、家畜の餌として利用することが多かった。箱根の仙石原や、奈良
 の若草山で行われる「山焼き」は、ススキを野焼きし、ススキの草原を残すため
 のもの。”



(2011年9月24日 ☆きらきら星☆)
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「チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)、マツバボタン(松葉牡丹)、」

2011年09月22日 16時33分38秒 | 自然

【チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)】

チョウセンアサガオが民家の庭先に咲いていました。畑の端で近づけないところに黄色の

「エンゼルトランペット」が多くの花をつけていましたが、ズームでなんとか撮影できま

した。




























【キダチチョウセンアサガオ(エンジェルズ・トランペット)】









  




“原産地は南アジア、ナス科の一年草の植物。別名:マンダラゲ(曼陀羅華)、
 キチガイナス。日本へは江戸時代 (1684年) に薬用植物としてもたらされた。  
 草丈は1mほどで茎はよく枝分かれする。 葉は大型の卵型。夏から秋にかけて
 長さ10~15センチメートルほどの漏斗状の白い花を咲かせる。アトロピンを含
 んでおり、過去には鎮痙薬として使用された。世界初の全身麻酔手術に成功した
 江戸時代の医学者、華岡青洲が精製した麻酔薬が本種を主成分としていた。  
 和名のチョウセンは特定の地域を表すものではなく、単に海外から入ってきた
 ものの意味。アサガオの名を冠してはいるが、花がアサガオに似ていることによる。  キダチチョウセンアサガオ属(ブルグマンシア属、いわゆる「エンジェルズ・
 トランペット」の類)の植物を含めて、区別せずに「ダチュラ」
 「チョウセンアサガオ」などと呼ぶ場合もあるが、キダチチョウセンアサガオ属
 は木本化する多年草のグループであり、種類の異なるものである。類似の種として、
 ヨウシュチョウセンアサガオがある。熱帯アメリカ原産で、日本へは1879年
 (明治12)に渡来した。”



【マツバボタン(松葉牡丹)】

民家の庭先でよく見かけます。










“スベリヒユ科スベリヒユ属の多年草。 南アメリカのブラジルからアルゼンチン
 にかけてが原産。葉は多肉で、高温と乾燥に対して非常に強い。世話のほとんど
 不要なくらい丈夫である。種子は非常に細かく、こぼれ種でもよく繁殖する。
 開花期は6~9月頃。
 葉が松葉に、花が牡丹に似ているのことから名づけられた。夏の暑さや乾燥に強く、 赤色やピンク、黄色、白色それに橙色などの花を咲かせる。別名で「つめきりそう」
 とも呼ばれるが、枝先をツメで切って挿せば簡単に増やせることから“



(3011年9月22日  ☆きらきら星☆)
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「オオカミ、イノシシなど野生動物がペット(家畜)化したナゾ」

2011年09月19日 12時49分22秒 | ちょっと気になること

8月28日、NHK プレミアムで非常に興味をそそる番組が放映されました。番組名は「オ

オカミはこうしてイヌになった―――いま変わる遺伝子の常識」です。


以下番組の内容を交えて記載します。


オオカミとイヌは遺伝子が同じで交配可能。現実に両者の間の子が存在する。 イヌと言

いながら、その姿・形は千差万別で、とても同じイヌとは思えないほど見た目が異なる。

しかし、遺伝子はイヌの種類に関係なくすべて同じ。オオカミからイヌ、そして、様々な

種類のイヌの誕生はどのようにして起こったのか。この疑問に答える研究がロシアで数千

頭のキツネを50年間飼育して行われている。


生物の進化については、遺伝子の「突然変異」という考え方で説明されてきた。

・ジャン=バティスト・ラマルク:生物は環境により変化することを提唱。

・チャールズ・ダーヴィン   :生物は環境に順応し進化する「自然淘汰説」を提唱。

・グレゴール・メンデル    :遺伝子の存在と遺伝子は変わらないことを提唱。

・ユーゴー・ド・フリーズ   :遺伝子の「突然変異」を提唱。


オオカミがイヌになっていった過程は次のように説明される。

オオカミの社会は、最も強いオスをトップした厳格なピラミッド型の社会になっている。

ピラミッドの最下層には若いメスがいることが多く、エサにありつけないことが多々あ

る。

約1万5000年ほど前に、飢えた若いメスはヒトに近づき、エサをもらうようになり、

いつしか、ヒトと行動を共にするようになり、ヒトと暮らす中で子供を産み、育てるよう

になる。 こうした生活を続けていくうちに、オオカミは家畜化し、イヌ になっていっ

た。


ロシアでは、ギンギツネの毛皮が重宝されており、このために、野生のギンギツネを捕獲

して多数飼育していた。ほとんどのキツネは、獰猛で警戒心から人を恐れるが、“非常に

大人しく、人を恐れない” キツネがいることにロシアの細胞学遺伝学研究所の ドミー

トリ・ベリャーエフ が目を付け、遺伝子に原因があるのではないかと興味を持ち、この

大人しいキツネどうしを交配して行った。同氏死去後は助手だった、リュドラ・トルート

氏に引き継がれ、現在まで50年間にわたって、この交配を繰り返している。 大人しい人

懐こいキツネは6世代目には 1.8% だったが、50世代目には 85% になっ

た。 しかも、人懐こいイヌには、尻尾が丸くなる、スター斑点と言われる白い文様があ

らわれる、垂れ耳になる、子供の様な鳴き声をだす、などの特徴が現れる。これらの特徴

は、”子供のキツネ“ に見られる特質でもある。


  4代目  人に尻尾をふるキツネが出現

  5代目  人の臭いに反応してすぐ尻尾を振るキツネが出現     

  6世代  人懐こいキツネ出現率 1.8%
 
 10世代     〃        18%
 
 20世代     〃        35%
 
 30世代     〃        49%
 
 50世代     〃        85%


しかも、ペット化したキツネは骨格的にも変化がみられる。即ち、鼻が短くなり下あごが

出てくる、頭の横幅が広くなり頭が丸みを帯びる、など。鼻が短くなるのは、ブルドッグ

も同じ。


遺伝子の突然変異が起こる確率は、1億分の1。 従って、50世代という超短時間で8

5%ものペット化したキツネが出現することは、1億分の1 という突然変異の考えでは

説明できない早さ。


現在ではこの変化は、「 エピジェネティック(Epigenetics):遺伝の外側 」の変化

と考えられている。即ち、遺伝子が突然変異で変化したものではなく、遺伝子そのものは

変わらないが、遺伝子をコントロールする仕組み(どの遺伝子を働かせるか、どの順番で

働かせるか、など)も遺伝することにより、行動や形質の変化(キツネの子供化)が現れ

ると説明されている。


ヒトとチンパンジーとでは、DNAは98%同じであるが、エピジェネティックな変化によ

り、両者に大きな違いが生じた。 即ち、チンパンジーの遺伝子を引き継いだが、形質が

大きく異なるヒトが誕生した。

子供時代はどの動物でも好奇心が強く、知識を吸収することに旺盛。 子供時代が長いほ

ど、知性は発達させることが出来る。チンパンジーの子供時代は短いがヒトでは長い。こ

の差が知性の差になって現れる。


リュドラ・トルート氏いわく。 「家畜化(domestication)は動物をヒトになれさせる

こと。 文明化は、ヒトがヒトに警戒心を解いて寛容に接すること」 これを受けて、生

物学者の福岡伸一氏は、「人間が自分を家畜化してコミュニケーションを行い、他の人間

を仲間にすることによって文明が出来上がった。」という。



日本人は危機意識が薄いと言われる。他人に対する警戒心が薄いということ。即ち、エピ

ジェネティック的な見方からは、日本人は子供の心を持つ民族ということになる。今後の

人類の未来のカギは、人間の家畜化・ペット化により警戒心を薄めていくことにヒントが


あるのかもしれない。



以上が番組の大要ですが、番組の中で最後に述べられる考えにはドキットさせられます。

他者への警戒心を少なくすることで、対話を生むというのは、そのとおりでしょう。 世

界の人々が『お互いに』警戒心を解き、対話がおこなえれば、世界から紛争の芽を摘み取

ることが出来ます。 

日本は、他民族からの侵略と言えば、鎌倉時代に元寇がありましたが、幸いにも、玄界灘

の水際での戦いで終わっています。太平洋戦争末期に沖縄本島での激しい戦闘で多くの

人々が犠牲になりましたが、日本本土ではないこともあり、どこか他人事のようなところ

があります。また、米軍による日本本土への原爆投下を含む無差別爆撃がありましたが、

陸上戦闘が無かったので、一部では、米軍が解放軍のようにも受け取られています。 こ

れ以外は、他民族からの大虐殺をともなう直接侵略を受けた経験がありません。


従って、本質的に日本人は他民族への警戒心がほとんどありません。他民族や異なる文明

にたいして実に寛容です。中国大陸・朝鮮半島、南蛮、そして、近年には米国はじめ西欧

諸国からもたらされる文化・文明を貪欲に吸収し、日本化してきました。

然し、世界中では、隣国の朝鮮半島の民族、中国大陸の諸民族もその例外ではなく、凄惨

な殺戮が繰り返されており、決して他民族を信用することはありません。従って、自民族

のアイデンティティである文化・文明を頑なに守ります。

ロシアのオオカミのペット化の研究から得られることは、“人間の家畜化”というのは子

供時代を長くし、すべてに興味を持つ子供の時代に様々なことを学ばせることを意味する

ようです。 

別の意味で、現代において、なかなか親離れしない子供、子離れの出来ない親が増えてい

ると報道されるのを目にするにつけ、“子供時代の過ごし方”がきわめて重要になりそう

です。 子供時代に集団(社会)内での生きる術べを、親から学ぶことが必須ですが、集

団から逃避するような孤立化は避けなければなりません。時には、“獅子の子落し”のよ

うな突き放して生き方を体得させる荒業も必要なのです。


いずれにしても、ロシアでのキツネをペット化する50年にもわたる壮大な実験を紹介す


るこの番組は、人間の生き方や人間の未来、将来の国際関係を考える上で、又、人間と動


物の係り方に深刻な一石を投じたものと思います。


(2011年9月19日 ☆きらきら星☆)

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