花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

周到な体制を整えてからTPP参加を!

2011年01月29日 13時45分27秒 | ちょっと気になること

管総理は去る1月24日の通常国会の所信表明演説で、「明治の開国」と「戦後の開国」に

続き、TPP (環太平洋パートナーシップ協定)への参加を、第三の開国である「平成の開

国」と位置づけて、「2011年6月をめどに交渉参加の結論を出す」との方針を表明しまし

た。

TPPを第三の開国と認識するあたり、管総理はなかなか正直な方と思われます。第一の開

国「明治の開国」は米国のペリー提督率いる黒船艦隊の圧力によるものですし、第二の開

国「戦後の開国」は、太平洋戦争に負けてマッカーサー司令官のGHQによるものです。 

そして、管総理が「TPP参加」を第三の開国と強調するのは、強大な農産物・畜産物の輸

出国である米国の圧力によるものであることを如実に表しているからにほかなりません。



オバマ大統領は2012年秋の大統領選挙に向けての実績作りの一環としてTPPへの参加を進

めているではないかと言われています。 環太平洋地域での米国の最も大きな農産物・畜

産物の輸出先である日本をTPPに引きずり込むことが、米国にとって、もっとも魅力ある

ものです。 

中国の経済的な台頭、東シナ海・南シナ海への海洋権益確保への動きなどで沖縄米軍基地

の重要性をいやと言うほど知らされた外交音痴の菅民主党政権は、日本国民が切望する対

等な日米関係の構築ではなく、逆に米国に隷属することこそが日米同盟強化の証と単純に

受け取ってしまったようです。 第三の開国という言葉に酔いしれるばかりで、米国に追

随してTPP参加ばかりを声高に叫ぶ一方、‘参加することが本当に日本にとって良いのか

否’か、さらに、‘参加した場合、しなかった場合’については、どのような具体的な検

討がなされているのでしょうか。


内閣府、農水省、経産省の総論的な試算が発表されています。また、民主党政権の目玉で

ある行政刷新会議では、規制・制度の改革案が遅々ながらも検討されているようで、この

中にはTPP参加した場合に直面する分野への環境整備にもなるものがありそうです。 し

かし、4ヶ月後の6月に参加表明をするという前提ならば、総論ではなく、各分野で各々の

影響を克服する具体策を提示して国民に信を問う時期に来ていると思います。
.
TPPでは加盟国相互の関税撤廃、輸入牛肉などの「非関税障壁」の撤廃、人材の流動化を

はじめ、投資・サービス分野での規制撤廃、知的財産の保護、政府調達の自由化などの各

分野での新しいルール作りが始まります。 要するに、「ヒト、モノ、カネ」の移動を原

則的には完全に自由化するというものです。



(工業分野)

もともと工業立国の日本では、原材料を輸入して製品を輸出するという貿易構造であり、

日本の輸入関税は多くが無税、または5%以下ですから、国際的に見ても不当に関税を高く

していることはなく、TPP参加で輸入価格の大幅な低下は期待できそうにありません。 

逆に輸出先の関税撤廃による輸出拡大が期待できそうにも思えますが、日本製品はそもそ

も価格が高く、さら円高という為替での要因も加わり、韓国製品に太刀打ちできなくなっ

てきていることなどから、関税の撤廃で日本製品の大幅な量的拡大は期待できないと思い

ます。  また、工場の海外移転や外国企業への生産委託が益々進めば、日本の本社を経

由せずに、海外工場(現地法人)から直接に第3国に輸出する比率が大きくなる可能性が

あります。 TPPは事実上、経済や農業などの国境をなくするものですから、企業にとっ

ては、日本に本社を置く必然性がなくなります。 現在でも本社機能も一部ですが海外移

転が行われるようになってきていますので、TPP参加後には本社の場所や役割が大きく変

わってくる可能性もあります。 したがって、長い目で見れば、日本からの工業製品の輸

出が増大するとは必ずしも言えないと思われます。



(人材の流動化)

人材活用の自由化については、外国人労働者受け入れ自由化があります。 看護師や介護

師についてはインドネシア、フィリピンと個別の協定を結んで実施していますが、TPPで

は、参加国すべてが対象になります。 外国人労働者が増えてきた場合には、治安上の問

題も出てくると思います。 外国人労働者受け入れに対する国内の制度などの整備は進ん

でいるのでしょうか?   単純労働者だけではなく、専門職や研究者など、なあらゆる層

で人材の移動を自由化するのがTPPの基本理念でしょうから、これへの対応(法的、制度

的な面を含めて)が検討されているのでしょうか? 日本人の技術者や研究者などが外国

に行くのも増えてくると思われますので、日本国内で優秀な人材不足になる可能性もあり

ます。



(投資・サービス分野)

投資の自由化についてはどうでしょうか。  現在日本で外資が制限、または規制されて

いる分野でも原則、外資が参入できるようになるのがTPPの考えかたですから、TPP参加し

た場合には、分野の制限なく外資が参入してくるのものと思われます。 国家戦略や国家

安全保障との兼ね合いはどうなるのでしょうか?

(医療、金融、放送・通信、宇宙開発、エネルギー、不動産、建設、物流・運輸????)

裕福な外国人が安全で高度な医療を求めて日本に来るようになれば、医療機関は採算の良

い方を優先するようになり、一般の日本国民は病気になっても医療も受けられないことに

なるのではないか、などと不安になります。

外資による土地買い占め、たとえば、米国系中国人(または企業)が沖縄で土地を購入す

る場合にはどうするのか? 

外国の巨大資本がマスコミの経営実権を握ったら、どういうことになるのか?
 


(調達)

公共工事への入札も以前から米国が閉鎖的と批判しています。 TPP参加すれば大規模な

公共工事や調達に米国の大企業が参入する可能性がありますが、入札において外国企業と

日本企業とでいかにして公平を期すか、大きな問題と思います。 言葉の問題、商習慣の

問題 など克服すべき課題は山ほどありそうです。外国企業との競争力をつけるのは良い

ことですが、日本企業が外国企業に敗退して、衰退していくことも考えられます。




(農業分野)

日本では農産物へは高い関税がかけられ国内産業を保護しています。コメ778%、小麦

252%、大麦256%、バター482%、落花生593%。  もし、関税が撤廃された場合には、国

内の農業が壊滅状態になると言うのがTPP反対論者の理由です。 

関税が撤廃されて、安価な輸入米が出回るようになっても、日本の米は美味しく安全です

ので、国民の中には少々高価でも、国産の米にこだわる人もいると思います。  しか

し、日本の企業の海外移転などもあり、国力が低下し、日本人の所得水準も低下していく

可能性がありますので、大多数の日本人には高価な国産米には手が出なくなるのが現実の

姿だろうと思います。 多分、裕福な中国人が日本米を買いあさり、多くの裕福でない日

本国民は、安いものの安全性に問題のあるかもしれない輸入米を口にすることを余儀なく

されるのではないかと思っています。

野菜、果物など他の農産物も同じ運命でしょう。 なにしろ、日本の果物は世界で一番お

いしく、安全ですから。 

補助金漬けに安住していた農業のほとんどは大打撃を受けますが、味や品質を工夫した農

業は生き残る可能性があります。 特に、‘地産地消’に目覚めた人が国産品を利用しま

すので。 しかし、こうした例は少数派であり、安価で安全性に問題があるかもしれない

輸入品を消費する多くの日本人の食の安全が保てなくなること、及び、食料不安になった

時に量の確保が出来るのか、の2点が大問題だと思っています。

また、米国牛肉の海綿状脳症(BSE)で、米国と日本の見解が異なったのは記憶に新しい

ところです。 日本の国内法での規制(検疫)とTPP協定との関係はどうなるのでしょう

か? TPP協定が国内法や国内の政策に優先するようなことになれば、食の安全が保てな

くなり大問題です。
 



上記はほんの一例にすぎませんが、TPP参加した場合には様々な問題に日本として独自の

対応できるのか不明です。 FTA (2国間の自由貿易協定)では、個別品目には例外、特例

を認められますが、TPPでは特例を認めないというのが原則だと思います。 参加国の経

済規模や経済構造を考えると、TPPは実質米国からの農・畜産物をはじめとする輸入完全

自由化と言えます。 韓国は米韓の2国FTSを選択しています。 日本も選択肢のある各国

との個別2国間のFTAを進め、TPPへの地ならしをしていくのが国益に沿っているのではな

いでしょうか。


マスコミも揃ってTPPへの積極的な参加を主張しています。 このままでは、TPP参加で世

論操作されそうで危険です。



政府は、TPP参加のロードマップ [いつ・何が・どうなる] 、影響 [プラス面とマイナ

ス面] 、対策を講じるべき分野とその内容 [特に、食の安全への取り組み、さらに食料

危機時対応] 、TPP協定と国内法の関係 などにつき、総論ではなく、個々に、具体的に

国民に説明すべきです。 その上で、衆議院を解散して国民に参加か否かを問うべきで

す。 



◆TPPの動き

 <参加国 4カ国>

2006/4 シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイが経済連携協定を締結、     
加盟国間で取引されるすべての品目(工業製品、農産物、金融・サービス)について、

2015年までに関税の100%撤廃を目指す。    


 <参加表明国 5カ国> 

2008/11 オーストラリア、ペルー

2009/3 ベトナム

2009/11  米国

2010/10 マレーシア


参加ないし参加表明した9カ国は, 2011/11 ハワイでのAPEC(アジア太平洋経済協力会

議)首脳会議での交渉妥結を目指す。



<参加の意向を表明している国 2カ国>

  カナダ、コロンビア


<参加を検討している国 >

  メキシコ、タイ、日本、[韓国]、[中国]



◆内閣府が発表したTPPの影響◆

★農業分野(参加の場合)

  ・実質GDP 7兆9000億円(1.6%)減

  ・食料自給率 40% から 14% に減少

  ・雇用 340万人減

  ・生産 4兆1000億円減

  (内訳)   
  
   米 90%減、 小麦 99%減、大麦 79%減、砂糖 100%減、牛肉 75%減、
   
   牛乳乳製品加工 56%減、豚肉 70%減、鶏肉 20%減、鶏卵 17.5%減、 

   など計20品目 で4兆1000億円減


★産業分野(参加しない場合)

  ・実質GDP 10兆5000億円(1.53%)減

  ・雇用 81万2000人減


★マクロ経済

 ・実質 GDP 最大3兆2000億円(0.65%)増


  
(2011年1月29日  ☆きらきら星☆)
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火の用心ーー半鐘のある風景

2011年01月22日 12時28分21秒 | 風物
散歩の途中で見かける風景です。

1、火の用心

関東地方は年末から雨が降らず乾燥しています。 湿度が30%程度ということで、

天気予報では毎日、火災への注意を呼びかけています。



<消防団機器庫 屋上の半鐘>

機器庫の屋上に‘半鐘’が吊るしてあるのが見えます。 今は火事があってもこの

半鐘を打ち鳴らすことはありませんが、なかなか風情があります。(先週の土曜日

に近所でボヤがありましたが、この半鐘が鳴ることはありませんでした。)
















<消防団の機器庫の壁の文字>

消防団の機器庫の壁には 火 の文字が大きく書いてあります。センスのある

デザインです。







2、蔦の絡まっている棕櫚

団地の中に見かけたものですが、蔦が絡まって棕櫚が見えなくなっています。 

銀杏の木もあるのですが。
















(2011年1月22日 ☆きらきら星☆)
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「やはり野に置け ‘民主党’」

2011年01月15日 09時48分26秒 | ちょっと気になること
「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」 (滝野瓢水)


「瓢水が遊女を身請けしようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に

咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失

われてしまうという意味。 転じて、ある人物を表舞台に立つべきではなかったと評する

意味合いでも使われる。」(ウィキペディア)



自由民主党議員から.「民主党には政権担当能力がない」と批判されるたびに、民主党議

員は「国民の皆さん、一度政権をとらせて見てください。そうすれば分かります。」と反

論していたのを思いだします。 

族議員が跋扈し、利権政治に堕した自民党政治に飽き飽きしていた国民は、民主党に新し

い息吹を感じ、そのリーダーであった小沢・鳩山・菅氏に日本の進路を託したのでした。

2009年9月の政権交代から1年4カ月経ちましたが、この3名は政争に明け暮れるばかりで、

国民が期待した変革への大胆な取り組みは掛け声だけで、なんら実施されていません。 

「前政権の負の遺産が大きいから」という発言が今もってなされています。 一国の政治

を担うという心構えや気概に欠けているとしか言いようがありません。 


‘脱小沢’が管総理の最大の活路とも言われています。 昨年[2010年]の正月の小沢邸で

の恒例の新年会の模様がテレビで放送されましたが、出席者の中に管氏が映し出されてい

たのを思い出します。 小沢氏にすり寄っていた管氏が今や脱小沢だけが政権維持の頼み

の綱。 管氏は確固とした政治的信念、将来を見越した展望など持ち合わせておらず、そ

の場しのぎの政治家であることを示しています。 昨14日、菅改造内閣が発足しました

が、あまりの無節操な人事にコメントする気にもなれません。



管総理の「今までは仮免許だった」発言には唖然としました。総理大臣に就任した瞬間か

ら即本免許でなければなりません。めまぐるしく動く国際情勢の中で、有効な対策が打て

ずに、‘にやにやとした締りのない顔’しかできない‘仮免許総理’に比べて、韓国の李

明博大統領の凛とした表情、毅然とした対応に比べると、一国の指導者としての資質に歴

然とした差を感じるのは、私だけでしょうか。

総理が1年足らずで変わるのは国際的に見ても良くない、などどいう理由で管総理続投を

擁護する声がマスメディアから流されており、あやうく洗脳されそうですが、「野にいる

のが似つかわしい人」に「1億国民の命・財産、国土・領海」を託してよいのでしょう

か。

日本国民の民度がこの程度のリーダーで十分だということであれば、なんと哀れなことで

しょう。



有田芳生「酔醒漫録」(2011年1月11月号)

『中曽根康弘元首相の情勢分析が新鮮だ。 「政治制度というものが成熟するには3年、

5年かかります。新しい路線を目指して進むという以上は、国民にも忍耐する義務があ

ると私は思いますね。」「あと1年くらいたてば、政権も3年目で、落ち着きと慣れが出

てくる。そうすれば独自の戦略も生まれてくるかな。しかし、首脳部の力量不足が目に

つく」 』




滝野瓢水は、江戸中期(貞亨1年・1684年~宝暦12年・1762年)の俳人。父は運輸業「叶

屋」を営む。 4代目滝新右衛門有恒と称して家業を継ぐが、経営は番頭に任せきりで金

を届けさせ、放蕩三昧の生活を送り財産を使い果たした。78歳で大阪で没。遺骸は大阪市

天王寺区の持明院に埋葬。句碑のあるのは、持明院のほか、鶴林寺(加古川市)、宝蔵寺

(加古川市)、禅昌寺(神戸市須磨区)。



*朝日日本歴史人物事典より

『通称は、叶屋新之丞 のち 新右衛門。 別号は、富春斎、一鷹舍、剃髪して自得。 

播磨国別府(兵庫県加古川市)の富裕な船問屋。 一代で没落させた。

俳諧においては、小西来山系の前句付作者として出発、のち松木淡々に師事。おおむね郷

里を中心として雑俳点者の地歩を固めていった。』



*近世畸人伝(正・続)より

『 播磨加古郡別府村の人。 滝野新之丞、剃髪して自得と言ふ。  富春斎瓢水は俳諧

に称ふる所なり。 千石船七艘もてるほどの豪富なれども、遊蕩のために費しけらし。 

後は貧窶になりぬ。 生得無我にして酒落なれば笑話多し。 酒井侯初めて姫路へ封を移

したまへる比、瓢水が風流を聞し召て、領地を巡覧のついで其宅に駕を留め給ふに、夜に

及びて瓢水が行方ヘしられず。 不興にて帰城したまふ後、 二、三日を経て帰りしか

ば、いかにと問ふに、 其夜、月ことに明らかなりし故、 須磨の眺めゆかしくて、 何

心もなく至りしと言へり。  又近村の小川の橋を渡るとて踏はづし落たるを、其あたり

の農父、もとより見知リたれば、おどろきて立より引あげんとせしに、川の中に居ながら

懐の餅を喰ひて有しとなん。  京に在し日、其貧を憐みて、如流といへる画匠初、橘や

源介といふ。  数十張の画をあたへて、是に発句を題して人に配り給はば、 許多の利

を得給んと教しかば、大に喜び懐にして去りしが、 他日あひて先の画はいかがし給ひし

と問ふに、されば持かへりし道いづこにか落せしと言ひて、如流がために面なしと思へる

気色もなし。 所行、大むね此類なり。 俳諧は上手なりけらし。 おのれが聞ところ風

韻あるもの少し挙。


ある堂上家へ召れし時、

 「消し炭も 袖味噌に付て 膳のうへ」


何某の大納言殿賜し御句

 「名はよもに ひびきの灘の一つ鷹」

といへる、に答へ奉りて、

 「ひとつ鷹 狂ひさめたり 雪の朝」


大坂の知己の者遊女を請んといふを諫て

 「手に取るな やはり野に置 蓮華草」


母の喪に墓へ詣でて、

 「さればとて 石にふとんも 着せられず」


駿河の白隠和尚賞美の句のよし、

 「有と見て 無は常なり 水の月」


達磨尊者背面の図に題す

 「観ずれば 花も葉もなし 山の芋」


京の巴人といふもの病すと聞てのぼりしに、伏見にてはや落命したりと聞きて、

「嘘にして いで逢ふまでの 片時雨」


生涯の秀句と人のいへるは、

 「ほろほろと 雨そふ須磨の 蚊遣哉」
 

七十六、七ばかりにて終れりとぞ。 』



その他の有名な句はつぎの通り。

 「浜までは 海女も蓑着る 時雨かな」

 「蔵売って 日当たりのよき 牡丹かな」

 「本尊は 釈迦か阿弥陀か 紅葉かな」




さだまさし歌う「指定券」と言う歌に、「やはり野におけ れんげ草」というフレーズが

出てきます。 青春のヒトコマですね。


作詞・作曲・歌:さだまさし


「指定券」

もうこれまでねと 君はうつ向いて

左の頬だけで ひっそりと笑った

北口改札を 仔鹿の様に

鮮やかにすりぬけて 出て行った

せめてもの お別れに

一度だけ 振り向いてくれたのに

丁度今着いた 修学旅行の

制服達が 君をかき消して

最後の声さえ 喰べてしまう



長いエスカレーター 昇って降りて

やっとの思いで 出した答え

はじめる前から 終わる旅もある

やはり野におけ れんげ草

せめてもの はなむけに

一度だけ 手を振ってみせた

うしろ姿を つつむ紙吹雪

それは僕の ふるさとゆき

季節はずれの 指定券



(2011年1月15日  ☆きらきら星☆)
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「正月の風景 (写真) 」

2011年01月10日 16時54分38秒 | 風物
1月5日のブログに掲載できなかった正月の様々な風景です。遅ればせながら。

1、自宅ベランダから見る富士山 (1月1日)
 
(朝の富士山――冠雪している姿です。写真では鮮明ではありませんが、実際は大変きれ 
 いでした)






 (夕焼けの富士山――幻想的な美しさです)







2、地元の氏神様「日枝神社」(1月4日)

 (先頭には保育園児が先生の指導を受けながらお参りしていました。 9日にはボーイ

  スカウトの一団、少年野球チームのメンバーが各々指導者に連れられてお参りしてい

  ました。 子供のときからこのような伝統を身につけさせることは重要と思いま

  す。)












 (出店も昨年までと比べて多く出ていたように思います)







3、稲荷神社のお供え (1月4日)
 
(散歩の途中で見かけた近所の小さな‘お稲荷さん’のお供えです)
















4、ナンテン(南天)(12月31日)
 

(近所の方から頂いたナンテンです。 狭い我が家の玄関のところに飾りました。真っ赤

 な実がいっぱいついていました)







(2011年1月10日 ☆きらきら星☆)
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情報端末と人間の機微な感情の伝達

2011年01月08日 12時34分04秒 | ちょっと気になること

去る12月20日付けの日経新聞に「情報端末から距離を」(月読寺住職 小池 龍之介氏)

という興味深い記事が掲載されました。


あるテレビ番組で、『携帯電話の登録名が700~800人で、携帯を片時も離さず、常にだれ

かと通信していないと不安を感じる』という大学生の実態が報道されました。

その昔、「テレビのくだらない番組が増えることに対して、国民の総白痴化運動が展開さ

れている」と警告したのは、故大宅壮一でした。 テレビの場合は画面に釘付けになり、

脳の思考が一時停止するような状態になったり、流される情報に思慮をめぐらすことな

く、ややもすると鵜呑みにすることが多いように見えます。 要するに、自分の頭(脳)を

使って深く考える力が衰える危険性を見越して大宅壮一は警鐘を鳴らしたのでしょうか。 


私は、毎朝起きたらラジオを聴きながらリハビリ体操をしています。 ラジオの場合は、

聞きながら何かが出来るし、ラジオから流れる情報に対して様々な想像をめぐらすことが

出来ます。 ラジオには根強い人気があるのがうなづけます。 


現在は情報端末があふれています。 会社の仕事もパソコンなしではできなくなりまし

た。 社内情報はすべてパソコンやケータイでの伝達になり、文書・資料もパソコンで作

成します。 漢字は変換で処理できるので、自分で書くことがほとんど無くなり、漢字が

読めても書けなくなりました。 私は、漢字にはそれなりに自身を持っていたのです

が。。。。。。。



各企業・官庁などはホームページを通じて情報を発信するようになり、個人はブログやツ

イッターで様々なことを発信しています。 今では、すっかり有名になった就适、求人・

求職もネット情報が主役になっています。

しかしこれらには、自分からアクセスしなければ情報を入手できません。 逆に言えば、

情報端末を利用しなければ、情報過疎になる恐れがあるともいえます。 

ホームページに掲載してあるとか、ブログに書き込んだとか、発信者の一方的な情報発信

が正当化されるようなケースが多くなりました。 社会的に影響が大きな場合に、特定の

アクセスする人だけが知りうる情報の伝達方法を正当化する現状に疑問を覚えます。



最近、秋葉忠利・広島市長が‘来る3月末で退任する’意向をネット動画投稿サイトの

「you tube」で公表しました。秋葉市長によれば、‘テレビの生出演なら検討する余地が

あるが、新聞やテレビ等での記者会見はしない’とのことです。  

また、小沢一郎・元民主党代表もネット動画サイト「ニコニコ動画」に登場して自説を披

歴しています。 小沢氏曰く、「ネットはありのままの情報を伝達してくれる。」  

今後、政治家などが一方通行の意思表示の場である動画を利用するケースが増えてくるよ

うに思います。

かつて、自由民主党の佐藤栄作・元総理大臣が退任にあたって、記者会見を開かず、一人

でMHK(のみ)のテレビカメラの前で淡々と退任の弁を語っている姿が放送されたのを思

い出します。 この時の理由も、‘マスコミ(特に新聞)を通じると、編集されて、正し

く意思が伝えられない’ということだったと記憶しています。


秋葉市長、小沢元民主党代表が、その進退や考え方を動画サイトだけで表明するのは、一

方通行の意思表示として、新しい動画投稿サイトの活用方法なのかもしれませんが、両氏

ともに社会的に影響の大きい公人であり、パソコンを見た限られた人だけが知りうる情報

提供の仕方には疑問が残ります。 佐藤元首相の場合も、テレビの前で一方的に所感を述

べるだけで終わりました。 .これら3名の方は自分の意思を直接に国民に伝えることが出

来て本望かもしれません。 然し、これに対する意見、質問等を受け付け、回答する場は

ありません。あくまでも一方通行の意思表示です。



現在、インターネットが多くの国民に普及してきていますが、インターネットを利用せ

ず、新聞、テレビ、ラジオ等の従来からのマスメディアだけに頼っている方も多いと思い

ます。 ネットでの意見・所信の表明を否定する気持ちはありませんが、選挙で選ばれて

いる政治家など公的存在の人には、マスメディアの前で退任会見を行い、質疑応答を行う

ことの重要性を是非認識していただきたいと思います。

国民の知る権利とは、一方的に情報を知らされることばかりではなく、知らされた情報に

対する疑問・意見などを述べることも含まれていると思います。



子供も外で友達と遊ぶことも少なく、家の中でテレビゲームに熱中している時間が多くな

っていることは以前から指摘されて来ました。 最近、ネットでの株式売買の模様がよく

報道されますし、ネットショッピングも手軽さからか、利用者が益々増えています。

社会とのつながりがネットだけという、情報端末だけで生活している人が相当な数になっ

ているのではないでしょうか。  人との接触の仕方が苦手な人が多くなってきているこ

と、自己中心的ですぐにカットなる人が多くなって来ているのも、情報端末の普及と関係

があるのかも知れません。 殺漠とした味気ない社会になってきています。



メールを送信した場合には相手が読んでいるかとか、返事が遅いなどと気になって仕方が

ありません。  就适している学生やメル友の登録が700~800人という現代の学生は、ケ

ータイを片時も離さずに、メールの確認をするそうです。 ネット中毒とでも言えそうな

現象が発生しています。



佐良直美氏が、12月26日のテレビ番組で、「動物の命の大切なことは、動物と直接振

れって、しぐさや表情からさざまななことを読み取ることにより体得できる。 人の場合

も、人と人とが直接会って話をすることで、様々な感情が伝わり、判断力が養われること

で、人としての成長が得られる。 パソコンや携帯は文字の世界だけであり、感情が伝わ

らない。 人間がだめになるのではないかと思う。 自分ではパソコンはやらない。」と

話していました。


この主張には共感を覚えます。 時にはパソコンやケータイから離れた時間を作るように

心がけるべきと思っています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2010/12/20付 日本経済新聞)

(インタビュー領空侵犯)情報端末から距離を  人と「つながる」は錯覚      

月読寺住職 小池龍之介


 ――スマートフォン人気に異論をお持ちだとか。

「デジタルツールを通じて人と人がつながるといわれますが、それは錯覚です。ネット

空間の情報の海の中で誰もが共通して強い関心を抱くものがあります。それは『自分の所

在』です。自分が人からどう扱われているか、大事にしたいと思われているか……。すご

く気になるのです。皆から認められたいというのは、誰もが抱く気持ちですが、自分あて

のメッセージが生存に役立つ情報だと錯覚されています」


 ――ツイッターやメールですぐに返事が来ないと、寂しくなりますね。

「ネットで何か発信すると10秒後に答えが返ってきたりします。すると、あ、相手をして

もらえた。つながっているんだな、と感じます。その瞬間は気持ちがいい。ここに大きな

ワナがあります。うれしいと感じる脳内の作用に“慣れ”が生じるからです」    

「返事を早くもらえないと不安になり、不信感や怒りに襲われます。しかも次の反応が来

ても前ほどは気持ちよくない。何か足りない感じがして、もっと速く、もっと多く、とい

う循環に入り込みます」
 

――ネット疲れ、ネット中毒という言葉もあります。

「情報端末から得られるのは、主に記号情報です。会話する相手の顔や声はなく、文字や

アイコンだけです。人間の脳は、記号からイメージをバーチャルに再構成する性質を持っ

ています。言語は抽象度が高い伝達手段なので、受けとる側は情報を変形、加工しなけれ

ばならない。いくらでも連想ゲームを発展させることもできます。その作業を行うとき、

私たちの心はとても疲れるのです」


 ――ネットへの依存が高まると、どうなりますか。

「バーチャルな情報処理量が増え、心の負荷が高まり、心が現実からどんどん離れてしま

います。それでも、ちっぽけな快感を得ていないと安心できなくなり、絶えず情報端末に

アクセスするようになる。一瞬の快楽をもたらす脳内物質のドーパミンは、生物の生存に

役立っていますが、野放しにすると暴走します」


 ――とはいえ情報ツールは買い物などに便利です。

「ネット空間で本当に売られているものは何だと思いますか? 実は『自分』が商品にな

っているのです。誰かに見てもらえる。誰かとつながることが商品になっている。つなが

りが欲しいということは、裏を返せば、みんな寂しいということです。寂しさが商売のネ

タになっているといえるでしょう。情報ツールと距離を置かないと、人は現実の身体感覚

を忘れ、言語だけであれこれ考える“脳内生活”になってしまいます」



<聞き手から>

思い当たるふしがある方は多いのではないか。メールやネットの掲示板は気にし始めると

気になって仕方がない。小池氏の著書や座禅道場の人気の裏側には、自分の心の在りかを

見失ったネット空間の迷子が大勢いるに違いない。高機能の情報端末に人間が振り回され

るのでは困る。寂しがっている場合ではない。(編集委員 太田泰彦)


 こいけ・りゅうのすけ 1978年生まれ。山口県出身。東大教養学部卒。東京・世田谷の

月読寺の住職。瞑想(めいそう)の修行を続ける一方、一般向けに座禅の指導をしてい

る。著書『考えない練習』などが反響を呼んだ。




(2011年1月8日 ☆きらきら星☆)
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