2011年7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会で参考人として、児玉龍彦教授(東京大学先端
科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)が、「放射線の健康へ
の影響」について発言しています。知人から紹介されたものですが、公にしてよいという
ことですので、このブログでも取り上げます。
「放射線の健康へ影響」については、TV等に出てきる専門家が、「放射線の影響について
は、はっきりとしたデータはない」というものが多かったように思えます。児玉教授のよ
うに科学的な知見にもとづいて、警告を発したのは初めてではないでしょうか。国会での
このような重大な内容の発言がマスコミなどで取り上げられたのでしょうか。私は気がつ
きませんでしたが。国会での発言内容を文章にしたものがありますし、資料も見るこ
とが出来ますので、じっくりと読んでいただけたらと思います。
以下は児玉教授の発言書き出しからのほんの一部分の転記です。
『我々最初に午前9時ごろ東海村で5μシーベルトという線量を経験しまして、それを第
10条通報という文科省に直ちに通報いたしました。その後東京で0,5μシーベルトを超える線量が検出されました。これは一過性に下がりまして、次は3月22日に東京で雨が降り、0,2μシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。
それでこの時に枝野官房長官が、「さしあたって健康に問題はない」という事をおっしゃいましたが、私はその時に実際はこれは大変な事になると思いました。そこで私どもはアイソトープセンターのいろいろな知識を基に計算してみますと、まず、熱量からの計算では広島原爆の29,6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分の物が漏出していると換算されます。
我々が放射線障害を診る時には総量をみます。東京電力と政府は一体今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、はっきりした報告は全くされておりません。
私どもはアイソトープセンターのいろいろな知識を基に計算してみますと、まず、熱量からの計算では広島原爆の29,6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分の物が漏出していると換算されます。
恐るべきことにはこれまでの知見で、原爆による放射線の残存量と原発から放出された者の放射線の残存量は、一年に至って原爆が3分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の一程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題はチェルノブイリと同様、原爆数10個分に相当する量と原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したという事がまず考える前提になります。
何をやらなければいけないかというと、まず、汚染地で徹底した測定が出来るようにするという事を保証しなくてはいけません。そして先程から食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというものではなしに、今日ではもっと、イメージングベースの測定器というのが遥かに沢山、半導体で開発されています。何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして全国に作るためにお金を使わないのか。3か月経ってそのような事が全く行われていない事に私は満身の怒りを表明します
私の専門は小渕総理の時から内閣府の抗体医薬品の責任者でして、内部被曝問題に関して一番必死に研究しております。内部被曝というものの一番大きな問題は癌です。妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖が盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険をもちます。さらに大人においても増殖が盛んな細胞、たとえば放射性物質を与えると髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮の、これらはいずれも増殖分裂が盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。』
youtube
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html発表資料
http://t.co/P9IS0DV
全文テキスト
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html
児玉さんの息子さんのtwitter発言
twitter内の発言を”まとめ”としてブログ掲載(つまり公開)する件は、ブログ主さんがご本人に確認し許可いただいたものだそうです。
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a_kodama
親父が厚労委員会に参考人として招致されました。東大放射線センター長として、毎週末南相馬に400km車を走らせて、自身で除染にあたったうえでの訴えです。どうか見てやってください。 俺は、この人の息子で良かった。とても多くの方から父の参考人招致について激励の言葉をいただき、感謝の言葉もありません。全ての皆さんにお返事するのが難しいほどですが、全て拝見していますし、父にも伝えます。本当にありがとうございます。
父は、3.11の前に東大のアイソトープセンター長に内定しており、放射線の研究が本業というわけではないのですが、このタイミングで父がなっていたのも何かの巡り合わせか、という気がします。
ちょうど一年前に父から肝臓移植をした母は、おかげさまでかなり体調が回復し、今度仕事にでることになりました。あの時もいろいろな方に激励をいただきました。この一年間本当にいろいろなことがありますが、家族一同支え合ってなんとかやっています。 親父からはいつも、勇気ということを教えられてきた。親父の立場で、公開の場でああしたことをいうのは、どれだけの勇気がいったことだろう。まずはそれをねぎらってあげたい。
親父のスピーチを通して、どうか学者にも社会のため、人のために真摯に仕事をしている人間がいると伝わればと思っています。利権やポジションにとらわれた人間の多さに嫌気がさすこともあると思いますが、物事をよくするために行動することをどうかあきらめないでください。 繰り返しになりますが、父のスピーチに激励をくださった皆様、本当にありがとうございます。きちんと伝えます。 親父のスピーチを見ていただいた方に、一つだけお願いさせてください。
父は影響力のある科学者ですが、同時に病気の妻を抱えた58歳のただの男です。一人ですべてを解決できるわけではありません。本当に状況が良くなるために、一人一人が、できることがあると思います。
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20110729/1311894381
(2011年7月31日 花熟里)