蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

市島邸 再訪(2)  新発田市

2015-05-29 22:11:17 | 古民家、庭園
平成の地震で一番の座敷が倒壊してしまった後には、茶室の水月庵が、この市島邸での一番の見所になっていると思う。
茶室に入るには、その前に結界を超える覚悟の表明を求められる。


それを違和感なく、しかも客に意識させずに用意したのがこの長い廊下だろう。この廊下は、玄関周りの商業的スペースと、その奥にある私的スペースをきっちりと隔てている。


廊下から並行する庭を見れば、人の世の行き来を区切るような橋が設けられている。


この屋敷の庭が面白いのは、屋敷内部の視線に対して、重要な場所では屋敷外部というか庭側からの視点が作り込まれていること。


廊下から水月庵を見渡す。水月庵は、邸内の細い流れの上に位置し、小さな池を眺めるのに絶好の場所である。


池に向かって開け放された開放感は見事だが、おそらく閉じた空間を良しとした茶室の感覚とは少し離れたものかもしれない。まるで、地中海に向かって大きく張り出したテラスのような印象もある。


屋敷の奥から庭に出て、小道をたどれば水月庵の姿を外から味わうことができる一画に足を踏み入れることができる。


この繊細な作り自体が、庵の外からの眺めとして十分な魅力があるように感じた。
ちょうど、低い位置で道を眺めるスポーツカーのコックピットからの視線を楽しむのに対して、そのクルマの外観から全体の配置をめでる視点があるように。





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2 コメント

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Unknown (j-garden-hirasato)
2015-06-01 06:49:33
新発田に、
こんな邸宅がありますか。
知りませんでした。
茶室というには、
かなり斬新な発想で、
オモシロいです。
体感してみたいですね。
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Unknown (kikouchi)
2015-06-01 19:00:20
>j-garden-hirasatoさん
新発田市といっても、清水園のように街の中心にあるのではなく、10kmくらい離れた郊外です。それで、新発田の邸宅という感じがあまりしません。
最初に訪れた時には、庭にちゃんとした石組みもなく、わりと庭への関心の薄い家かと思いましたが、今回よく見てみると、ずいぶんと凝った造りであることが分かりました。
さすが、一時は新潟一と言われた豪農一族です。
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