12月15日(木)
今日は朝一から野田駅カフェへで自費出版についての相談ごと。
大手の自費出版会社が主催するコンクールに小説を書いて応募したが落選。その後しばらくして、その会社から「コンクールには落選されたが、たいへん惜しくて素晴らしい原稿なのでこのまま日の目を見ないのは残念だ。ついては出版費用を負担してもらえれば、書店陳列、新聞広告掲載、マスコミへの宣伝、印税支払い、さらに重版になるば・・・」などの提案が、著者心理をくすぐる原稿の講評付きで送られてきた。子どものころから本が好きで、小説を幾つも書いてきており将来はやがて作家になりたいという希望をずっと持っていて、今回その講評が自分の作品をよく理解してくれたということでとても喜んでいるのだが、このまま提案されているように自費出版してもいいのかどうか、ということで相談に来られたのだ。
自費出版業界では有名な会社なのでネットで調べればすぐにわかる会社だが、送られてきた講評や書類やパンフレットを見せてもらいながら、小説が好きであること、将来は作家になりたいという本人の気持ちを尊重しながら私の経験上の事例なども示しながらいろいろ話した。
そして、もし出すとなれば最終的には契約をしないといけないので、その前に提示額がいくらになるのか確認してみること、何よりも自費出版で妥協して無駄なお金を使うよりも、作家になりたいという希望があるのなら、そのためにどんどん書いてもっとたくさんのチャンスを狙えばいいのではないかと進言しておいた。
小社も自費出版をしているのでこの際、この会社に対する私見を以下に書いておこう。
1.著者に対する会社からの原稿の講評や提案は基本的に営業・セールスの一環。
2.以前、この会社から同じような提案を受け出版を打診された別の人は、約300万円を提示されていた。私から見ればあまりにも高すぎる。結局そこは断わり最終的に小社から50万円(1000部)で出版されている。
3.出版後のことを様々に提案しているが、それがそのまま実現するほど今の書店・出版業界は甘くはない。書かれていることがウソだとは言わないし否定もしないが、あまりにも盛り過ぎではないかという気もする。著者に過度の期待を抱かせるような提案は控えるべきだろう。
4.率直に言って、とにかく本を出したいという著者の思いと期待に付け込むような商売ではないだろうか。詐欺とは言わないが・・・。
因みに、今回の相談者さんはその後すぐに自費出版会社に電話で金額を確認した。やはり思った通りの高額を提示されたので断わると、しつこく「ローンでもいいから」と言われたそうだ。もちろんそれも拒否した。