いつの時代になっても若者たちにとって恋愛や結婚は極めて大きな関心事だ。
実は大阪大学豊中キャンパスに、学生たちから絶大な支持を得ながら、彼ら彼女らの恋愛相談にのっている非常勤講師の先生がおられる。恋愛相談といってもどこかの怪しい小部屋で占い師のように一人ひとりの相談にのっているのではない。ちゃんとした講義の中で、恋に悩める阪大生たちに実に的確なアドバイスをしていらっしゃるのだ。
そしてその講義が「日本国憲法」の授業だということが面白い! この科目は全学共通の講義なのでいろんな学部の主に1年生が学ぶ授業なのだが、優れた授業を実践した教員に贈られる大阪大学共通教育賞を4回も受賞されている。
その講師とは谷口真由美さん(大阪国際大学准教授)。2005年からこの講義を担当されていて、最初の1年目、学生たちの授業への食いつきや出席状態が芳しくなかったことから、2年目から授業の冒頭15分間を「DJ真由美の恋愛相談」タイムとして、出席カードの裏に書かれた学生たちの恋愛相談などに当てることにした。
恋愛相談といっても普通のお悩み相談ではない。憲法13条の「幸福追求権」や24条の「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」などについて考えを深める事例が学生たちの恋愛観や結婚観から様々に浮かび上がり、それが憲法を身近なものとして学生たちが感じてくれることにつながっているのだ。
ということで、これをぜひ本にしましょうと、昨日その講義を初めて聴きに行った。DJ真由美の一部の様子をそのうちにここでも音声付きでご紹介できると思うが、学生たちが思い描いたり希望している何となくフワフワっとした恋愛・結婚観に対する、DJ真由美の極めて実践的なアドバイスは、その切れ味スッキリした語り口がなおさらに説得力を持って若者の心をつかんでいるようなのだ。
さて、DJ真由美タイムの後も引き続き講義を聴いた我が身。学生時代以来の基本的な憲法講義が実に懐かしく感じられた90分間だった。