そう言えば昨日はとても嬉しいことがあった。
それはある著者からの電話だった。
電話口から聞こえてくる実に懐かしい声。
ああ、あの人の声だ! そしてとても驚いた。
というのも、1年以上前だったか、その人がある大病に冒されているということを聞いていたからだ。
それは不治の病といってもいいもので、それを聞いた時は正直、もう会えないのだろうなあと、残念で悲しい気持ちになった。
とてもお見舞いに行けるような感じではないと皆が思っていて、書庫に在庫しているその人の本を見るたびに、どうしてはるのかなあと思いながらいつの間にか時間だけが過ぎていた。
それが今日、本人から突然の電話があったのだ。
ええ? ◯◯さん? 本当に◯◯さんですか? 聞こえてくる声は、まさにその人の声で、実に元気な昔と全く変わらない声だった。
話を聞くと、幸い治療に成功し生還したそうで、今は自宅で療養中しているとのこと。
おそらくご自身はもちろん、家族ともに決して諦めることなく、たいへんな努力をされてきたのだろう。
とにかく生き延びてこられたことが嬉しい。
これからまた、以前のようにこの人の本を通じて一緒に仕事ができるのだ。
薄暗い書庫に眠っていた本に光が注がれ、再び命が吹き込まれたように感じた。