『前衛』(2011年1月号・日本共産党中央委員会発行)に上脇博之教授(神戸学院大学実務法学研究科教授)と仁比聡平さん(日本共産党比例定数削減反対闘争本部事務局長)の標記対談が載っています。とても深く理解できる内容で勉強になりましたので、以下にちょっとご紹介させてもらいます。ぜひ購読されることお薦めします。(数回掲載予定です)
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民主党と自民党の比例代表選挙の得票率は、長期低落傾向にある。2010年参議院選挙では55.63%に減っている。自民も民主もイヤだという傾向が強まっていて2大政党制の足下は崩れてきている。だから比例定数削減によってその危機を乗り切ろうとしている。民意とかけ離れた政治をするための比例定数削減なのだ。
2大政党への支持は下がる一方だが、国民には2大政党に関心を持っておいてもらいたい。しかし政治は財界政治だから国民の関心は下がってくるばかり。そこでなんとか国民に対する誤魔化しが必要になる。それがマスコミを使った2大政党キャンペーンだ。選挙になるともう自民と民主しか政党が存在しないような扱いが公然と行われて、国民の意識にも一定の影響を与えてきている。
今、支持率が急低下しているが、菅内閣は2013年までは解散・総選挙をしなくていいという条件があるから、そのうちに立て直そうと考えている。だから「国民のために身を削る」といいながら実際には2大政党制、財界政治へという方向は変えない。
「身を削る」というが、その正体は何か。定数削減によって削られるのは民意であり要求だ。そこには国会議員の民主主義社会での役割とかいったことは全く論議になっていない。「身を削る」と言えば、あたかも反省しているように聞こえる。が、実際に削られるのは自分たち民主党ではなく、野党、それも共産党などの革新政党であり、自分たちの身を削るどころか他の政党を切ろうとしていることになる。「身を削る」といいながら、国民には痛みを押しつけ、その痛みを一番わかっている人たちの代表を削ろうとしているのだ。
「身を削るのは当然だ」という主張が支持される根底には政治不信がある。何度も何度も裏切られてきたという政治への無力感が生まれているからで、そうした傾向はとても危険なことにつながっていくことにもなりかねない。1人ひとりの要求が大切にされ、共同や連帯の力が取り戻されれば、政治を本当に変えたいという力が働いていくに違いない。
さらに、定数を80人削れば政党助成金は国会議員1人当たり1000万円増えることになり、それはますます政党執行部へお金が集中することになる。また政権交代を望んだ国民の中には小さな政府論を支持した人もいただろう。小さな政府でも自分たちは生活できるというような人たちがいる。
いわゆる勝ち組と言われるような人たちだろうが、そういう人たちも客観的には社会の矛盾の中に生きているわけで、自己責任でその矛盾を乗り越えることはできない。そしてそういう意識は、自分の中に支持政党を見いだせないことともつながり、2大政党キャンペーンの中では共産党などは決して見えてはこないのだ。だから支持政党もわからないから結局はお任せ民主主義になり、選挙では民主党に投票するけど、期待倒れになれば離れていくという、そういう状況になってるのではないか。