本年度アカデミー賞の最優秀主演男優賞〈ショーン・ペン〉、最優秀脚本賞〈ダスティン・ダンス・ブラック〉を受賞、8部門にノミネートされた『MILK』を観てきました。
1970年代のアメリカでマイノリティのために闘った政治家、ハーヴェイ・ミルクの人生最後の8年間を描いた実話に基づいた映画です。
サンフランシスコのカストロ地区と呼ばれる性的マイノリティであるゲイの人たちが集まる場所に恋人と移り住んだミルクは、自らゲイであることを公言し、同性愛者や有色人種、シニア層などマイノリティのための政治の実現を目指してサンフランシスコの市政執行委員に立候補、4度目の挑戦で初当選を果たし、マイノリティ支援のための条例制定に行動しましたが、国民投票で条例が決まった後、敵対していた市政執行委員に銃殺されました。追悼に集まった市民の行列は3万人にもなり、手に手にされたろうそくの輝きはまさに希望の光となりました。
いい映画でした。感動しました。交歓シーンもきれいに撮れていました。最後の3万人行進がすごい。性的マイノリティだけでなく、いろんなマイノリティ運動の象徴的な人になっていったのですね。独立宣言、自由の女神の精神・・・そういうものが大本にあるアメリカだけど、やはりそこに依拠したたたかいで勝ちとっていかないと、コトは進まなかったんですね。やはりこういう映画にアカデミー賞を授けるというアメリカという国の大いなる一面には感心するものです。
その一方での日本、せっかくの映画なのだからもっと広く長くロードショーできればいいのにと切に思います。なかなか難しいんですね。
ということで、この映画で日本における性的マイノリティについて関心を持たれた方はぜひこちらの本をお読みください!
余談ですが、編者の杉山貴士さんはこのカストロ地区を研究のため訪問したことがあります。また当時ミルクと一緒に条例制定のために闘ったトム・アミアーノさん(現・サンフランシスコ市議会議員)とも知り合いで、彼はこの本の中に書かれている「府中青年の家事件」の証人として東京地裁で証言され、その時彼はサンフランシスコ教育委員会委員長(もちろんゲイであることをカミングアウトし教育委員にトップ当選)でした。