まいど、日本機関紙出版です。

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「1人はみんなのために、みんなは1人のために」。そんな国にしてください。

2007年12月04日 | ただ今、編集作業中の本

 生活保護利用者の実態を知ってもらうための本を現在編集中である。編著は全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)。毎年夏と冬に大阪府・市と交渉を持ち続けてきており、そこで会員さん自身の口から語られた生の発言を中心にまとめようというものだ。つい先日行われた交渉での発言も収める予定で、今、追加原稿を書いてもらっている。

 さて、厚生労働省の「生活保護基準に関する検討会」が、ワーキングプアや貧困層が増大していることを背景に、低所得世帯との比較で「生活保護の基準が高い」として、その引き下げを提案した。厚労省はその内容を来年度予算に反映させる姿勢を見せており、最後のセイフティネットとしての生活保護制度が重大な危機に直面している。生活保護基準は他のさまざまな制度の基準としての役割も持ち、それが切り下げられると、国民生活へのマイナスの影響は大きく厳しいものとなる。いったいどうしたらこのようなさかさまの発想が出てくるのだろうか。やるべきことは低所得世帯にこそ、生活保護の制度をどんどん知らせてその利用を促すことであって、逆に低いほうに合わせていくとは何を考えているのか。

 特に大阪府・市はこの間、保護基準の削減、老齢加算の廃止、母子加算の削減、夏季・歳末一時金の廃止などを行い、利用者の生活はまさに人間としての尊厳を賭けた日々であると言ってもいいぐらいで、その一方、自らの失政のツケを府民と市民にまわし、知らんフリを決め込む大阪府・市。そしてどこかの国に対しては財布然として、湯水のごとく言われるがままにお金を払い込み、史上空前の利益を上げている大企業や大銀行のために次々に優遇政策を打ち出す亡国政府・・・・。
 
 こうして書いていると段々と腹が立ってくるのでもうやめておきますが、以下に生活保護利用者が保護費削減で何を苦労しているか、その一部と、あるご婦人の方の発言を紹介しておきます。続きは本になってから読んでください。

●保護基準の削減、老齢加算の廃止、母子加算の削減、夏季・歳末一時金の廃止などで何を節約しているか。
 ▼入浴回数を減らした(6回から3回に)▼シャワーで身体を洗うようにしています。最近シャワーも2日に1度にしつつあります▼(仕事の通勤)JRの「イコカ」を使わず金券ショップでJスルーカードとカンサイカードを買っている▼食費を抑えている▼器具、家庭に必要なものも買えない▼経費のかかる趣味などには入会しない▼洗濯物を少なくするようにしている▼スーパーの袋は何度も使う▼子どもにお金がかかるので、自分の物は買わない▼必要なものは100円均一で買う▼水道代が高いので、実家で洗濯する▼スーパーのチラシに常に目を通し、安い所に買いに行く▼古着を買うようにする▼靴は自分で修理する▼外出しない、何もしない▼部屋の灯りは一ヵ所しか点けない▼配布しているティッシュや、化粧品のサンプルをもらう▼必要以外は飲食しない▼不要になった物は、例え50円でもリサイクルに持っていく▼おかずを3品から2品に減らした▼テレビは見ないでラジオを聴いている▼交際費・冠婚葬祭日を控える▼公共料金をおさえる▼スーパーに閉店間際に行き、半額になるのを待ってから買う▼冷暖房機はできるだけ我慢する▼外出を控える▼安売りのチラシをこまめにチェックする▼図書館ですごす▼洗濯はお風呂の残り水で洗っている。下着類は手で洗っている。電灯は、昼間は明るいので、夕方近くまで点けない。クーラーは熱い夜だけタイマーにして過ごす▼正月のおせちも生活保護に入って、5年が来ますが出来ない▼預金がないので、一度借金をすると、毎月返済することになるので、それをどう節約するかたいへんです▼交通費が高くて、どこにもいけない▼新聞代が高くて読むことができない▼お風呂がないのでベランダで行水をしている▼毎日チラシを見て、1円でも安いスーパーに行って、まとめ買いをします・・・・。

 ●夫の暴力から逃れても母子加算廃止で、やりくりに夜も眠れず

 私は小学校4年生と3年生の男の子2人をもつ母です。
 次男が入学する前に離婚をし、八尾市に引っ越してきました。離婚の原因は前夫の酒乱でした。言葉の暴力、家のものを壊すなど、最終的に、私は手の骨を複雑骨折するケガを負いました。お酒を飲まないときは優しいのですが、飲むと急変し、また繰り返す、その同じ繰り返しが続き、そんなことで生活はいい方向には戻りませんでした。
 収入面でも夫の勤務先が突然つぶれてしまい解雇となり、夫はますますお酒に溺れていくようになりました。働き先もなかなか見つからず、家計も苦しくなり、私は昼のパートだけでは暮らしていけないために夜のアルバイトにも行きました。それに離婚をする間近まで、なかなか眠れませんでした。そのツケがきたのか体調をこわしやすくなりました。
 夫と別れる直前は、その日のごはんを食べていくのが精いっぱい。所持金が少なく途方にくれていました。市役所(福祉事務所 注=大生連)に何度も相談の電話をしましたが、冷たく、人の話をまともに聞いてくれません。実家の母は入院していたこともあり相談ができず、私が離婚を決めてから母に報告しました。

 保護決定に涙が止まらず
 両親の紹介で生活と健康を守る会を知り、入会させていただきました。すぐに「会」のかたは動いてくださり、本当に心強くありがたい気持ちでいっぱいです。生活保護を受けられると決まったときは、本当に嬉しくて、嬉しくて、涙がとまりませんでした。私が生活保護を受けるようになってから、同じ立場の人の少しでも支えになれる仕事がしたいと思い、ヘルパーの資格をとりました。いまは在宅ヘルパーの仕事をし、がんばって働いています。
 仕事を始めてから半年経ったころ、ケースワーカーから、「8月に入ってくる児童扶養手当で生活をしてみて、ダメだったら申請にきてもいいよ」(児童扶養手当と就労収入があるから、ケースワーカーは生活保護を廃止すると言ったが、保護基準は下まわっていた。注=大生連)と言われ、まだ、その頃の私の収入は5万円にも満たなかったため、不安で、突然、目の前が真っ暗になりました。
 在宅ヘルパーの仕事は、お客さんの信用があってこそできる仕事で、働きはじめの私には、なかなかお客さんはつかず、この仕事を辞めなきゃいけないのかと思いつめていました。そのときも「会」の人に相談をし、抗議してもらいました。
 するとケースワーカーの方から電話があり、「追い詰める言い方をしたつもりはないけど、今の調子でがんばって下さい」と態度が急変しました。これにはとても驚き、私が言われたとき、理由を話してもちゃんと聞いてくれなかったのにと、悔しささえ覚えました。

 ストレスで髪の毛が抜け落ちた
 子どもたちが1年上に進級するころには、お客さんもふえて仕事も順調になりだしましたが、しかし、突然、思わぬ形で仕事を休むことになりました。
 5月になり髪の毛を洗うたびに髪が束のように抜けはじめ、仕事をしていても歩いていても、落ちるようになり、最終的には全部抜け落ちてしまいました。原因がわからず病院で血液の検査などをしても、「体の病気じゃない」といわれ、ストレスが原因と診断されました。いちばん悲しかったのは髪の毛が抜け、外に出るのも恐かったことです。ヘルパー1級の講義を受ける勇気ももてなくなりました。ヘルパー1級の資格をとれば、非常勤になれる話がでていたからです。
 そんなころ、なにより心の支えになっていたのは子どもたちでした。どんなときでも私を受け入れてくれて、普通に接してくれました。
 「こんな所で引きこもっていてはダメだ」と思い、3週間休んでいた仕事に復帰しました。髪の毛がまったく無いため、お客さんもびっくりされるので、バンダナを巻き仕事を再開しましたが、不審に思われる方も多く、断られることもありました。病院からも、元の髪に戻るのは最低3年かかると言われ、1年経った今もうまく生えてきません。
 そのこともあってか、よく体調をこわすようになりました。収入はいま10万円いけばいいところで、生活保護費も減額されるようになり、家計はどんどん苦しくなっています。節約できるところは、光熱費、食費代、衣類代なので、電気は1つの部屋でなるべく集まるようにし、台所でごはんを作る時は小さな電気だけつけるようにしています。ガス代も高いので、親子3人で一緒に入るようにし、お風呂の水はたくさん入れると水道代がかかるので、わかすことができる、ぎりぎりまでのお水しか使わないようにし、その残り湯も洗濯、掃除などに利用しています。

 子どもの将来のためにも納得できない
 小学4年生のお兄ちゃんは年頃なのか、お風呂には1人で入りたいと言うようになっていますが、休日だけという約束でいまだにガマンしてもらっています。食費も食べざかりの子どもたちなので、質より量で、安くなる夜に半額シールの商品を買いに行って、食費を削れるところまでけずっています。衣類も育ちざかりの子どもたちなので、去年、着られた服は、今年はもう着られない服が多く、年子なので着まわすこともできず、バザーなどに行き買うようにしています
 夜、眠りにつくころ、「まだ削れるところはないかな」と思い悩んでしまうと、眠れない夜もあります。これから子どもたちには、どんどんお金がかかっていくのに、母子加算の廃止になれば、本当に子どもの将来のためにも納得できません。最低限の人並みの生活をさせたいと思わない母親なんているでしょうか。少子化問題を抱えている今、存在しているこの子たちを守っていけない国に将来があるのでしょうか。どうか母子加算の減額、児童扶養手当の減額をやめてください。「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」、そんな国にして下さい。(八尾市・30歳代・女性・母子3人世帯)

 

 

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