ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

MY 乳がん―手術の後

2004-08-02 | 乳がん
痛みで、目が覚めた。
うっすら目を開けると、しろっぽい部屋。
あれー。
じゃあ、手術は、もう、終わったんだ。
ここは どこだろう。
もう一度、すこーし、目を開ける。
周りには ベッドが いくつもあるみたい。
手術がおわった後に 行くという、
快復室みたいなところに 違いない。
でも、誰もいない。
不安になってくる。
だって、わたし、痛いんだよー。

うなってみる。
人の気配がした!
うめいてみる。
「痛い。」
でも、誰も、なんとも言わない。
「痛い、痛い。」
人が 反応している。
でも、誰も、私のところに来ない。
もっと 不安になってくる。
痛い。
「痛い、痛い、痛い、痛い。」
気配が、あわてだした。
どこかの誰かと、話をしている。
「アレルギーがあるから・・・」とかなんとか。

そう、私の事だ。
私は 原因不明の アレルギーがある。
目が覚めたときの、止まらないくしゃみと 鼻水。
ひどい時は、蕁麻疹も。
くしゃみは、ずっと 花粉症だと思っていた。
でも 検査をしたら、スギ花粉も たいしたことない。
ブタクサも、カモガヤもも、ヒノキもない。
ダニにも ハウスダストにも アレルギーがない。
何が原因かは わからないけど、確かに、
しかも 一年中 アレルギーがあって、
お薬を飲んでいる。
だから、なんなの。
左の胸が、
切った所が、痛いのよ。

それから、誰かが、私を乗せて 病室から出して。
邪魔にされている感じ。
病室に戻って、佐藤看護士に、
説明を受けて、痛み止めの座薬を入れてもらう。
あの、フンドシの 短いのを 付けてるからね。

これが、たぶん、昼ごろ。
まもなく 痛みが 収まって、
私は うとうと 夢心地。
亭主が 誰かと 何かを しゃべってる・・・。

何度か目を覚まし、
その度また うつらうつらと 眠ってしまう。
それをずっと繰り返していた気がする。

人工呼吸器を はずしたのは、病室だった。
いつはずしたのかは 覚えていないけれど、
そのころ すでに 佐藤看護士はいなかった。
そして、
呼吸器をはずす前に、
血液中の 酸素の 量だか 濃度だかを はかるのに、
手の爪の 半月のところで はかっていた。
そんなところで はかるんですか~。
へ~。しらなかったあ。
そんな会話をしたのを 覚えているけれど、
眠くて、目は寝てました。
どんなことをするのか、どんな機械をつかうのか、
見ていたかったんですけどね。

はっきり してきたのは、夕方だった。
左の 肩の下に敷いた 当て物が 当たって 痛い。
手術した側を 心臓よりも 高くしておくのだそう。
看護士と 娘とに やいやい 言って、
当て物を あちこちに ずらして、
なんとか 落ち着く所を 見つけて、人心地ついた。

そして、先生方が 病室まで 様子を見に来て くださった時、
私は 喉が 痛くて たまらなかった。
同時に、喉の痛みを キャラメルで やわらげたくなった。
看護士に 言うと、
ドアの外に 出て行かれた 先生方を 追いかけていって、
OKをもらってきてくれた。

本当は 何にも 口にしては いけないはずだったけど、
主治医の、
「本人がそう言うなら、いいんじゃない。かまわないよ。」
という声が 廊下から聞えてきて、にんまり。
さっそく 買ってきてもらって
(売店に売ってたの、知ってるもん)
口に入れた キャラメルは、
のどの痛みを 期待以上に やわらげてくれた。
亭主には、
わがままを言うなと しかられた。


病院には、家族が泊まれる部屋がある。
二人分 予約をしておいて、
学校から病院に来た息子と、
期末試験あとの 休暇中の 娘とが
そちらに泊まった。
亭主は、病室に泊まった。

看護士が 夜中に何度も 見回りに来る。
かわいそうに、
亭主は 疲れているのに、
その度に 起き上がる。
看護士がいい、と言ってくれても、
だんなさん、休んでてください、と言われても、
起きる。
そういう性格なんだから、
ほっとく。
 
この晩、予想通り、かなり暖房で乾燥していて、
前もって マスクを用意していた 亭主は、
得意満面。


手術を受けた月曜日は、
もちろん 日記は つけなかったが、
日曜も、そうとう 退屈していたらしく、
朝ごはんの メニューしか 書いてない。
(入院まで 読まずにいた ハリーポッター上下巻も、
読んでしまっていたかも。)
このへんのことは、すべて 記憶にたよっているので、
かなり、真実と 食い違っているかもしれない。
娘や 息子や 亭主に 同じように書かせて 並べたら、
かなり 面白い 読み物になるに 違いないんだけどね。