日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ジャンルは誰のために?

2005-01-30 20:06:56 | フランス
気温が緩んできた。昼過ぎにシャトレの
フォーラム・デ・アールのFNACに行き、CDとDVDを探す。
さて、なぜか最近、GIPSY KINGSの
「VOLARE」という曲が無性に聞きたくなり、
彼らのCDを買いに行ったのだが、
はて・・・、どこにおいてあるのかがはっきりしない。

自分の知っている限りでは、
GIPSY KINGSはアルル出身のグループで、
喋っている言語(テレビなんかで見ると)
フランス語だった。この意味ではフランスの
グループと言えるだろう。
しかし、歌う言語はスペイン語、では
スペインのグループなのか? でも
そもそもジプシーというアイデンティティ
を打ち出しているという面から(ホントか?)
ワールドミュージックかもしれない。

ということで、フランス、スペイン、ワールドミュージック
すべてのジャンルのコーナーを回ったけれど、
彼らのCDはおかれていなかった。ふと思って
インターナショナル・ロックのジャンルも
回ったけど、相変わらずなし。
一体、彼らの音楽はどのジャンルのコーナーに
あるんでしょうか? 単なる品切れだったりして。

家に帰って、ネットで演劇のチケットを購入。
デュラスの演劇が今度オデオンで上演されるらしい。

そのあと、MYSTERIOUS WAYSとかのアメリカの
サイコドラマをテレビで見る。最近、こういう
土曜の夜の過ごし方が習慣化しているなあ。
まあ、寒いからいいけど。
 

種さんと連帯感

2005-01-29 08:25:57 | 種ともこ
昼休み、会社の同僚(主に女性)が
固まって、またサンドウィッチを食べていた。
集団行動アレルギーの自分としては見るのも苦痛かも。
ああいう風に連れ立って何かするのって、
会社員の勤めなのかな、なんて日本にいたら思うだろうが、
ここはフランスなんで何も感じない。

僕のほうは近所のパン屋に
ケバブ・サンドイッチを買いに行く。
日本でも渋谷とかによく店が出ている、
羊の肉のサンドイッチだ。店のおじさんは
僕の顔を覚えていて、何も言わなくても
「ケバブ・サンドイッチとミネラルウォーターだろ」
と言って、サンドイッチを作ってくれる。

夜に、宮沢和史のパリ公演を見に行く。
もともとファンではないのだが、懐かしさも
手伝ってちょっと顔を出してみた。
そういえば、彼の中央線っていう歌があったなあ。
あと、彼の犬みたいな顔と僕が似ている、と
言われたことがあったなあ、なんて思い出しながら。

種ともこがパリで公演したらすべてを投げ出して
見に行くんだけどなあ、なんて思う。
でも日本でもなかなかコンサートしないぐらいだから
海外の公演なんて夢のまた夢かも。
以前種さんの自叙伝を読んだことがあるんだけど、
「人の輪に入っていなくても平気な感覚」を
語っていて、それは僕と同じだ、と共感したことが
あったっけ。
みんなと同じことをしなくても平気な気持ち。

雪のひとひら

2005-01-28 07:51:57 | パリ左岸
会社帰りにとうとう雪が降り始めた。
地下鉄の駅めがけて急いで舗道を歩くと、
横断歩道の近くで、じっと空を見上げているおばさんがいた。
上品な、金髪のおばさん。
雪がどんどん降ってくる曇った、凍えるような
空を見つめている。その姿になんか
僕のほうが見とれてしまった。

友達の家に夕飯に呼ばれたので、郊外まで行ってみる。
郊外の町の舗道には人、一人歩いていない。
さっきのおばさんを思い出して、自分も
ぼーっと、空を見上げてくる。
どんどん雪の結晶が地上めがけて落ちてくるのが分かる。

電車の中で、無茶苦茶、薄着の若者がいた。
みんなマフラーを首に巻き、厚いコートを
まとっている乗客の中で、一人だけ、見てる
だけでも寒くなりそうなジージャンを着てるだけ。
しかし、なぜか手袋をつけている。他のところは
大丈夫なのに手だけは寒がりなのか?

帰りの地下鉄で団体の中国人観光客を目にする。
大声で中国語で話している。
18ぐらいから、僕はほとんどいつも一人で街を歩いたり、
旅行に出かけたり、つまり単独行動しかしていないので、
いまさらあんなに集団行動しろ、とか言われても
苦痛だろうなあ、なんてぼんやりと思う。フランスにも
一人でやってきたし、それが気が楽だしな。

さて、CARNAVALの複数形はなんだろう? CARNAVAUXじゃなくて
CARNAVALSだよ、というクイズをフランス人に出された。
反対に、CANIVEAUX(側溝)の単数はCANIVALじゃなくて
CANIVEAUだと。ってどうでもいいんだけどね。

何もかもが凍えてるんだ

2005-01-27 07:23:18 | パリ右岸
今週のフランスはものすごく気温が
下がっている。朝なんて町を歩いていても
霜で舗道が凍っているもんな。
街灯の温度計、マイナス1度。

子供の頃、福岡の南部に住んでいたが、
寒い朝など、近所の畑の土から白い
煙が上がっていてその幻想的な景色に
よく見とれていた思い出が。あれって、
土の中の水分が結晶化して、湯気みたいに
立ち上っていたんだろうか?よく分からん。

そそくさと仕事を終えて帰る時間。
寒いのでスーパーによる気にもなれず、
そのままアパートに戻る。エッフェル塔も
案の定、凍ったような立ち姿。

寝る前に、アリアンスでの発音の練習カセット
を聞くけれど、よく聞き取りができない。
不毛だ。細かい発音の区別なんてできなくても
会話なんてできるんだけどな。
そういや、父親が昔、他人の三倍は
努力しろ、って説教のようによく僕に繰り返し
てたっけ。確かに努力しないとだめになって
しまうタイプの人間なんだ、僕は。


ひっきりなしに喋ってみるのもいい

2005-01-25 07:46:04 | パリ左岸
今日はよく喋る日だった。
ランチに久しぶりにフランス人の友人と出かける。
いつもは自分の席で、
セコくサンドイッチとか食べてるだけだもんな。
1時間半ぐらい、べらべら喋り続ける。
ダヴィンチ・コードの話とか、どうでもいいこととか。

午後3時ぐらい、フランスの企業のお客さんが
訪ねてきた。そこのおじさんの長い喋りにつられて
僕も長々と質問をしてみたりする。
一つの質問に答えるために、長々と例を出して
だらだら喋るので、ちっとも会話が終わらない。

夕方、僕の席に、同僚のおばさんが訪ねてくる。
日本の朝日新聞に載った記事で、スペインのことが
出ていたので、それに関する感想を言いにきたのだ。
僕はスペインにはちょっとうるさい性質なので、
スペインの名産とか地理とか、去年行ったスペイン旅行
の話など、延々とする。

午後7時ごろ会社を出て、今度はアリアンス・フランセーズ
の発音の教室に出席する。マンツーマンで、
母音の発音練習をする。昔に学んだ、EUXの発音を
絞られる。やっているうちに何がなんだか分からなくなってくる。
テンションの高い女性の先生にぎゅうぎゅう絞られる。

授業の後、アリアンスから地下鉄の駅まで、
同じクラスのポーランド人の女の子とべらべら会話をしながら
帰る。スラブ人らしく、彼女の瞳は
透き通るように真っ青。


冬の音

2005-01-23 07:07:40 | パリ右岸
昼ごろ、東京にいる頃から知っていた友人に会う。
友人はパリにある某企業に勤めているが、春には帰国
するらしい。いろいろ話して、ランチをおごって
もらった。そういえば、最近、毎週誰かに飯を
おごってもらっている様な気がする。先週も
ポーランド人の知り合いにランチおごってもらったし。
こっちは他人になんの施しもしてないのにな。
役得か? なんの役か分からないが。

夕方、思い立ってバルベスに行ってみる。
パリの北、有名なアラブ人街だ。真冬の夕方、
もう暗くなった街角に人が溢れていた。
郊外に向かう広い大通りは車でごったがえしている。
その向こうに、有名な安売り店TATIのピンク色の
ネオンサインが瞬いている。
そういえば、冬の夜にバルベスに来たことなんて
なかったなあ。
頭上には高架になっている地下鉄2号線。
何度も何度も音を立ててメトロが走っていった。


語学だけがすべてじゃないが

2005-01-21 07:21:02 | パリ右岸
スターリングラードと言う名前の地下鉄の駅は
パリの北東、ヴィレット運河が始まる場所で、
結構夜行くと物騒なところだ。数年前までは
昼間でも公然と麻薬の取引など行われていたらしい。

と、そのような場所に今日は外勤。
地下鉄を下りて大通りを歩くと、パリらしからぬ風景。
高層の団地が立ち並ぶ中、通行人はアラブ人とか
アジア人とか。要するに移民の人たちばっかり。
北風がぴゅーぴゅー吹いていた。

で、フランス人に何やら仕事の説明をしに
行ったんだけど、これが僕の的を得ないフランス語の
説明のせいで無茶苦茶なことに。自分のフランス語力に
落ち込んでしまった。考えを整理して(この段階でもう
できてないのかもしれないが)、それをフランス語に
直して、相手に伝わるように話す、ということが
全然できてない。よく考えると僕はフランスに通算
もう5年以上住んでるんだけど、ダメだ、こんなの、とか
思ってしまった。相手のいってる事もよく分からなかったし。

落ち込みつつ、帰りがけに上司とメトロ2号線に乗る。
窓からBUFFET DU NORDという古い、汚らしい劇場が見えた。
かの有名なピーターブルックの拠点らしい。
あと、「この通りの向こうがグット・ドール街らしいよ」
と教えられる。昔、サンドニと並ぶ有名な娼婦街、
そのあとアラブ人街のスラム、今は少し再開発でこぎれいに
なっているらしい。パリの北の空、地下鉄から眺めてぼんやり。

電話番号は電話帳で

2005-01-20 06:29:09 | フランス
昨日書いた日記を読みつつ、リスボンの情景を
思い起こし、しばしうっとりしてしまった自分。
くそ、リスボンにまた行きたい。

午後オフィスでいつものようにせこせこ働いていると
同僚の席の電話が鳴った。同僚がいなかったので代わりにとると、
怒ったような声のフランス人のばあさんが、
「あなたたち、私の電話番号をどうして知りたいのよ!」
と受話器の向こうでタンカを切っていた。
「なんのことでしょうか?」と尋ねると、
「私の電話番号を教えてくれ、って留守電に入ってたじゃない」
というおばあさん。
ははあ、これは同僚が作っていた顧客リストだな。
顧客の中で電話番号がない人がいるから、電話を教えてくれるよう
連絡を取ってみる、と言ってたもんな、と思い出す自分。
「今、同僚がいないのでなんとも答えられないんですが・・・」
と言うと、
「電話番号をなんで他人に教えてないといけないのか、
その理由をあなたの同僚に説明してもらいたいわ」とますますの剣幕。
「同僚が戻ったらすぐ電話させるので、名前と電話番号教えてくれますか?」
「しょうがないわねえ」
と言いながらばあさん、名前と電話番号をすらすらと僕に教えたのだった。
って、電話番号教えてるじゃん、一体何が言いたいんだよ。

その後同僚がばあさんに電話すると、ばあさんがまたにがにがしい
口調で電話に出て、「電話番号を聞いてくる会社なんておたく
だけよ」とぶつぶつ言った挙句、「どうせあたしの電話番号、
番号帳に出てるからそれ見なさいよ」と言って切ったらしい。

夕方自分のセクションにバンビちゃんのような目をしたフランス人の
同僚が一瞬遊びに来た。バンビは可愛い顔をしているが、結構
はっきりものを言うので、ときどき僕は驚いてしまう。というか、
こっちの女の子ははっきりものを言わない子のほうが珍しいもんな。
オフィスの廊下で女子社員が集まって何やら会話しているのを見てきて、
「女の大集会やってるわよ、ムッシュー○○(僕の名前)」と
僕に教えに来たのだ。教えに来てどうする。

西の果てにある街

2005-01-18 07:07:46 | フランス
昔の同僚だった女の子が近く結婚するという
話を職場で聞く。昔の同僚っつってももう
4年ぐらい会ってないんだけどね。
彼女はずっと東京で働いているから。
ちょっとばかり、青春が終わってしまったような気分。
みんな結婚していくんだなあ。いい歳だもんな、僕ら。

職場の上司が来月、リスボンに旅行に行く、
というので僕が持っているガイドブックなどを貸す。
僕がリスボンに1年半前に一人で旅行した
ときに買いあさったものだ。リスボンを舞台にした
短編小説集とか、タブッキのリスボンが舞台の
小説とか。

8月の、僕が見たリスボンは坂道ばかり続く
ノスタルジックな街だった。古ぼけたアパルトマンが
延々と坂の両側に続く。そして坂の向こうには
青いテージョ川がいつも見えていたっけなあ。
時代から取り残されたような、穴の開いたような
空間だった。

1980

2005-01-17 06:01:06 | Weblog
テレビで芸術情報番組みたいなものを
やっていたのだが(FRANCE5という教育的なテレビ局)、
新作DVDの紹介コーナーで「スパイダーマン2」を説明していて
その映像とか見ているうちに買いたくなってきた。
ああいう映像だけでも楽しめる作品はDVDとして買っても
損はないかも。

パソコンの調子が悪いので昼ごろフランス人の
友人に来てもらってパソコンを見てもらう。
メモリースティックに入ったソフトをインストールしてもらう。
フリーソフトはTELECHERGER。COMというサイトで
自由にダウンロードできるんだけど、それでは
なかなか手に負えない問題など彼に見てもらう。

そのフランス人の友人となぜか知らないがケビン・ベーコンの
話をする。80年代の流行歌手、ライオネル・リッチーとか
ボニーMかなんか話の延長で。
彼は、ケビン・ベーコンをすごく若いと思っていたらしい。
そんことはない、もう40近くだと僕が言うと驚く友人。
『フット・ルース』の頃もうハイティーンならあれから20年
近く立ってるんだから彼はもう40だろう。
80年代って今となっては幻だよなあ。
僕にとっても、ケビン・ベーコンにとっても。


三つ目の世界

2005-01-16 07:22:39 | パリ右岸
今朝、掃除をしながら、ペットショップボーイズの
「セアヴィダエ」という10年ぐらい前に流行った
曲を聴いていたんだが、今聞くと、必要以上に若さを
礼賛していて、嫌な感じの曲だなあ。つーか、じゃあ、
聞かなきゃいいんだが。

午後ヨーロッパ写真美術館に行ってみた。
何が企画されているかも知らずに、いつもここに
とりあえず来てしまうのだが、今日は「三番目の目」
という展示をやっていた。何だと思ったら、心霊写真特集。
幽体離脱とか交霊会とかそういったオカルトな写真ばかり。
これが、また大好評なんだ。こんな混雑見たことないぐらいの
入場者で会場はごった返していた。僕が中学生の頃
雑誌で見た、「イギリスで撮られらた妖精の写真」も
展示されていた。まあ、トリック写真だったんだけどね。

そのあと切れるような寒さの中、バスティーユ広場まで
歩いていった。夜の空気の中でバスティーユのオペラ座が
銀色に瞬いていた。『猫が行方不明』という映画がここらへんが
舞台だったなあ、などとぼんやり考える。


聞き取りえないもの

2005-01-12 07:25:15 | パリ左岸
会社に向かってとぼとぼ舗道を歩いていると
あちこちにシャルロット・ゲンズブールの
ポスターが。12日から封切られる映画、
「l'un reste, l'autre part」と言う映画に
出るらしい。ダニエル・オトイユと競演。

シャルロット・ゲンズブールは「小さな泥棒」
の頃から好きなので、昨今の活躍は昔からの
ファンの僕としてはうれしいことこのうえない。
もちろん、彼女が10代の頃持っていたカリスマ臭
は最近なんだか消えてしまった気もする。
しかしあの圧倒的な存在感は誰にもまねができないのだ。

仕事帰りにアリアンスフランセーズの発音
の講座に出席する。先生が生徒にみっちり教授してくれる
効果的な授業だ。

一人だけ、先生の言うことをまったく解しない
中国人の生徒がいて先生から怒られている。
「録音する」とか「聞く」とかそんな単純な
フランス語の単語が聞き取れず、先生の手をやいている。
先生も終いにはいらいらしてきて早口になる
もんだから、ますます生徒は話を解さなくなる。

悪循環の挙句、先生は僕のほうをいきなり向いて尋ねる。
「あなた、中国語分かる?」
おいおい、僕に中国語の通訳させるのかい?


早朝のポンピドーセンター

2005-01-10 05:41:02 | パリ右岸
前日に昼寝をしすぎたせいで、朝6時とかに目覚める。

読書とか掃除とかしているうちに朝9時になり、
着替えをして町に出る。

ポンピドーセンターの一階にある書店に本を
買いに行こうと決め、メトロに乗ったのだが
降りる駅を間違え、SENTIERの駅で降りてしまう。

驚いたことに、SENTIERの駅から南に向かう
歩行者天国の道、モントルグイユ街は日曜の
朝にもかかわらず人でごった返していた。
商店もパン屋もカフェも、CD屋も金物屋も
全部開いている。パリでもこんな日曜の朝に
営業している界隈があるんだと、少し感心。
カフェに座って優雅にコーヒーを飲んでいる
人々を眺めながら歩いていると、なんか目があってしまい
決まり悪い。

そのまま歩いてポンピドーセンターへ。
ソフィ・カルの展覧会カタログを買う。
僕の好きな『盲人たち』も『本当の話』も
すべて収録されている。魂を削り取って、写真と
テクストに昇華するような作品の数々。

ポンピドーを出ても、まだ正午過ぎといったところ。
今日は何をしようか。


冬の匂い

2005-01-08 07:41:32 | パリ左岸
『日々の泡』というのはそれこそ有名なボリス・ヴィアンの
小説でサンジェルマン・デ・プレとか、ジャズとか、
パリっぽいものが満載な小説だ。
せっかくフランスに住んでいるので、そんなタイトルをBLOGに
つけてたんだけど、ネットで引くと同タイトルの日記が
多いこと、多いこと。ちょっとひねって上のようなタイトルに
してみた。ちょっとくだらないかも。住めば都はるみ、みたいな感じ。

残業が終わって、夜9時ごろ、オフィスの重いドアを開け、
パリの街に出てみる。今日は気温がそんな低くないせいか、
夜の匂いがした。これは懐かしい匂いだ。
実家のある福岡の西鉄の駅前で吸い込んだ夜の空気と同じ匂い。
もしくは、東京の東高円寺に住んでいた頃、
夜中にコインランドリーまで駆け足で急いで行くときに吸い込んだ
夜の風と同じ匂いがした。

インターネットラジオでユーミンの『花紀行』が流れている。
30年前の曲だ。春先に一人旅行をしていたら空から
桜の花びらが落ちてきた、という内容の詩だ。聞いているうちに
20歳ぐらいのころ一人で旅行した大分の竹田市の荒城の
春を思い出した。
福岡の夜の空気も、大分の春も今となってはもう
遠くなってしまったけど。

ソフィ・カル

2005-01-06 07:38:21 | Weblog
筑後川の土手の話などさっき必死で書いていたら
一瞬で消えてしまった。なぜだ???

ところでソフィ・カルの展覧会に去年行って以来
彼女のことが好きになり、特に『盲人たち』という作品群が
気に入っていてそれを探しているのだが、どうも
見つからない。単行本化されていないのかな。

その作品はこんな感じだ。
ソフィ・カルが盲人に、「あなたにとって一番
美しいと思うものを教えてください」とたずね、
出された言葉をどんどん写真に撮って、
発言者のポートレートとその言葉と一緒に展示するのだ。

例えば、ある盲人は「ウェールズの山」と言う。
そうするとソフィ・カルは本当にウェールズの山の
写真を展示するのだ。その盲人は一度もその目で
ウェールズの山なんて見たことないはずなのに。
ある人は「お母さんの髪の毛」と言う。
あす人は「自分の質素な部屋」と答える。
そういう写真を見ているうちに、美しいって、美しく見える、
ことではないのだな、と漠然と考えずにはいられなくなる。

最後の盲人はこう言う。「美しいなんて、考え、
僕はもうすっかり生活から葬りさってしまったよ。
自分には関係ないからね」なんて。