日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

セビリヤ三日目

2005-06-30 07:02:12 | スペイン
三日目のセビリヤ。というかフランスに戻る日。
名残惜しさもあって、なんだか朝早く目が覚めてしまう。
そそくさと準備。泊まっていたホテルはサンタクルス街の
ひっそりとした界隈にある、質素だが清潔なホテル。
高い天井とか、赤茶の壁の色とか、ぼんやり眺める。

チェックアウトを済ませて、昨日と同じホテル近くの
バルにまたずかずか入っていき、カフェオレを頼む。
またもやコップに入ったカフェオレが。今日はちょっと
余裕もあって、バルの内装など眺めながらカフェオレを
味わう。壁の黒板にはタパスのメニューがチョークで殴り書き
されている。そのほかに、闘牛や万博の、古いポスターが。
こういう大ざっぱなインテリアもセビリヤぽいなあ、などと思う。

バルから駅までサンタクルス街の白い街角を抜けて、
ゆっくり歩く。朝早いのに、あちこちでもう人々は
働き始めている。工事中の道路、内装工事中のアパート、配達のトラック。
そういえば平日のセビリヤを見るのは今回の旅行で初めてだった。
こんな美しい街に暮らせて幸せだろうな、などと思う。
住民はもう馴れてしまって、そんな感覚ないんだろうけど。

サンタクルス街と並行して走る通り、アヴェニダ・レカレドは
セビリヤの大動脈のひとつ。低層の商店やホテルが立ち並ぶ
交通量の多い通り。昨日の夜、10時ぐらい酔って朦朧とした
頭で通りを歩いていたんだけど、こんな美しい光景は見たこと
ないってぐらい印象的な夕映えの街が広がっていた。
日はもうほとんど沈みかけているんだけれど、空は
深いオレンジ色がまだ残っている。街灯は少しずつ瞬き始めている。
そして道路の両脇のカフェやバル、
時々現れるシャッターの下りた商店、ブティック。
どこか郷愁を誘うような光景だ。
またセビリヤに戻れるように。その日まで今の自分であるように。


セビリヤ二日目

2005-06-29 04:25:48 | スペイン
セビリヤ二日目は早起きする。朝、7時には
日曜だと言うのに、カテドラルの鐘楼が響いていて
僕のホテルの部屋までその音が届いてくる。とっとと着替えをして外へ。
ホテルのすぐ近くにある、おそらくサンタクルス街でもっとも
有名でないかと思われるバルに直行。朝早いこともあって
カウンターにたむろするおじさんもそんなに多くない。

「ウン・カフェ・コン・レーチェ」
と元気よく頼む。するとガラスのコップに入ったカフェオレが。
そうそう、スペインじゃカフェオレ、ガラスのコップで飲むんだよね。
これがまたうまいのだ。

朝のカフェオレ後はセビリヤのサンタフスタ駅へ徒歩で移動。
もともとこの旅の目的は、セビリヤとグラナダ間の鉄道の旅だったのだ。
駅に行くと、実はセビリヤとグラナダ間の電車は一日4往復しかない
ことが発覚。無茶苦茶不便やんか。カウンターで、グラナダまで
一枚、というと「どの電車?」などとスペイン語で聞かれる。
わ・・・、わからん。今日の午前中の電車、なんて言ったっけ?スペイン語で。
などとしどろもどろしているうちに、英語で「NEXT TRAIN?」などと
言われてしまった自分。

電車は午前11時50分にセビリヤ駅を発車した。
グラナダまでの三時間は本当に目の保養、というか、視界の幸福。
最初に荒れ果てた荒野が現れる。そのあと、ひまわり畑がときどき
現れる。そして地平線まで続く一面のオリーブ畑。畑というより森か。
オリーブ畑の後、月面のクレーターのような乾ききった、ごつごつとして
肌触りのアンダルシアの谷間を鉄道は横断する。これがアンダルシア
なんだ。ざらざらの手触りの国なんだ。
本当にすばらしい。いろいろ説明してもいいのだけれど、本当にこれは
行った人にしか分からない風景だと思う。

グラナダでは真っ先にバルに入って生ビールを注文。
グラナダでは無料でタパスがついてくるらしく、
ビールを注文するたびに、生ハムサンドイッチとポテトチップス
が皿に運ばれてきた。こりゃ、太るよ、スペインのおじさん。


セビリヤ一日目

2005-06-28 06:26:20 | スペイン
オルリー空港から二時間たらず、飛行機の窓の下には
赤茶けた、乾ききった大地が広がっているのが見える。
七年ぶりのアンダルシア地方、セビリヤ。よく考えると、
飛行機でアンダルシア入りするのはこれが初めてかも。

空港を出たとたん、むっとするような熱気に包まれる。
午後三時、もっとも太陽の高い時間。
路線バスを待とうとするが、週末であることもあって、
午後五時まではバスが来ない・・・。さて、どうしたものか。
おそるおそるタクシー乗り場に行って、料金を聞く。
「市内まで21ユーロ」
そんな馬鹿な。空港バスだと、2.3ユーロしかかからない
んだぞ。十倍近いじゃないか。
驚いた顔をする僕に、タクシーの運転手があれを見ろ、
と張り紙を指差す。張り紙を読んでみると、非労働日の
空港ー市内間のタクシー料金を21ユーロと定める、
旨の当局の規定が・・・。労働日でも17ユーロだから
ぼったくりなんだけどね。

しぶしぶ21ユーロ払い、市内中心部にあるムリーリョ公園
までタクシーで運んでもらう。15分ぐらいで着いてしまう。
なんだ、やっぱ空港と市内は近いんじゃんかよ。
さて、ホテルは旧市街のサンタクルス街の中。
アドレスを頼りに、迷路のような、車も通れないような街をぶらぶら歩く。
ひどい気温だ。しかし、両側のアンダルシア風の建物は白く、時には黄色く、
と様々な色で、僕の目を楽しませてくれる。
それぞれの建物には美しい文様の門扉やバルコニーがあって、
つい立ち止まって、うっとり見とれてしまう。
運がよければ、扉が半開きになっていて、中にある、
外の喧騒からも、高温からも遠い、別世界のパティオが垣間見れる。

ふと視界が開けて、教会の前の、名もない広場に迷い込む。
空が高くて、青い。このアンダルシアの空を眺められただけでも幸せ。
くー、にしても暑い。早く、バルにいって生ビールを飲まなければ・・・。

セビリヤ出発前夜

2005-06-25 06:30:21 | パリ左岸
昼飯を食いに行ったカフェでまたもや
ウェイターから「若者」(JEUNE HOMME)
呼ばわりされる。若者じゃないんだけどねえ、もう。

今日もひどい気温だ。猛暑が六月末に
到来したと言う感じ。こっちは日本で言う
梅雨がないから、六月は一番美しい季節である
と同時に、もう夏が始まっている感じ。

同僚のフランス人に明日からスペインに旅行に行く、
と言うと、「パスティス買ってくるの?」などと言われる。
パスティスに代表されるリキュール類がフランスより
スペインは格段に安いので、スペインに買い物に行く
フランス人が後を立たないらしい。
そういえば、僕は何をお土産に買って戻ったらいいんだろう。
お土産なんてあんまり買わないし、どちらかというと
どうでもいいと思っているので、本当にこういう
シチュエーションは困る。同僚にはいつも「何もくれない」
などと言われているので、たまには何か買ってあげないと
とか思うんだが・・・。

帰りに寄った大型スーパーで日本人観光客がいた。
一人は歳は僕の父親より少し若いぐらいのおじさん。
薄くなった髪を無造作に流し、冴えないポロシャツで
うろうろと心もとなく商品を見ていた。
もう一人は若いんだけど、サングラスかけたり、金のネックレス
したり、とやたら着飾っている若者。
ああ、どっちにもなりたくないな、なんてひとしきり瞑想。
僕は時計だって邪魔になるほど。貴金属とか、装飾品
をつけるのが異常にいやなのだ。


今日は今日で

2005-06-23 06:12:16 | Weblog
昨日僕に、「日本に帰れ」なんてのたまった
フランス人の同僚は、もう今日はそんなこと
なんか忘れて、週末にスペインに行く、と言った
僕に、スペイン語でPORQUE? PORQUE?
と質問しっぱなし。
ああ、気持ちの切り替えの早い人はいいよなあ。
言ったことも、怒ったことも、翌日には全部
キレイさっぱり忘れてるもんなあ。

来月、アビニョンに一人で演劇を見に行くのだが、
一人旅のさびしい僕に、現地で落ち合ってくれる
親切な日本人女性が現れた。まあ、友達の友達で
一度も会ったことないんだけどね。例によって。
東京のその人から、メールアドレス、現地での
スケジュールなどいろいろメールをもらう。
城壁、法王庁、ローヌ川、時計台。
いろいろアビニョンを想像。
そういえばジャン・ヌーベルのホテルがあるとか。

今日は仕事が・・・

2005-06-21 06:25:32 | パリ左岸
今日は仕事があまりうまくいかなかった。
フランス人の同僚に、「日本に帰れば」なんてこと
まで言われた。言うか、普通。
僕の仕事の仕方が彼女には気にいらなかったらしい。

それで思い出したのだが、僕が東京にいて、
やっぱりお粗末な仕事をしたとき、
やっぱり同僚から、「九州に帰れ!」などと
いうことを言われた。そのときも、心の中で
「言うか、普通」とかと思ったもんだ。

そういうことを言ってくれる人間が周りにいるのも
いいことなのかも、しれない。などと
家に帰ってから考え直す。ぬるま湯のような
雰囲気の中でぬくぬくと育っても進歩はないもんな。

明日は一年のうちで一番日が長い日だ。
音楽の日。パリのあちこちの街角で人々が
思い思いに音楽を演奏する日。音楽って、
「音を楽しむ」という、ものすごく本能的な行為なんだよね。


六月の猛暑

2005-06-19 07:26:17 | パリ右岸
今が一番、昼の長い季節。6月21日の夏至まで
日は長くなり続ける。夜10時なっても、まだ
日は沈みそうもない。アパートの中庭の木も
気持ちよさそうに、太陽の中で葉を揺らしている。

今日の最高気温は30度。午後4時ごろ家を出ると
うだるような暑さ。通りでは誰もが半袖シャツをきて
涼しい格好で歩いている。
こんな暑さじゃどこに行く気にもなれない。
住んでいる界隈の白い街が、全部蜃気楼のよう。

夕方ごろ友達が遊びに来たんで、アパートのベランダで
ビールなど飲む。フォスタービールと1664
夏休みの話などする。
そうそう、僕は来週スペインに週末だけ、ぶらっと行くんだけど、
大丈夫だろうか、なんの準備もしてねえよ。例によって。

アドリア海の種ともこ

2005-06-17 06:41:36 | 種ともこ
今日はパッとしない一日で、
ワインなど飲みながら
種ともこを部屋で一人聞いている。
ほかに勉強したり、本を読んだり、としたい
ことはあるのだが、なんだか種ともこを聞いてしまう。

名作と誉れの高い、「migthy love」
というアルバムに入った、『ハネムーン』という
曲を聴く。「アドリアに浮かんだ島へ行くの」で
始まるこの曲は、夏のバカンス感に溢れていて、
今にも、アドリア海沿岸の白い暑さが僕にまで
届きそうだ。

ブーローニュ・ビヤンクールに住む友達が
今週末からバカンスで車に乗って、クロアチアまで
行くと言っていた。クロアチアは急に人気のでた
観光地で、去年からその物価の安さと、手付かずの自然、
というか資本主義にまだ荒らされていない海岸の保養地に
フランス人が殺到しているらしい。

曲を聴いていると、じっと地中海の海の青さが浮かんでくる。
葡萄棚の下で日差しをちょっとよけながら、
昼寝をする。種さんが何度も連呼する、
けだるい、ものうい午後。
何のやる気も起こらない、溶けそうな太陽。
バカンスはこうじゃなきゃなあ。



ジャングルの種ともこ

2005-06-14 14:34:29 | 種ともこ
部屋の掃除をしながら、種さんの
ベストアルバムを聞いていたのだが、
ハタ、と掃除機をかける動作をやめて
たたずんでしまった。種さん、すごい。

初期の曲を全部、暗記していて一緒に
歌ってしまう自分もすごいが、種さんの
初期の曲には、もう天才と言うしかない
ほどの、才能がほとばしっている。
そうそう、この無尽蔵の才能の「ほとばしり感」
が僕を種ファンたらしめるのだ。

名作と名高いセカンドアルバム「みんな愛のせいね」
のオープニングの曲、「AI AI」
なんて止めをさされた、って感じ。
「あなたを呼ぶささやきが ジャングルいっぱいひびきわたるの」
なんて、誰がこんなフレーズ思いつくだろうか?
不安定なメロディー、途中で不意にはさまれる変拍子、
見事なコーラスワーク(コーラス部分も一緒に歌える自分)
どれをとっても種ワールド全開だ。

サン・クルー界隈

2005-06-12 05:54:57 | パリ左岸
サン・クルーはブーローニュの森を
突き抜けて、セーヌを渡ったすぐのところに
ある、高級住宅街だ。パリ郊外には
ヌイイーとかソーとかあちこちに
高級住宅街があるが、ここもその一つ。

サン・クルーなんて用事がないから
行くことなんて滅多にないのだが、今日の
午後、気晴らしにサイクリングしていて
ふっと気が向いてセーヌ川を渡ってしまった。

初めて足を踏み入れるサン・クルー。
僕の前には急な上り坂が立ちはだかっている。
ここは丘陵地に開けた町なのだ。
上り坂を息を切らせながら、自転車をこぐ。
坂の脇には瀟洒なマンションやら、一戸建ての
住宅が並ぶ。街角にたむろしている不良少年など皆無。
というか通行人自体全然いない。誰ともすれ違わない。

坂を上りきったところで視界が開ける。
広大な緑地。サン・クルーの競馬場がそこにあった。
後方を振り向くと見事なパリのパノラマ。
ブーローニュの森やエッフェル塔どころか、
モンマルトルの丘のサクレクール寺院まで見渡せた。

自転車こぎ続けて汗だく。今日はぐっすり眠れそうだ。

家族の肖像

2005-06-11 06:07:23 | フランス
だらだら仕事をしていたら、
上司から「外国語研修」の申請書式が。
うちのようなみみっちい会社でも、
外国語研修(フランス語だけど)の
申請をしたら、研修費用が若干出るらしい。
研修費用つっても、語学学校の学費のことなんだけど。

といいつつ、去年の秋季に5ヶ月ほど、
アリアンスフランセーズの発音講座に
通って、ちょっと語学研修には懲りてしまった。
まあ、僕はフランス人ではないので、
日々フランス語に研鑽することが必要なんだろうけど、
学校行って、つまらないプリント配られて、
気の合わないクラスのみんなと一緒に
教室でプリントの内容について話し合うより、
一人で家でフランス語の文庫本でも読んでたほうが
ずっと楽しい、というのが本音。

あとこないだ友達のアパートに遊びに行ったら、
恋人の写真が机の上に飾られてあった。
恋人の写真、家族でもいいが、そういうものを
机の上に常時置いておいて、話しかけたり、
眺めたりする行為というのはなんかおかしい。
僕は恋人の写真を机の上に飾ったりするような
人間じゃないし、これからもそんな人間には
ならないような気がする。
まあ、人の勝手だからいいんだけどね。


六月の光

2005-06-09 06:25:22 | パリ左岸
仕事帰りに知人宅に遊びに行ったせいで、
午後10時ごろ、とある、パリの南郊の駅の
プラットフォームにぼーっと立って、
僕はパリに戻る電車を待っていた。

午後10時といっても日はようやく傾き始め、
西の空には金色の夕焼けが広がっている。
六月のこの時期は、一年で一番
美しい時期だ。

ホームから西のほうを見ると、
新しいショッピングセンター建設現場の
クレーンが、夕映えを背後にして、
黒いシルエットを広げている。

東の方角には、緩やかな丘陵地帯に
赤茶けた屋根の家々が連なる。どの家も
小さな庭があって、夕闇の中を
庭の緑が色濃いコントラストになっている。
この空をずっとたどっていくと、ノルマンディーまで
続いているんだろうな、などとまた回想。
フランスの六月の空気をすえて、
本当に幸せだ、と思うぐらい美しい夕方だ。


加齢の恐怖

2005-06-08 05:36:35 | Weblog
こないだ白髪を頭髪に見つけてしまった。
この自分に白髪が・・・。
五月の頭に高校の同級生が遊びに来たとき、
「おまえ、白髪増えたよなあ、俺なんか
一本も白髪なんかないよ」などと自慢していた
ばちがあたったのか・・・。とほほ。

僕は36には見えないとよく言われるが、
そもそもの起こりは、この高校の同級生と
比べてやたら僕の老化が進んでいないことが
事実としてあるのだ。
そりゃ、僕も18のころに比べると確実に
体重も増えたし、白髪だって目立たないが、
冒頭で書いたようにたまに見つかる。
しかし、この同級生、ふけっぷりが僕の
それをはるかに上回るのだ。
関取みたいな腹してるし、髪はふさふさと
多いのだが、白髪がやたらある。40過ぎの
おじさんみたいだ。

などとあんまり書くと、まるで自分の若さを
自慢しているいやな奴みたいなんでやめとくが。
ってそうなんだが・・。


シテ島界隈

2005-06-03 06:06:44 | パリ左岸
滞在許可証の更新のため、シテ島にある
警察庁へ。僕のような外国人や移民予備軍で
あふれている警察は、いつも異様な雰囲気が
溢れていて、気が滅入ってしまう。フランスの
お役所はたいてい評判が良くないが、その
良くない評判の最たるのが、ここ警察だと思う。

僕の近くにアルジェリア人のおじさんが座って
いたのだが、アルジェリア人の場合、最初の
滞在許可証はここ、シテ島の警察ではなく、
15区にあるアルジェリア系市民センター
で取得するらしい。ということで、警察の人から
必死で15区に行け、と説明を受けていた。
せっかくシテまで来たのに、また15区に
移動かよ。おじさん、地下鉄での行き方まで
聞いていた。

警察の用事を済ませると、時間があったので
ノートルダム寺院へ。暗い寺院内をステンドグラスを
見上げながらうろうろする。相変わらず観光客の
ひどい群れ。これでもキリスト教徒は神聖な
気持ちになるんだろうな、なんて想像。

そのあと本屋によって、『フランスの歴史』という
文庫本を買う。面白くて一気に40ページまで
読んでしまう。40ページ読んでも、まだ
ガリア人、ローマ帝国以前の歴史なんだけど。