日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

アンダルシアへの道(7)

2012-08-26 11:59:40 | スペイン
カディスに着くまで、カディスがどんな街なのか
頭の中ので想像してみたのだが、どうもイメージがわかない。
GEOという雑誌で以前に見たアンダルシア特集では
青い空の広がる、南国の雰囲気にあふれた市庁舎の写真が
掲載されていた。もしくはテレビでみたカディス紹介の
短い番組では、城壁に囲まれた旧市街の、薄暗い歩行者専用道路
の様子が映っていた。

しかし、全体としてはどうなんだろうか。
大西洋に着きだした、大航海時代の新大陸との貿易拠点だった
この街はどんな雰囲気なんだろうか?

その答えが写真。


アンダルシアへの道(6)

2012-08-22 23:25:33 | スペイン
エストレマドゥーラの、荒野の中にぽつねんと
閉じ込めれたような小さな町で一晩眠った後、また
アンダルシアに進路を取るべく、町はずれのバスターミナルに向かう。
最初RENFE(国鉄)の駅に行ったのだが、どんなに時刻表を見ても
一日6便ぐらいしかなく、それもセビリヤに南下する鉄道が
あるとは思えない。行き先をどんなに見てもセビリヤに止まる
便が見つからないし、どっちにしても一番早い便でも
11時40分発とか。今、まだ9時半なのに。この
スカスカのダイヤはなんだろう。

で、国鉄の駅から5分ぐらいしか離れていないターミナルに向かう。
次の目的地、アンダルシアの大西洋岸の街、カディスへ。
カセレスからカディスまでのバスの直行便がないかな、と
思っていたのだが、電光掲示板を見ても、そんなものありそうにない。
せいぜいセビリヤまで行って、そこからまた乗り換えるような感じ。
仕方なく、セビリヤまでの直行便に乗る。

3時間のエストレマドゥーラの荒野の旅が終わり、大都会セビリヤへ。
バスターミナルから、今度はカディス行きに乗り換えてもいいと
思ったが、ふと思い立ち、国鉄のサンフスタ駅に。
ガイドブックによると、セビリヤとカディ間は1時間に一本の
割合で電車が走っているという。

サンフスタに着くと確かに、カセレスと違って結構な頻度で
あちこちの方向に電車が発車しているのが分かる。カディス行きも
30分もすれば出発。そそくさと切符を買い、それでもちょっと
時間があったので、駅構内のカフェで生ハム入りサンドイッチ
(びっくりするほどおいしい)と生ビールを二杯飲んでから
電車に乗り込む。

セビリヤからの電車の旅は、窓の外には光しか見えない
まぶしい風景が広がっていた。

アンダルシアへの道(5)

2012-08-21 22:39:20 | スペイン
セビリヤからバスに揺られて3時間。バスの窓から見えた
エストレマドゥーラの風景は、本当に荒涼としていた。
地平まで続くオリーブやコルク樫の木と、乾いた土。誰もいない、
家畜さえも見えない不毛な大地の景色がずっと続いていた。

そんな大地の中に忽然と姿を現す古い町がカセレスだ。
エストレマドゥーラの宝石と言われている。とくに中世からの
歴史を刻んだ建築や街並みが残る旧市街はユネスコの世界
文化遺産に指定されている。

ホテルに荷物を置き、到着早々、旧市街をぶらつく。
細い路地や土色の建物の間は何の音もしない。車が入れないので
ここには文明と人間しかいない世界なのだ。

写真は旧市街のすぐそばのマヨール広場。

アンダルシアへの道(4)

2012-08-20 22:41:02 | スペイン
セビリヤで一泊したあと、次の朝、エストレマドゥーラ地方の都市、
カセレスに向かうために、セビリヤのバスステーションに向かう。
今回の旅行で行きたかったのは、乾ききった、スペインとポルトガルの
国境の地方、エストレマドゥーラ地方だ。これまで足を踏み入れたことの
ない未開の地方、そしてガイドブックや本などではたびたび
読んだことのある、他地域のように名所旧跡があふれるわけではないが、
スペインの深層に触れられるような地域。

いつかみた本に、エストレマドゥーラに住むおばあさんの写真が
出ていた。小さな、城砦に囲まれた村に住むおばあさんだ。家の仕事を
して、そして地平線まで続く乾いた荒野を見つめる毎日。
この村から出たことがないのに、人生や世界のすべてを見透かすような
おばあさんのまなざしが記憶に残っている。

セビリヤの街の北側に位置する、中・遠距離バスの駅まで歩いていく。
スペインは窓口がバス会社によって違うのだが、電光掲示板を見ても、
時刻表をみても、エストレマドゥーラのカセレス行きのバスが
どの会社のバスなのかさっぱり分からない。窓口は三つ開いている。
あてずっぽうで端っこの窓口に行って、「カセレスまで」と尋ねる。
窓口のおばさんはとんでもない、といった顔で
「それはここじゃないよ」という。
「どこの窓口で切符が買えるんですか?」と聞くと、
「そんなの分からないわ」
とそっけない。

その隣に行くと、
「そこはうちじゃない」と窓口の中の娘さんが答える。
「どこの窓口ですか?」と聞くと、
「カセレスは一番端っこの窓口」と今度は丁寧に教えてくれる。

端の窓口で、カセレス行きの切符を買い、ようやくエストレマドゥーラ
に迎える自分なのだった。

アンダルシアへの道(3)

2012-08-19 23:03:07 | スペイン
通りを歩いていてあまりに暑いので、近くにある
アイスクリームスタンドに入ってコーンに入った
アイスクリームを買ってみる。いろいろなフレーバーが
あるのだが、適当にイチゴとチェリーを指さす。
COPA(カップ)かCONO(コーン)のどちらのタイプが
いいか聞かれたのが、なんとなく理解できたので、コーンを選ぶ。
ああ、アイスなんて食べながら街ぶらぶら歩くなんて
学生時代ぶりだよ。

グアダルキビール川を渡って、セビリヤの対岸の街トリアナに。
前から行こう行こうと思っていた場所だ。昔のジプシーの街。
下町とバルと観光客向けの川沿いのレストランが同居する不思議な空間。

足を踏み入れると、セビリヤの街とは違う、近代化されていない
低層の昔風の建物が道の両脇に並ぶ静かな街が広がっていた。
シエスタの時間は、通りに誰もいない。バルもシャッターを
おろしたまま。店先にcruzcampo(有名なビールメーカー)の
看板だけ出されている。この暑さがなければ、ずっとこのまま
ぶらぶら徘徊していたいような街だ。

アンダルシアへの道(2)

2012-08-18 23:15:42 | スペイン
僕はゆっくりとセビリヤの街を歩き始めたのだが、
5分も経たないうちにその高温と乾燥の世界にくじけそうになってきた。
ヨーロッパは乾燥しているとはよく言われるが、そんな
次元の渇きではない感じ。どんどん水分が体から蒸発する。
ああ、そういえばここはアフリカにもう近いんだもんなあ。

ちなみにセビリヤに来るのは僕の記憶ではたぶん、5年ぶりぐらいで
アルカサルとか、大聖堂とか、闘牛場とか町のつくりとか
道とかだいたい覚えていたので、道に迷うことはなかったのだが、
この猛烈な高温の、熱風の吹くシエスタの時刻のセビリヤにジャブを
食らったような形になり、ちょっと面喰ってしまった。

ちなみにセビリヤに来てからスペイン語が全然聞き取れないと
思っていたのだが、それは一つには僕の凡庸なスペイン語力にも
よるのだが、もうひとつは単語の最後のSを発音しないアンダルシア
方言であることが分かった(分かったのは後日だが)。それは
こんな風だ。

グラシアス→グラシア(ありがとう)
アディオス→アディオ(さよなら)
タパス→タパ(タパスのこと)
ドス→ド(2)

見事に最後のエスを発音しない。間際らわしいことこの上ない。
写真はセビリヤの街歩きを始めた地点。青い空をいとおしむ余裕
なんて全然ない。



アンダルシアへの道(1)

2012-08-17 20:56:48 | スペイン
デンマークから戻ってきて、一人でボーっとしていたのだが、
あわただしいまま、8月も半ばになり休暇の時期となった。
スペインに漠然と行きたいとは考えていたのだが、今まで
何度も行ったし、具体的にどこに行きたいと考えるまもなく
時間が過ぎ、休暇直前になってしまった。仕方なく、半ば
何も考えずにスペインの格安航空会社の往復チケットを予約し、
パリとセビリヤ往復切符を予約する。

セビリヤにとりあえず飛べば、あとはアンダルシア内を
自由に旅行できるだろう、セビリヤを起点に電車もバス路線も
伸びているから。

オルリー空港から約2時間で、セビリヤに到着する。
空港から市内までバスに乗り、バス降り立つともうそこは別世界。
気温40度の、乾燥と高温の街が待ち構えていた。

コペンハーゲンに行ってくる(3)

2012-08-02 22:54:42 | 海外(フランス、スペイン以外)
そして僕は、次の日の朝、コペンハーゲン郊外の、フンレベックという
町を目指して電車に乗り込んだ。行き先の地名なんかを見ても
デンマーク語の地名なんでイマイチ正しいのか正しくないのか分からないが、
とりあえずこの駅の名前のつづりだけ確かめて電車に乗る。

30分ほどの電車の旅。隣の車両では、大声でなぜかフランス語で
威嚇するように、「イスラーム万歳、アルジェリア万歳」とか
エルサレムがどうたら叫んでいる狂人がいたのだが、みんななんか
見て見ぬふりをして誰も騒いでいなかった。シュールな光景。

フンレベックの駅を降りて徒歩15分ほどで、この旅のハイライト、
前から行きたくてたまらなかったルジアナ美術館に到着。
私邸を改築した広大な敷地には欧州有数の現代アートのコレクションが。
ジャコメッティの部屋や、ソフィ・カルの展示などに羨望のため息。
そして北欧の建築と都市計画についての企画展も同時に開催していて、
本当に隙のない美術館だ。

鑑賞に疲れて、緑の庭園に出るとそこにはヘンリー・ムーアや
ジャン・アープの彫刻がたくさん配置されている。お地蔵さまのような
イサムノグチの彫刻まで。

そしてその庭園の先には北海が広がっている。写真はたまたま
芝生のうえで行われていたクラリネットとオーボエのコンサート。
こんな豊かな、すがすがしい時間があるんだなあ。