日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

アントワープへ3.

2017-11-09 21:42:06 | 海外(フランス、スペイン以外)
アントワープの街は10月末ということもあって、曇り空が広がり
かなり暗い感じ。これはパリと変わらない。からっとした夏が過ぎると
10月から2月ぐらいずっと曇り空が広がってなかなか青空とか
明るい感じにならない。パリに住んでいる日本人の中にはそれがかなり
つらい、みたいなことを言う人がいるけど、僕は結構平気だ。
故郷の福岡とあんまり変わらないから。福岡も冬は曇りばっかりで、
なんかこういう憂鬱な雰囲気に免疫があるから、平気なのだ。

そんな暗いアントワープの街をぶらぶらさまよいながら、現代美術館へ向かう。
お目当ての、ヨーゼフ・ボイス展に行くために。

アントワープ現代美術館は二回目の訪問だ。ちょっと街の中心部から
離れたところに位置する、しかし充実した常設コレクションを持つ
美術館だ。ヨーゼフボイスの展示は2階のフロアで行われていた。





今年の夏にドイツを回ったときに、あちこちの美術館の常設コレクションで
ヨーゼフボイスの作品に何度かであった。フランスと違い、ドイツではボイスはスターなのだ。
難解で、メッセージ性が強くて、時代性を色濃く出したその作風は
何度見ても、難しすぎて僕にはよくわからない。
ポンピドーのコレクションにある作品も展示されていた。

アントワープへ2.

2017-11-05 20:30:52 | 海外(フランス、スペイン以外)
アントワープ駅をちょっとでも出るとそこには
ダイヤモンド街と言われている、宝石店の立ち並ぶ
ユダヤ人街になる。通りのどこをみても、ダイヤモンドが
頑丈そうなショーケースに入れられて陳列されている。





世界のダイヤモンド取引の中心がこのアントワープということなのだ。
ダイヤモンド産業にかかわる大きなユダヤ人コミュニティーがあり、
北のエルサレムとも呼ばれているとか。

ダイヤモンド街を過ぎて、洗練されたフランドルらしい町並みが
続く市街地をそのまま進んでいく。



ブリューゲルなどの名画が揃うお目当ての、マイエル・ヴァン・デン・ベルグ美術館に行くために。

古い貴族の館を改良した美術館は、知名度のわりに訪れている人も少なく、
僕が行った時には土曜の午後にも関わらず、6人ぐらいしか来館者がいなかった。
古いタペストリーがあちこちにかかった、そして木の梁があちこちにみえる
館の中には、ブリューゲルやボッシュなどフランドルの作家の名画の宝庫。



絵画だけでなく、彫刻や版画、調度品も展示されている。
静謐な空間では、なんかシンとした、清廉な気持ちになるものだ。

美術館の目玉でもあるブリューゲルの絵画をじっくりみる。
寓話的に、聖書の話に基づいた絵画世界がフランドルの風景の中で
精密に、まるで中の人々が生きているかのように、臨場感をもって描かれている。






そして、ボッシュ。



本当は、ブリューゲルの「狂女 フリート」という作品が一番見たかったのだが、
修復中で展示されていなかった・・・。残念。

アントワープへ

2017-11-03 21:24:22 | 海外(フランス、スペイン以外)
またアントワープに舞い戻ってみる。10月最後の週末に。
ずっとアントワープにまた行きたいともんもんとしていたのだが、
なんだか決心がつかなかった。行こうと思えばいつでもいけるような
距離の場所なんだがね。

たまたまアントワープ現代美術館でヨーゼフボイス展をやっていると
現代アート系のメールニュースで知ったのと、9月末から毎週末
働いていて、なんかここらへんで旅行行かないと限界だ、と思ったこと
なんかが要因となって、なんか発作的にアントワープ行きの切符を買う。
SNCFのアプリで買うだけだから、あっという間なんだけど。

土曜の朝、早めに家を出て北駅からタリスに乗る。
12時過ぎにはもうアントワープの駅に着く。





電車がアントワープ駅の地下ホームに着く。エスカレターをどんどん上がっていくと、
「駅の大聖堂」と言われたアントワープ駅の威容が現れる。
着いたばっかりなんだけど、なんだかうきうきしていく。旅行はやっぱりいいもんだ。

そして駅を一歩出ると、もうそこはあのアントワープの街が広がっている。
空は曇っているけれど、あのよそゆきの顔をした、人々であふれる街路が広がっている。


ドイツへの道4.

2017-09-03 00:53:44 | 海外(フランス、スペイン以外)
ベルリンで4日過ごした後、プラプラとハンブルクへ電車で向かう。
ベルリンは見るものがありすぎて、ほんとうに飽きないのだが、
あまりに都市が巨大すぎて、電車や車に乗らないと何もできない、ことに
ちょっとうんざりしてしまった。街がヒューマンスケールではないのだ。
ちょっと東京みたいかもしれない。

ハンブルクに行った目的は2つ。一つは新しくできたコンサートホールの
建築を見ること。
古い倉庫の上階を改造してコンサートホールを作ってしまったのは
その建築のコンセプトの斬新さにも参ってしまうが、造形の
美しさにも息をのんでしまう。

最寄りの地下鉄を降りるとすぐにコンサートホールが姿を現す。



スイス人の有名建築家、ヘルツォーグ、ムーロンの建築だったと思う。
コルマールのウンターリンデン美術館も彼らなんだよね。

そしてさらに近づくと、こんな迫力のある建築に。




もう一つの目的は、ハンブルク美術館のポールクレーの「金魚」の絵を見ること。



しっかり見てきたよ。このシュールな、クレーにしては具象な筆致、ただし
さまざまなメッセージが抽象的にあふれている画面。
絵の前でしばし立ち止まって、じっくり考え込んでしまった・・・。

ドイツへの道3.

2017-09-03 00:41:25 | 海外(フランス、スペイン以外)
翌日はまずは、ベルリンの新都心であるポツダム広場に行ってみる。
東西冷戦時代に、ベルリンの壁が建立され、まるでノーマンズランドの
ようになっていた地域が、冷戦終結後、一気に大規模開発されたというわけだ。
ドイツバーンといったドイツを代表する大企業の本社や、
ソニーセンターなどのオフィスビルが軒を並べる。

ソニーセンターのドーム状の大きな屋根に感心した後、
ベルリン駅の裏側に位置する、古い駅舎を改築した
ハンブルク現代美術館に行ってみる。





美術館の中は現代アートの宝庫。
アンディウォーホールなどの常設展示が所狭しと並んでいる。
なかでもヨーゼフ・ボイスの展示は、作家がドイツ出身であることもあり、
ひときわ思い入れの強いものだった。


ドイツへの道2.

2017-08-20 11:00:34 | 海外(フランス、スペイン以外)
ベルリンでバウハウス美術館に行けたのはとてもよかったと思う。
ほかの大美術館に比べると、こじんまりとした、小さな美術館なのだが、
無駄なものは何もなく、バウハウスの思想にストレートに触れることが
できる、貴重な美術館だからだ。

はっきり言って、僕はバウハウスのことを何も知らなかったんだなあ、
と実感してしまった。



美術館の中庭ではいくつもの移動式小型住宅が配置されていて、
その中で住居空間に関するデモンストレーションが行われていた。
バウハウスは「小さな住居」を推奨していたというが、そんな思想が
実感できる場所だ。

美術館内部はいくつかのセクションに分かれ、常設展と企画展のスペースに
分かれている。





無駄を排した空間。常設展のオーディオガイドの丁寧な説明。
カンディンスキーやパウル・クレーなどバウハウスの教授陣だった
20世紀を代表する作家の作品も展示されている。

カンディンスキーは、特定の色にあう、特定のフォルムといったものを
定義していて、その原則に合わせて創作活動を行っていたこと。例えば
赤であれば「円(サークル)」が一番適切な形であること、など。

オスカー・シュレンマーの独創的な彫刻を前に、彫刻は
一面だけから見るのではなく、側面、背面すべての面から
鑑賞の目を向けなければならないこと。

デザインというものがどれだけ深く、社会、人間の生活にかかわるものなのか、
新ためて認識することがだきた。

ドイツへの道1.

2017-08-20 10:36:51 | 海外(フランス、スペイン以外)
夏休みを利用して、生まれて初めてベルリンに行ってみた。
距離的なこととか、言語的なこととかいろいろあって、なかなか
行く気にならなかったのだが、今回、カッセルのドクメンタに
行ったので、意を決してベルリンにも足を延ばしてみたのだ。

もう、駅からしてパリと違って近代的だ。立体交差する通路と
ホーム、そして両側に張り巡らされた数々のショップ。



そして、ベルリン発祥のカリービュースト。





はっきり言って、体にすごく悪そうなのだが、バカンス中だし、開放的な
気持ちも手伝って、ほぼ毎日口にしてしまう。





ヴェネツィアへ(5)

2017-08-01 00:51:01 | 海外(フランス、スペイン以外)
ヴェネツィア3日目は現代アート関係の美術館を
あちこち訪問していたのだが、途中で暑気と徒歩疲れで
リタイアしそうになる。橋から見るヴェネツィアの
街はこんなに素晴らしいのに、日差しの強さでなんだか
そういうものとして鑑賞できない感じだ。



そうやって、昨日のようにやっぱ昼にホテルの部屋に戻ってきて
ビール飲んだり、ポテトチップスつまんだりして、昼寝をする。
そして19時ごろに起きだして、夕食のためのレストラン探しを
するのだった。

今回はリアルト界隈からちょっと辻に入った、人通りの多い通りに面した
レストラン。満員というわけでもなく、閑散というわけでもなく、
僕のような一人旅をしているものにもなんとなく入りやすい店だ。
店員も美人のウェイトレスとかいて、感じがいい。

席はどこがいいかと聞かれて、思い切って通りに面した
テーブルを指さした。ウエィトレスは変なかもせずに、「この席が
いいものね、チョイスは正解よ」というようなことを言っていた。

食前酒は前から気になって仕方なかったスプリッツ。
赤い、アペロールという低アルコールをプロセッコで割ったのみもので、
夕方ぐらいになるとベネツィアではみんなが飲んでいる。
飲みやすいし、風味もいいし、話もはずむような飲み物だ。

そのあとおもむろにミックスサラダをオーダー。旅行中というのは
野菜が不足がちになるものだ。



サラダが運ばれてきたので、おもむろにテーブルのバルサミコ酢をかける。
う・・・うまい。こんなバルサミコ酢は味わったことがない。
酸味があるんだけど、うっすら甘くて、サラダとの相性が抜群。これだったら
いくらでもサラダ食べていたいほど。

そのあと調子に乗ってイカスミのパスタを頼む。


付け合わせはギンギンに冷えた、ソアーベ・クラシコ。
ベネツィアは本当においしい。


ヴェネツィアへ(4)

2017-07-30 11:40:02 | 海外(フランス、スペイン以外)
ビエンナーレをとりあえず見終わった後、なんか鑑賞疲れして
ホテルにいったん戻る。無数の展示をみるのは最初は楽しいのだが、
いちいち作品世界に没頭していくと、根気も、注意力も、集中力も
徐々に低下していくのだ。

ベネチアの夏の暑さも疲労に拍車をかける。
緑が極端に少ないので、日陰というものがなかなかなく、汗ばかりかいてしまうのだ。

ギンギンにクーラーの聞いたホテルの部屋でビール飲んだ後、
ひとしきり昼寝をする。そうするといい具合に、夕刻に目が覚めて、
さあ、これから夜の街に繰り出そうか、という気持ちになるのだ。



アカデミアやリアルト界隈をうろつく。20時を過ぎると
だんだん日差しも収まってくる。あちこちのレストランを眺めては
感じのよさそうな店にあたりをつけて、ぐるぐる街を回る。

最終的に入った店は、お客はそんな多くないけれど、ウェイターの
おじさんが愛想のいい店だった。ほかの、例えば英語や中国や
多言語のメニューがおいてあるような店は、カモでもみるような
扱いを客にするのだが、この店は感じがいい。

ということで海の幸パスタを頼む。



うまい。アドリア海って偉大だなあ。


ヴェネツィアへ(3)

2017-07-30 11:25:52 | 海外(フランス、スペイン以外)
ベネチア2日目は、早々と起きて今回の目的でもある
ベネチア国際ビエンナーレ会場へ。今年は美術展だったのだが、
メイン会場のジャルディー二公園は朝から、この世界最古の
ビエンナーレを見る客でごった返していたのだった。

スウォッチ館のイアン・ダベンポート。



チェコ館のユーモラスな展示。



ジャルディー二公園からもう一つのメイン会場、アルセナーレに行く。
ブラブラとベネチアの街をさまよう。迷子になりそうな、迷路のような
通路と運河と細い道。


ベネチアへ(2)

2017-07-24 20:34:18 | 海外(フランス、スペイン以外)
着いた日の夜は、とりあえずガイドブックに出てきた
魚介料理が有名な店に行ってみる。
トラットリアなんとか、という名前の、ガイドブックによると
隠れ家的な店、とのこと。
でもガイドブックに載っている時点で、もう隠れ家じゃないんだけどね。

地元の人で込み始める時間を避けるように、
19時過ぎに店に行ってみると、もうそこには
テーブルの半分ぐらいが埋まっている。イタリア語なんて
聞こえてこない。英語の会話ばっかり。僕のようなアジア人もそこそこ。

一人だと告げると、結構、入口近くの席に
ぶっきらぼうに座らせられる。

えっと、思ったがそのあと頼んだ
プロセッコとビールが運ばれるとなんだかいい気分になる。
観光客ずれしてぞんざいな店なんだが、
魚介はベネチアだけあって、そこそこおいしい。
さすがアドリア海。





カニと、イカのフライでお腹はいっぱいになるのだ。

ヴェネツィアへ1.

2017-07-23 01:27:15 | 海外(フランス、スペイン以外)
2年ぶりにヴェネツィアビエンナーレに行ってみた。
日本館だとか、フランス館だとか見てみたかったし、
あと、パラッツィオ・グラッシでダミアン・ハーストの展示などやっているというので
それものぞいてみたかったからだ。

easy jetに乗ってオルリー空港から1時間半。
意外にもヴェネツィアは非常に近距離の場所にあった。
空港を降りたとたん、日差しが指すように強い。
空港からヴァポレット乗り場までの通路を歩くのだが、
灼熱の午後の日差しで背中が痛いくらいだ。

ヴァポレット乗り場までくる。目の前にいきなり広がるアドリア海。
これから海の国、ヴェネツィアに向かって出発する。

北の星3.

2015-12-13 22:19:02 | 海外(フランス、スペイン以外)
アラビアの工場から帰り道、市街地に降りてヘルシンキ大聖堂に立ち寄る。
夏の大聖堂とはうってかわって、曇った空が背後に続いている大聖堂だ。



石段を上がって、広場と街を見下ろす。
この大聖堂は割と高い場所に座しているのだが、周りに
景色を遮る高いビルが多く建っているので、実はあまり眺望はよくない。
とはいっても、広場が見下ろせて絶好のロケーションであることには
変わりはないのだが。
広場ではクリスマスマーケットの準備の真っ最中。本当はマーケットの
見物に来たのだけど、まだ始まっていなかった・・・。
ドイツなどはクリスマスの一か月前にマーケットが始まるし、
パリでもマーケットのようなものはもうすでに開いていたのだけど、
ヘルシンキの人たちはちょっと呑気みたいだ。



本当に厳しい寒さの時にフィンランドに来てみたいなあ、と思う。
1月か2月。大自然を旅してみたいなあ。


北の星2.

2015-12-06 22:19:39 | 海外(フランス、スペイン以外)
深夜に着いた翌日は、のろのろと起きだして
ホテルの朝食ビュッフェなどに行く。
今回デザインホテルのようなホテルに泊まったのだが、
朝食堂に行ってびっくり。これまでのヘルシンキ旅行では見たことのない
繊細な朝食メニューがカウンターに並んでいた。
ルバーブのジュース、クランベリーのジュース、キュウリの切れが入っている
ミネラルウォーター、サーモンのサラダ、キノコのサラダ、
小魚の燻製、など見ているだけで楽しくなるようなフィンランド式の
朝食メニューが並んでいる。なんだか幸せな気持ちになって
朝食をとる。食事って大事だよなあ。

そのあと、市電に乗って今回の旅行の目的でもある
アラビアのファクトリーショップに行ってみる。なんか話の流れで
彼女にアラビア行ってきて、みたいに頼まれてしまったのだ。
それまではアラビアなんてよく知らなかったのだが。

市電に揺られて郊外まで行くと、いきなりアラビアと工場が。



工場とデザイン大学とアウトレットショップといろんな施設が
同居している場所なのだが、なんとか入り口を見つけて入館する。



僕はあまり陶器とか皿とかに興味はないのだけれど、
そんな僕でさえ、ずっと立ち止まって見入ってしまうような陶器製品が
所狭しと並んでいる。こんなデザイン製品に囲まれて生活している
フィンランド人はなんて幸せなんだろうか。
まあ、みんながみんなアラビアを持っているわけではないだろうが。

北の星1.

2015-12-04 23:37:32 | 海外(フランス、スペイン以外)
思い立ってヘルシンキに出かけてみた。
8月に行って、非常に気に入って、冬に来てみたらどうなんだろう、
とずっと思っていたのだが、思い切ってフライトを予約し、
仕事を早めに切り上げて、空港に向かい19時の飛行機に乗り込む。

3時間飛行機に乗れば、もうヘルシンキについてしまう。
1時間の時差があり、かつ出発の際に機材トラブルなんかが起こって
離陸が遅れ、ヘルシンキ空港に着くころにはもう24時ぐらい。
深夜に異国に到着するというのはなんとも心もとない。というか心細い。

11月末のヘルシンキは雪もまだ積もってなく、拍子抜けするぐらい
気温も下がっていなくて、なんとも北欧っという感じはしないのだけれど、
空港バスの中から外のネオンサインなんか眺めているといつの間にか
心が落ち着いてくる。ああ、フィンランドに来たんだなあ、と。



ようやく中央駅に空港バスが到着する。
バスを降りると夏にみた通りがそこに広がっていた。
ホテルまで足早に走っていく。途中で、有名なデパート、ストックマンの
イルミネーションが目の中に入る。