日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

フランスの行方

2017-04-23 21:03:19 | フランス
今日は大統領選の第一回投票日。もともと最有力候補であった
右派のフランソワ・フィヨンが財政スキャンダルの発覚で失脚してから、
右派、左派にも属さないマクロン、極右のルペン、極左のメランション、
そして右派のフィヨン、と四名で誰が当選してもおかしくない
選挙戦がこの一か月続いていた。そして今週のシャンゼリゼのテロ。
テロのせいで、一旦、どの候補者も選挙演説を中止、と最後まで
波乱ずくめの選挙戦になった。

自分のことを思い出してみたんだが、なんかいつも大統領選の年に
フランスにいるような気がする。1995年から。以前は大統領の任期は
7年だったのので、1995年その次は2002年。そしてそのあと5年制になったので
2007年。そして前回の2012年。
恐ろしいなあ、4回も大統領選に立ち会っていることになる。

選挙は水モノとはよく言ったもので、最後までどうなるかわからない。
マクロンとルペン、二回目の投票はどう出るか?
その間、僕は週末旅行ばっかり出てしまうことになるが・・・。

ジョルジュ・ルオーのこと

2014-11-10 22:54:06 | フランス
ルオーの宗教画は実は個人的にはずっと昔から好きだった。
どうしてルオーの絵を知ったのか今となっては覚えていないが、
たぶん、高校の美術の教科書か何かで最初に知ったのかもしれない。
そのあと、一人でフランスに旅行したとき、ポンピドーセンターの
常設展にひっそりと、しかし確かな存在感を示しているルオーの絵や、
実家の近くの石橋美術館に所蔵されていたルオーの「郊外のキリスト」
の絶望的なタッチに昔からあこがれていたかもしれない。

そして、この週末、フランスは連休だったので、一人気が向いて
ランスまでぶらっと行ってみた。実は、僕はランスには一度も行ったことがなくて、
なんだかシャンパーニュとかのブルジョワジーなイメージで
結構この町を敬遠していたのかもしれない。

町自体はやっぱりブルジョワな感じだったのだが、町の中心部の美術館で
戦争をテーマとした企画展をやっていた。この町には戦争の記憶があちこちに残っている。
有名な大聖堂にいけば、独仏戦で破壊された大聖堂の写真展をやっていたし、
この美術館の展示もまさに、第一次大戦の記憶をもとに戦争と絵画、芸術を
これでもかとばかりに展示している。ある絵では戦争で破壊された町の絵画、
そしてあるセクションでは戦場で、まさに最前線にいる兵士たちの絵、といった感じだ。

でも一番、僕の目をひいたのは、このルオーの小さな版画だった。

Au pays de la soif et de la peur

渇きと恐怖の国で

とタイトルが投げやりにつけられている。でも見ているだけで、なんだか
心の中をえぐられるような感覚を覚える。戦争の中で、どんなよりどころも失い、
ただのどの渇きと、人生や世界への恐怖の中でどうすればいいのかわからないまま
船に乗っている人。
せっかく大聖堂でシャガールの
ステンドグラスなんか見てきたんだが。こうやってジョルジュ・ルオーは
僕の知覚に一石を投じるんだな。「郊外のキリスト」もひどい絶望的な絵だったけど、
この絵もひどい。



3月になると

2014-03-09 12:53:12 | フランス
忙しいやら、精神的に余裕がないやらで、あっという間に
3月になってしまった。この時期になると、毎年なんだが、
初めてフランスに旅行した大学時代を思い出してしまう。
ちょうど3月一ヶ月かけてフランスをあちこちふらふら旅行したのだ。
たぶん、そんな経験が心の中に入り込んで、今の自分がいるんだろうな、
という気がする。

そして久しぶりに母親から手紙が来ていた。
3月末に鹿児島市に旅行に行って、5月に親戚の集まりで種子島に行って、
夏には北海道に家族旅行するらしい。なんだか旅行ばっかりしている。

手紙の最後のほうに、「歳をとると楽しみが少なくなってきます」
とさびしそうに書かれていた。親が、自分のことを歳をとって、なんて
言うことは今までなかったので、なんだかしんみりしてしまった。
そういう僕だって歳をとってるんだけど。

もう2年

2013-09-29 20:21:59 | フランス
マルセイユに行った後、バカンスが終わり慌しく9月が始まり、
ぼーっとしていたらもう9月末日になってしまった。
なんのことはない、忙しかったのである。夜中まで働いて家に戻ってすぐ眠り、
土曜日も出社していた。仕事に追い立てられていた感じだ。もうちょっとすると
まともな日が戻ってくるはずなんだが・・・。

よく考えると僕はちょうど二年前、2011年9月29日にフランスにやってきた。
もうあれから2年がたったなんて信じられない。明日から3年目の日々が始まる。
でも正直なところ、そんなことどうでもよくなってきた。通算するとかなり
長い間フランスにいることになるのだ。大学生のころの留学なんかも含めると・・・。

これからどんな1年になるんだろうか?

マルセイユに(3)

2013-09-01 10:28:40 | フランス
そして次の日は、国際写真フェスティバルが開かれていいるアルルまで
日帰りで旅行。マルセイユから電車で40分ぐらい着いてしまう。

写真フェスはかなり久しぶりだったのだが、町中に
展覧会が溢れ、50ほどの展示がすべて写真の展示という一種独特な
雰囲気は相変わらずだ。

そして昼過ぎに、前にガイドブックで見てからずっと行ってみたかった
レストラン、jardin des artsに行ってみる。まだ早いらしく、
お店にはお客さんもまばら。古い修道院を改築したレストランは
修道院の壁とか天井がそのまま残っていていい感じだ。
僕は外の席に案内され、日向でイタリアンサラダを注文。
サラダと言ってもまったくの主食になりうるボリューム(笑)


マルセイユに行く(2)

2013-08-26 22:36:32 | フランス
そして夕暮れが終わるころ、今度はその隣にある建物が輝き始める。
ブルーのネオンが夜の風景の中に浮かびあがる。これがMUCEM,
地中海文明美術館だ。夜間なので、中に入るのは明日まで待つとして、
この幻想的な建築のシルエットだけでも今夜は楽しもう。

ちなみに僕はなんでこんな仕事をしているんだろうか、とか、
なんでフランスに住んでいるんだろうか、とかなんてこと普段は考える
ことなんかないのだが、そのときはなんだか自分について考え込んでしまった。
一人旅に出かけるということは、そういうことなんだろうか。

マルセイユに行く

2013-08-24 17:09:01 | フランス
夏の休みを利用して、ブラッとマルセイユに週末行ってみる。

マルセイユにはなんやかやの用事があって仕事や個人的にも
なんどか行ったことがあるのだが、今年は特別だ。というのも
マルセイユが今年EUの欧州文化都市に選定されたこともあり
さまざまな展覧会や美術展が開かれていることに加えて、MUCEM
という地中海文明美術館という新しい美術館が開館し、
新聞やテレビで放映されているのを見て、ずっとそこに行ってみたいと
思っていたのだ。

夕方ごろマルセイユに着き、ホテルのチェックインを済ませたあと、
旧港に沿って地中海に向かって歩いていく。1年ぶりぐらいのマルセイユだが
潮の香りが町の中まで漂って、港町という感じ。
港を10分ほど歩くと、もう海岸に。
ちょうど日没の時間で、市民も観光客も思い思いの場所で夕日の沈む海を
ぼんやり見ている。海の近くに住むというのはこういうことなんだろうか、
とちょっとうらやましくなってしまった。


マルセイユを堪能する

2012-03-26 01:52:32 | フランス
ホテルは旧港すぐ近くで、街の目抜き通りカヌビエール通りに面していた。
どこにいくにも便利な場所だ。ふと窓から通りを写してみた。



夜に今回の目的と言っても過言でない、旧港沿いのレストランに
ブイヤベースを食べに行く。
もう5年ぐらい前に一度マルセイユに遊びに来て、そのとき食べた
ブイヤベースの味が忘れられなかったのだ。豪快な量と質、
ごった煮のような魚の切り身とスープ。

で、レストランまで行ったのだが、日曜といういこともあって
あまり開いていない。結局、いちばん有名なMIRAMARという
店に入る。メニューを開くと、ブイヤベース60ユーロ。
ちょっと目を疑ったが、確かに前回ブイヤベースを食べた時も
かなり値が張ったのを思い出す。ここがブイヤベースの本場なんだから、
けちるなよ、俺、自分に言い聞かせる。

よせばいいのに、アントレをまず頼む。イワシのマリネが
クッキーの上に乗っかっているような料理。無茶苦茶うまい。
ワインも調子に乗って頼むが、値段が目を見張るようなもので、
平気で100ユーロぐらいのワインがリストに並んでいる。
仕方なく値段でワインを選択。でも一本40ユーロぐらいする。
そのあと、ウェイターが、「今からこれのブイヤベースを作ります」
とどっさり魚だの、エビだの、カニだのが乗ったお皿を持ってくる。
まさか、これ全部食べるんだろうか?と思ったが、そうだった。

まず魚のスープのみ運ばれてくる。これがまた美味なのだ。
クルトンをつけながら、でもあまり胃が膨れないように気をつけながら
スープを飲み干す。飲み干した時点で、さっきのアントレとともに
かなり満腹感が倍増。そして、メインのブイヤベースが。
どう考えても魚が5匹ぐらい入っている。
が、これがブイヤベースというものである。とまた自分に言い聞かせ
格闘しながら魚を食べる。最初は、おいしい、おいしい、と
味わって食べていたのだが、そのうち口に入れて消化する、ということが
目的になって、本当に、無言で、魚と格闘しながら食べる羽目に。
いやあ、今回の旅行、カロリー摂取量が半端ないっす。

マルセイユの空

2012-03-23 22:41:18 | フランス
出張で来た久しぶりの南仏。マルセイユ。よく考えると4年ぶりぐらい
だったんだが、相変わらず空の青さに圧倒されてしまった。
マルセイユ、フェニキア人の作った街。フランス第二の都会。
久しぶりのプロバンスは、空は青いし、パリと違って
空気も人間も淀んでいないし、かなりいい感じだ。
ケバブサンドのアラブ人のおっさんから、ニーハオとか声をかけられる。
こういう屈託のなさもマルセイユっぽいなあ。

画像は丘の上、notre dame de la gardeから見下ろしたマルセイユの街。

南仏出張

2012-03-18 10:29:16 | フランス
週末にした仕事が後味の悪い結果になってしまい、どんよりとした
気持ちで戻ってきたのだが、一晩明けて今日は今日で南仏に
出張に出発。あまり、いろいろ考える暇もない。

同じように忙しさを極めている仕事相手のフランス人から、
C'est la course!
(まるでレースだよ!)
とメールが来た。本当は、反省したり、顧みたり、将来につなげることを
考えたり、と仕事は仕事でもただやっつけてしまうのでは
いけないと思うのだが。
しかし、自分も今、時間との競争しているようだ。

ということで今日は午後からTGVで南下します。

ラロシェル(2)

2012-01-21 22:43:13 | フランス
ラ・ロシェルの町は、これが二回目で、昔留学生だったころに
一回観光に来たことがある。あのときは人気のない、暗い街だな、
ぐらいにしか思わなかったのだが、今回行くと実は活気のある街
だといういことを認識した。まあ、以前も駈け足の滞在で、
大して観光もしなかったのだが。
特徴的な建物の前面に張り出したアルカード(同じタイプの
建築をスイスのベルンで見たことがあるが、フランスでは見たことはない)
が幾重にも連なって続くさまはラロシェルならではなんだろう。

以前は気がつかなかった細い通りや歩行者天国、港近くの
レストランが立ち並ぶ通りなど、せっせと観光してみる。


ラ・ロシェル

2012-01-15 00:37:54 | フランス
ということで予定通り、日帰りでラ・ロシェルに行ってみた。
観たい展覧会があったので。展覧会自体を観るのは1時間も
かからないので、十分日帰りできるはずなのだが、
TGVに3時間もゆられて移動しているうちに、
一泊でもしてもっとのんびりしてもよかったかもしれない、
などと後悔の気持ちが広がってきた。まあ、心のなかで
広がっただけで、何もしなかったが。

駅を降りると、いきなり体感温度を下げるような海風が
ピューピュー吹いている。ラ・ロシェルは大西洋に面した
港町で風が強いのだ。港に向かって歩いて行くと
通りには人があふれている。週末というのと、セール時期ということで
カフェも、ブティックも黒山の人だかりができている。

展覧会を観た後、少しそこのギャラリーの人と話してきた。
夏はラ・ロシェルの町は映画祭とロックフェスティバルがあって
それはそれは大賑わいになるらしい。ぜひ、夏に来てください、
と地元愛あふれる笑顔でそう言われた。
そういえばこうして海を眺めるのも数か月ぶりだ。
大阪にいたころは毎日大阪湾を見ていたのになあ。

南西部

2012-01-12 23:22:28 | フランス
知り合いの作家さんが展覧会をしているラ・ロシェルという
南西部の町に土曜に行こうと思っているのだが、
仕事がバタバタしてなかなか旅行の手配が進まない。
本当に行けるんだろうか?

関係ないが、ルサンチマンについてウィキペディアで調べてみた。
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主に強者に対しての、弱い者の憤りや怨恨、憎悪、非難の感情をいう。デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールにより確立された哲学上の概念
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フランスに住んでいると、たまにルサンチマンの感情にあふれた
日本人に会うことがある。自分もルサンチマンオーラを
発していないか気をつけよう。

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ルサンチマンを持つ人は非常に受け身で、無力で、フラストレーションを溜めた状態にある。つまり、実際の行動をとるには社会的な制約があり、自身の無力を痛感している人である。そういう状態にあっては誰であっても、ルサンチマンを持つ状態に陥る。
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自分もたしかにたまに自分の無力感をよく感じるのだが、
ルサンチマン的な行動には出ない(はずなんだが)。
まあ、何があっても希望を持って生きよう。

南仏の12月

2011-12-12 21:26:45 | フランス
日帰りでエクサンプロバンスに行ってきた。
日帰り出張という何の、ワクワクするような要素も何もない
移動だったんだが。しかし、TGVがリヨンを過ぎて、
アビニョンを過ぎて、糸杉とかオリーブとか、
日差しが強くなってくる様子とかが窓の外にありありと
現れると、ああ、ここは南仏なんだなあと実感してきた。

よく考えると実はエクサンプロバンスに来るのは初めてだ。
アビニョンとかアルルとかマルセイユは何回も来たんだが、
エクスはどうも大学、学問の街、というイメージが強すぎて
全然縁がなかった。街をぶらぶらあるいてみると
確かに学生が多くて、なんかプロバンスの落ち着いた街という感じだ。
12月だが、どんより曇った北フランスとは全然違うよなあ。