日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

僕とアビニョン(7)

2006-07-30 16:48:54 | フランス
夕方の演劇はエドワード・ボンドの
si ce n'est toi.
近未来の社会を舞台にした1時間ほどの戯曲。
このエドワード・ボンドと言う人は僕は知らなかったのだが、
かなりの大御所らしく、僕の職場のフランス人同僚は
「彼はもうクラシック」と断言していた。
叫ぶように声高々に繰り返される台詞。
感情の爆発が、ユーモアとシリアスさの間で行ったりきたりする。
原作を読んでみたいなあ。FNACに寄ってみよう。

写真はアビニョンの目抜き通り。夏の日の午後10時ごろ。

僕とアビニョン(5)

2006-07-28 07:25:06 | フランス
翌日のアビニョンはさらに日差しが強い。
演劇が始まるのは夜の7時。日中をどうやって過ごそうか。
とりあえず前から行きたかったアングラドン美術館へ。
目玉とされるセザンヌやモジリアーニの名画を見るけれど
あまりしっくりこない。藤田に至っては一笑に付すというか全然ダメ。
近代絵画とはこんなつまらないものだったっけ、と思っていると
シスレーの冬のノルマンディーの風景画にぶつかる。
地面に積もった雪や途方に暮れている人のため息が伝わってきそうな迫力。
シスレーはやはり凡庸ではない画家だ、などと少し感心。
もらった美術館パスを利用して調子に乗ってプチ・パレにも足を伸ばす。
プチパレの裏側にあるアビニョンのべネゼ橋にも近くまで行ってみる。
別になんとも思わない橋だったが。

僕とアビニョン(4)

2006-07-27 06:41:10 | フランス
デュラスの演劇の後は夜道をぶらぶらホテルまで帰る。
小さな路地裏に迷いながら。プロバンスの夜は生ぬるく心地よい。
努力は裏切らない、と思う。あまり関係ないが。
あとどんな文化でも誠実さに勝るものはない、とも。
ここ数ヶ月あまりに忙しくバタバタしてものを考える余裕もなかった。
ということで熱帯夜をさまよいながらいろいろ考えるのだ。

僕とアビニョン(3)

2006-07-26 13:19:23 | フランス
la pluie d'été à hiroshimaは
一言で言ってしまうと、デュラスの「夏の雨」と「ヒロシマ、モナムール」
をくっつけてひとつにしてしまった演劇だ。
くっつけたと言っても、有機的に連結しているわけではなく、
ただ単に、途中まで「夏の雨」をやっていて、そのあと
幕間なしに、「ヒロシマ、モナムール」に突入、という感じ。

「夏の雨」は当初は、単なるレクチュールに終始して、
このまま最後までリーディングで行くのかなあ、と思いきや
知らないうちに、劇になっていて、でも気がついたらまた
レクチュールに戻っていて、と不思議な舞台だった。
ただファニー・アルダンの例にもあるとおり、デュラスの文学作品は
もともと文学と戯曲の中間のような要素があるので、リーディングに
向くのだろうな、と納得。「夏の雨」は大学生のとき、友人が
貸してくれて読んで以来、好きではないけれど、記憶に残っている作品。
天才少年エルネストとパリ郊外の荒涼としたビットリー・シュル・セーヌの
街の描写が印象深い。

学校は僕の知らないことを教えるので、行きたくない。
je ne vais plus retourner à l'école.
parce qu'on m'apprend des choses que je ne sais pas.

で、ヒロシマ・モナムールのほうなんだけど、
結構ひどかった。フランス人女優も某日本人男優も。
もともと日本人男優が話すフランス語もよく聞き取れなかったし、
芝居自体、時代がかっていて、なんだか悪い意味で
すごい古びているのだ。心の琴線に触れないような古さ。

うんざりしつつホテルに戻る。街の中心の時計台広場の
メリーゴーラウンド。真夜中の12時。アビニョンは眠らないのだ。

僕とアビニョン(2)

2006-07-26 05:35:53 | フランス
アビニョンはありえないほど暑い。
パリの暑さが嘘のようだ。プロバンスの強烈な日差し。
街の辻辻にそびえる写真の街路樹。
ついつい立ち止まってその見事な枝ぶりに感心してしまう。
プロバンスに来てるんだ、という実感。ちょっと幸福感。

見に行こうと思っていたTANGOを中心とした
音楽のコンサート。ホテルで昼寝していたら寝過ごして、コンサートの
開演時間に目覚めてしまった。くそ、チケット代、損したぜ。
自分らしいが。
仕方がないので、cloitre des carmesの野外劇場で上演される
「ヒロシマ、夏の雨」(LA PLUIE D'ETE A HIROSHIMA)
のチケットを買うために、開演1時間前に行って窓口で並ぶ。
何やってんだか、自分。デュラスの戯曲だからいいけど。

僕とアビニョン(1)

2006-07-25 05:33:59 | フランス
なぜだろう、アビニョンに行ってしまった。
どうしてもアビニョンの演劇フェスティバルを
見に行きたくなり、
いてもたってもいられなくなったからだ。
これと言ってお目当ての演劇なんかなかったんだけどね。

アビニョンの広場を歩く。
プロバンスの強い日差しの中をそぞろ歩く。
変わらないなあ、アビニョン。

額縁を引き取りに~encadreurs

2006-07-22 06:20:10 | パリ左岸
今日は仕事の関係でモンパルナスにある額縁屋に
額縁を引き取りに行った。
実は額縁屋(encadreurs)という職業があることは
知っていたけれど、実際にアトリエに行くのは初めて。
一歩足を踏み入れると、ところ狭しと製作途上の額縁が
アトリエに並んでいる。昔ルーブル美術館かどこかで見た
近世のベルギーの額縁屋の画を思い出した。
いろいろな色の額縁。金、竹、木やプラスチックなどいろいろな
素材の額縁が並んでいる。額縁だけでこんなバラエティが
あることに驚かされる。
こういう職人的な職業っていいよなあ。働いている人々も
職人肌でなんか朴訥でいい感じ。

こんな毎日だからこそ

2006-07-19 14:56:03 | フランス語
J'essaie de croire qu'il y a un bon Dieu
Je lui dis pourquoi as-tu fais le monde
Si c'est pour le défaire peu à peu

神様がいることを信じてみる、そして尋ねたい
どうしてこの世界を作ったのか
少しずつ壊してゆくために作ったのか

イスラエルの空爆、空港、港湾、インフラ破壊
避難する外国人、などの映像をテレビで見ていたら
上のような、ジョルジュ・ムスタキの歌詞を
思い出してしまった。

自衛のための防衛も、自衛のための攻撃も
何も変わらない。





アビニョン行き

2006-07-18 07:45:36 | フランス
今週末演劇フェスティバルを見に行こうと思い
アビニョンへのホテルや鉄道の切符を手配しようと思う。
ホテルはネットで簡単に予約することができた。あとは汽車の切符。
どうも高い席しか残っていない。
こんなときには毎週火曜に発表されるSNCF(フランス国鉄)の
la denière minuteのサービスを利用するしかない。
直前に開いている電車の切符を安価でネット上で叩き売りするサイトだ。
ということで火曜までちょっと我慢。ていうか明日なんですけど。

従兄弟たち

2006-07-17 08:17:30 | 自分について
日本の姉から、先日亡くなった祖母の葬式の際の写真が届いた。
長いこと会っていない従兄弟たちが写真の中に写っている。
彼らは大体僕と同年代で、やはり僕と同じく出自は鹿児島県の
南の離島がルーツだ。子供の頃は夏になるたびに、お盆に顔を合わせてたしね。
写真の中では、見分けがつかないほど変わってしまった従兄弟もいれば
昔の面影を持った、まるで子供のような顔の従兄弟もいた。
どんな風に人生を過ごしているのかが大事なんだよな。

先日はコルマールで会った日本人に、「あなた九州の人でしょ」と
言い当てられた。「眉毛の太さとか、目の辺りの骨格が九州人だもん」
と言われた。その文脈で言うと、写真の中の僕の従兄弟たちは
みんな立派な九州人かも。みんなはっきりした顔立ちをしている。
みんな、あの鹿児島の南の島を覚えているのかな。




アルザス2日目、コルマール

2006-07-16 18:36:23 | フランス
コルマールを歩き回る。仕事の関係でいろんな人に会う。
日本人にもフランス人にも会う。重要なことから些細なことまで
いろいろ話す。相手の話に同感したり、感心したり、また
まったく同意できずに「それは馬鹿げてるね」などと
心の中で思ったりする。人と会うということは自分の知らない
価値観と出会うことなんだろうな、と感想。
コルマールと関係ないが。

仕事の合間に

2006-07-16 06:10:15 | フランス語
仕事の合間に某、日本に関するパネルディスカッションに
出席することになった。つーか代役だったんだけど。
フランス人の聴衆相手にまたフランス語でつたない説明を。

前回のスピーチの二の舞を踏むまいと思って、原稿を用意していったんだけど、
なんか原稿読み上げていて、ただ単に何かの朗読をしているような雰囲気に。
やっぱこういう場と言うのはメモだけ用意して、
聴衆の顔を見ながら話すのがライブ感があっていいのかも。
ちなみに質疑応答のコーナーは、周りがうるさくて
はっきり言って質問者が何言っているのかまったく聞き取れなかった。

アルザス1日目、ってまたかよ

2006-07-15 04:48:50 | フランス
仕事の関係でまたアルザスに行った自分。
前回と違い、七月のアルザス地方はものすごい高温地獄だった。
つーか週間天気予報によると南仏の次に暑い地域に指定されているらしい、
今週のアルザス。暑すぎ。しかも南仏と違って海なんかないし、
大きい川もないし・・・。行っていた場所はコルマール近郊で
ライン川からも遠く・・・。つーかライン川まだ見たことないぜ。

ちょっとした仕事の空き時間に自転車を借りてブドウ畑を
サイクリングしてみた。1時間乗って、人っ子一人出会わない。
青い葡萄の木がどこまでも、地平線まで続いているだけ。
写真は自転車をちょっと止めて撮ったブドウ畑の丘。