日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

アビニョンの幸福(5)

2007-07-30 04:24:40 | フランス
さて、angels in america は5時間もある大演劇である。
21時に始まって、終わるのは深夜2時かよ、困ったなあ、
ホテル帰れないよ、などとぶつぶつ独り言を開演前に
言っていると、いきなり隣に座ったアジア系の若いやつから
フランス語で話しかけられた。「中国人ですか?」
「いや、日本人ですが」と答えると、「あ、僕、台湾人です」との返答。
開演前の暇な時間、ちょこっと彼と話した。
台湾からフランス文学の研究のため留学しているらしく、
語学研修を終えて、10月からリヨン大学に通うらしい。

旅行先で見も知らない人と知り合って、しばし雑談をするのは楽しい。
旅行の醍醐味だ。自分とはまったく関係のない人生を生きて
関係のない生活を送っている人々。そういう人とどれだけ
知り合いになれるかで人生のものさしが決まるような気がする。
って、単なる思い込みだけど。

アビニョンの幸福(4)

2007-07-28 16:55:40 | フランス
ホテルをチェックインして、荷物を下ろして
今来た道を逆戻りし、アビニョンの城壁に囲まれた
旧市街へ向かう。今夜9時から始まるANGELS IN AMERICA
を見に行く。日本でも好評を博した、現代アメリカ社会の
暗部を反映したこの戯曲は今回、ポーランド人の演出家、
ポーランド人の役者達によってリメイクされ、
アビニョンで上演される。このあと、フランスあちこちを
周り、来年の3月にはパリのロン・ポワン劇場でも
上演が予定されているらしい。

今夜の上演はサンジョセフ高校の中庭の特設野外ステージ。
この高校はフェスティバルでいつも重要な役を果たす。
フェスティバル関係者のバーとか、明日見る予定の
現代ダンスは別の中庭の特設ステージだし。

写真はアビニョンのすぐ脇を流れるローヌ川沿いの風景。
夕暮れ時プラッと通ったら、野外遊園地が設置され
観覧車が光りながらクルクル回っていた。

アビニョンの幸福(3)

2007-07-27 07:47:25 | フランス
城壁が見えなくなると、今度は南の郊外に向かって
マルセイユ行きの幹線道路をとぼとぼ歩く。
寸前でホテルを予約しようとしたので、城壁の中の
いわゆる旧市内に宿が取れなかったのだ。
フェスティバルを見た後、ゆっくり歩いて帰れるような
場所のホテルは軒並み満室。やっと取れたホテルは
アビニョンとは何の関係もないような、遥か南の
郊外に位置していた。通りをずんずん歩く。
フランスの郊外にありがちで歩いているやつなんかいない。
車がそっけなく往来する通りと、左右に広がる高層住宅。
写真のような風景が延々と続いているのだ。

アビニョンの幸福(2)

2007-07-25 14:19:20 | フランス
駅を降りると、アビニョン名物!旧市内を
取り囲む城壁が目の前に広がっていた。
この城壁の中に法王庁が置かれ、幾代かの法王が
アビニョンからキリスト教世界を統治し、
この街が世界の中心になった時代があったんだなあ。
繁栄を極めた当時を想像しようとしたがうまく想像できない。
今じゃ、演劇フェスティバルでにぎわうフランスの
一地方都市なんだし。
ホテルは城壁の外、南の郊外に位置する、ということで
炎天下の道路をとぼとぼ歩き始める。

アビニョンの幸福(1)

2007-07-24 06:18:40 | フランス
今年も例によってアビニョンの演劇フェスティバルに行ってきた。
雨模様で肌寒いパリから一変、同じフランスとは思えないくらい
快晴のアビニョン! 写真の青空が駅から降り立ったとともに
頭上に広がっていた。プロバンスの青空、しかも夏の青空って
特別なんだよね。フランスのどこでだって見ることもできない。
プロバンスにしかない青空だ。抜けるような、どこまでも高い青空。
ミモザやラベンダーや杉やそういった南仏特有の植物の香りが
空気全体に漂っていてプロバンスの雰囲気を漂わせている。
アビニョンで演劇見て楽しむぞおお!

昔はもっと平気だったよな

2007-07-20 07:06:43 | 自分について
仕事の関係でこっちに住んでいる自分と同年代
もしくはちょっと上の日本人サラリーマンと
付き合わないといけないことが多いのだけど、
本当に気が滅入る。いわゆるオヤジギャグとか
言うし、なんか子育てと家庭しか興味がないようだし。
なんか予定調和的なんだよね、すべての発言と行動が。
そんなつまらない大人でいていいんだろうか、
と声を大にして言いたくなる。言わないが。

とそんな自分だけどやはり、昔20代の頃はもっと
どんなことも平気で、いろいろ冒険していたよな、と思う。
少なくとも冒険をする覚悟ができていたような。
今じゃ、すっかり眠いとか疲れたとかそんなことばっか
思ってるもんな。って上記のサラリーマンと変わらないか。
近親憎悪か・・・。

今日は久しぶりに落ち込んだ、しかも自分のことを考えて。
実は仕事の関係でよく一緒になる東欧の友人がいるんだが
僕と同じ平凡な事務屋だと思いきや、今日新たな事実が発覚。
実は会社員をしながら結構有名なジャズバンドのドラマー
もやっているのだ。そのバンドのホームページいきなり見せられた。
カッコいい! 自分なんかより遥かに。しかも写真とか見ると
きれいなお姉ちゃんに囲まれていい思いしているスナップが。
というか全然スポットライトのあたる場所にいるじゃん、こいつ。
要はすごいうらやましくなっただけなんだが・・・なんか敗北感。
冒険心とか自己精進とか克己心とかなんか足りないんだろうか、
僕に。いろいろ考えて守りに入って、平気じゃなくなったせいか。




新しいレストラン~クリスタル・ド・セル

2007-07-17 06:34:02 | パリ左岸
15区のコメルス通り近く、rue mademoselleに5週間前に
できたcristal de sel(塩の結晶)という名前のレストランに行く。

できたてホヤホヤのレストランらしく、ウェイターも
コックもなんかみんな若々しい。
実はこのレストラン、あちこちの雑誌で取り上げられている
らしく、僕もヌーベル・オプスのパリ版の紹介記事を読んで
足を運んだのだ。なんでもル・ブリストルから独立した
シェフが中心になってできたレストランらしい。

料理はスペイン産いわしとかバスク風目玉焼きとか
フランス南西部の料理が中心。美味だった!

ミシェル・ポルナレフコンサート(無料)

2007-07-15 17:06:08 | フランス
新大統領になって初めての革命記念日。エッフェル塔の真下、
シャンドマルス公園でミッシェル・ポルナレフコンサートが
無料で行われるというので行ってみた。

コンサートはミッシェルだけでなく、ボブ・サンクレアとか
トキオ・ホテルとかいろいろなバンドのジョイントで
夜の7時開始。場所取りも考慮して6時ごろ公園に到着すると
ものすごい長蛇の列。遥か彼方のせり出したステージまで
まるでウッドストックのコンサートのように人々が並んでいる。
今日の太陽はカンカン照りで、汗が吹き出る。青空の下みんな
水分補給しつつ、スターの登場を待っている。

前座(ということでもないが)を済ませて、夜9時過ぎ
ようやく大御所、ミッシェル・ポルナレフが登場!
いきなりトレードマークのでっかいサングラスをかけ、
なぜかフランスの国旗を背中にかけている。
このキッチュ感、この70年代感がたまらないのだ。
ステージ脇に設置された巨大スクリーンにはポルナレフの
姿が映し出される。往年のヒット曲にあわせて、往年の
振り付けのまま舞台を飛んだりはねたりするんだけど、
いかんせん、そこにいるのはお腹の出た60過ぎのおじさんだった。
ちょっと過去の残像と現実のギャップに引き気味になる。
その点、ミックジャガーは偉いよな、いつまで若々しく。
あと、あの時代のスターってみんなミッシェル、って名前だよな、
BENABARの歌にもあるが。ミッシェル・ポルナレフ、
ミッシェル・フーガン、ミッシェル・デルペッシュ、
ミッシェル・ベルジェ、あと誰かいたっけ。

ピンクの光の中でtout tout pour ma chérieを歌うミッシェル。
グランドピアノでマリールーを歌うミッシェル。アナログ感漂う。
でも聴衆もだんだん興奮してきて、ラストの
nous irons tous au paradisなんか何万人もの大合唱になって
いたのだった。
写真はミッシェルのコンサートが終わった途端打ちあがった
革命記念日名物の花火。

アビニョンへの道

2007-07-13 06:26:47 | フランス
つーか、アビニョンのフェスティバルの時期になってしまったぜ。
遅ればせながらチケットを予約しようとしたらほとんど
目ぼしいものはソールドアウト。今年話題のアフリカの演劇とか
アリアヌ・ムーシュキンの作品とか、「リア王」とか
まるでチケット取れないのである。当たり前か。もう遅いもんね。

なんとかチケットを取り、次は旅行の手配だ!
と思ってたら仕事の関係で今日あった人が、パリ郊外の演劇イベント
「アビニョンには行かない(nous n'irons pas à Avignon)」
に出演すると言っていた。もちろん僕は「あ、アビニョン僕は
行きますけど」と屈託なく答えたが。

夕方、会社の同僚のフランス人とちょっとアビニョンを語った。
彼は子供頃からアビニョンのフェスティバルに慣れ親しんでいて
法王庁の中庭の特設ステージの演劇を何度も見たらしい。
ときどきすごい傾斜のステージが組まれることがあり、
危険だったとか。誰の記憶にも残っているフェスティバルなんだな。

アルザス生活(3)

2007-07-11 06:14:36 | フランス
ストラスブールでのアポを終えた後、宿を取っている
コルマールの街まで、仕事の関係機関の人が
車で送ってくれた。所要時間1時間。ストラスブールから
コルマールまで高速に乗ってひたすら車を走らせる。

ストラスブールからコルマールまでの高速。
頭上には曇った空が広がっている。
道路の両側は畑とブドウ畑と、山々の連なる景色。
果てしない道路がずっと続いている。

車の中では同行してくれたガイドのフランス人が
執拗にこの地方の説明をしてくれた。
中世に作られた巨大な城跡が近くの山にあって、
今や観光名所になっているとか、
高速の両側に広がる広大な畑はキャベツ畑であって
これはすべてアルザス名産のシュークルートの
材料になるとか。

ホテルに戻ってきてテレビをつけるとドキュメンタリー映画、
mondovinoをやっていた。で、エンディングのテーマソングが
印象に残る。

You get it if you really want to do it
You get it if you really want do do it
but you must try it
you must try it

本当にそうだと思った。



アルザス生活(2)

2007-07-09 06:19:23 | フランス
アルザス地方というのはもともと何か僕と
縁があるわけでもなく、昔住んでいたとか、
留学していたとか、そういうこともないから
まあいわば素通りしてしまうような地方なのだ。

つまり仕事の関係で出張みたいな機会がないと
まず出かけていかない地方なのだ。まあ、そう
言ってしまうと積極的に出かけていきたいフランスの
地方というのはあまりないのだが。

2日目はストラスブールに行く。ストラスブールの
大聖堂はフランスでもっとも美しいカテドラルの一つだ。
でも、大聖堂の観光なんてできずに、
市内のプチット・フランスにある関係機関に訪問する。
訪問先の会議は最悪。なんか、フランス語の会議をしていて
ちょっと僕がとちったり、質問の意味を汲み取るのに
時間を要したら、なんだかそのあと無視されてしまった。
外国人なんだから親切にしてちょ。

アルザス生活(1)

2007-07-07 06:28:30 | フランス
アルザス地方に出張で行ってきた。新しくできた
TGV東線に乗って。久しぶりに来るパリの東駅は
TGVの開通のため駅を全面的に改築工事したらしく、
もとのパッとしない、どっか野暮ったい駅とは違って
新しいブティックが並ぶ近代的な駅に生まれ変わっていた。
「アメリ」の映画の中の東駅はもうないんだな。

TGVで2時間でストラスブール駅に着く。そこから
電車を乗り換えて出張先の町へ。
町はアルザス地方にありがちな木組みの可愛らしい
家々が並ぶ小さな田舎町だ。
着くなり、そこに来ている日本人観光客相手の
ガイド役を頼まれる。ガイドと言っても町の役場の人の
観光客向けにする説明を日本語に訳すだけなんだが。
でも、そんな話聞いてないって。

訳すだけと言っても、メモも持たず下調べもせず
ぶっつけ本番。小さな町の歴史を通訳するだけと
タカを括っていてバチがあったったっすよ。
知らない単語とか出てきたし。
procession(宗教上の行列)という単語が分からず
通訳の作業がいきなり止まってしまった。
まだまだ修行が足りないですな、自分のフランス語も。

enghin les bains界隈

2007-07-02 14:44:58 | パリ郊外
仕事の関係の打合せがあるというので一人で
パリの北郊、アンギャン・レ・バンまで行ってきた。

北駅の郊外線のホームから四つ目の駅。
途中にはサンドニやらバールなど移民が多い
街を通っていく。そんな街とは対照的なアンギャン・レ・バン。
カジノがあって、昔から保養地として有名な
この街は駅から見る町並みもなんだかこぎれいで
ブルジョワな雰囲気に溢れているのだ。

打合せは自分以外はすべてフランス人およびベルギーの
フランス語圏の人々だったが、はっきり言って惨敗。
これまで聴いたことのないようなフランス語が飛び交っていた。
シンプルなことを言うために非常に難解な表現で
回りくどく言う。ああいうの、なんて言うんだろうか。
pedanterieってやつですか。
粗野な外国人のフランス語しか喋らない自分には
太刀打ちできないって。

僕とマイカー

2007-07-01 06:19:53 | 自分について
よせばいいのに最近中古のオンボロ車を買った。
友人のお古なのだが本当に安い値段だった。
保険に入ろうとしたら、保険料金の方が高かったぐらいだ。

日本でも車を持っていなかったが、フランスでも初めての車。
ということで、下手な運転をしながら車検に出したり、
保険に加入したり、あと県庁にcarte griseを取りに行ったりと
車を持つのってこんなに面倒くさいんか!といいたくなる
ぐらいここ数週間マイカーのために働いた。そんで
書類が全部揃ったら、達成感と脱力感で気が抜けちゃって
ふと気がつく全然車に乗っていない。
ということで、今日おそるおそる車に乗ってみた。

はっきり言って日本でも無茶苦茶運転が下手だった。
坂道で逆行して後ろの車にぶつけたりしてたもんな。
全然運転に自信ない。しかも、フランスは右側通行だし。
とりあえず15区を出発点にパリ市内をぶらぶら廻ろうと思い
大通りに出たのだが、いきなり全方向から突っ込んでくる
大量の車にびびった。しかもフランスって右折は簡単に
できるんだけど左折が無茶苦茶めんどくさい。しかも
左折できない交差点多いし。
緊張しながら乗っていたらいつの間にか車はパリ市外に
出ている。しかも、一般道じゃなくて高速になってた。
標識が速度90キロとかになっている。

早く側道に出なければと一番近い出口を回ると
今度は速度110キロのもっとすごい高速にでた。
やばい、やばいと半泣きになりながらとりあえず
どこでもいいから高速を降りると、
なんとオルリー空港の出口だった。
俺、知らないうちにオルリーまで来てたんだ。