日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ブーローニュ・ビヤンクール界隈

2005-05-31 05:46:57 | パリ右岸
ブーローニュ・ビヤンクール市は
パリの16区のすぐ南に隣接した
小さな町だ。16区の南端のポルト・ド・サンクルー
の駅で降りて、殺風景な環状道路を
超えると、もうブーローニュの
市街地が始まる。

ブーローニュに住む知人に会いに、
初めてこの界隈に足を運んでみる。
町に入った途端、いきなり
オスマニアン建築がなくなり、
20世紀初めに建てられたアパルトマン
が続く別世界が目の前に現れる。

パリに隣接した小さなコミューンは
住民が買い物も、レストランもすべてパリ
で用事を済ませてしまうのでに商業的には
何も発達しないとはよく聞くがまさにそんな感じ。
パン屋すら探すのが難しい。

それでもブーローニュ・ビヤンクール市の
北半分はブルジョワな感じが漂う。
家賃もかなり高いし、住居税だって高水準らしい。
逆に南半分、かつてビヤンクールと呼ばれていた地区、
(ブーローニュ・ビヤンクールは名前の通り、
ブーローニュ市とビヤンクール市が戦前に合併した町)
ルノーの工場があったせいで、工場労働者の住宅が目立つ。
高度経済成長期に出稼ぎに来ていたモロッコ系住民も
多く住んでいて、現在定年を迎えている彼らは、
することもなくかといって故郷に帰るわけもなく、
街角の公園で日がな談笑にふけっているらしい。
モロッコの人々がよくするように。

で、知人と一緒にアイリッシュバーに
行ってみたのだが、これがまたさびしい場所に。
アイリッシュバーの他には、カフェが一軒開いているだけ。
周りにはネオンサインもなく、車のテールランプだけが
ただ広い道路を走り抜けていく。
でも、ここがブーローニュの中心街なんだってさ。
郊外なんて・・・荒涼とした世界の入り口だもんな。

フランスの銀行(の謎)

2005-05-28 04:08:40 | フランス
というか、もうこっちの生活も
四年目になるから何も驚かない
のだが、それを差し引いても最近の
フランスの銀行の進化はすごい。

日本の銀行の支店というのは
窓口がたくさんあって、自分の
順番を待つお客さんたちが
ソファーに座っていて、その
横に並べられた複数のATM機に
人が並んでいて、なぜかその人々の
交通整理をする銀行員もいたりして、
とりあえず人間がすごくたくさんいる!
というイメージだった(もし最近は
違っていたらごめん)。

こっちの銀行の支店は、完全アドバイザー制。
融資などの相談がある人は、自分の銀行
アドバイザーに前もってアポをとって、
アドバイザーのキャビネ(銀行支店内に
たくさんある個室)で相談したりする。

では一般のお客さんはどうするか?
預入れも、引き落としも全部機械で
させられることに。
僕の支店なんて、「受付窓口」なんて
全面廃止になって、機械しか置かれていない。

フロアの奥に、「案内カウンター」があって、
人が一人一応は座っているのだが、この
人(おばさん)がまたすごい。
たいていの質問には、「分からない」
とか「初めて聞いた、そんなこと」とか
といってまともに答えてくれない。
こないだなどは質問を受けたあと、
「同僚に聞いて来る」といって席を
外した挙句、「同僚はいなかった、
電話アシスタンスで電話して聞いたら?」
などと言っていた。

今日、目撃したのは、
「振込みを行ないたいんだけど・・・」
と言ってきたお客に向かって、
「なんでインターネットで振込みしないのか?
ネットで今は振り込めるんだから」などと
言って追い返していた。って客追い返して
どうすんだよ(笑)。
さすがフランス。でも、お客の誰も不満を
言わないところが、また不思議。みんな
生活に余裕があるから腹も立たないってこと?

グランブルー

2005-05-27 06:37:58 | フランス
テレビで「グランブルー」をやっていた。
リュック・ベッソンの最初の成功作。
もう今から15年ぐらい前の映画だ。
大学卒業したばかりのころ、映画館で
見たっけ。

まだ若いロザンナ・アークエットと
ジャンマルク・バールが出演。
ジャン・レノは老け顔だから、今と
あまり変わらない。
そういえば、TOTOの「ロザンナ」
って曲は、ロザンナ・アークエットに
捧げた曲だって聞いたことがある。
彼女映画の中では本当に美しいけど、
今何やってんだろう。

昼ごろ、ネットで予約した芝居の
チケットをFNACまで引き取りに行く。
昼休み中はモンパルナスのFNACも
そんなに込んでいない。最近、ふと聞いた
ETIENNE DAHOの
「BAIE」という曲が非常に良かったので
探してみるが、途中でTIME UP,
事務所に舞い戻る。

スターリングラードへ

2005-05-25 06:37:35 | パリ右岸
またスターリングラードへ行ってしまった。
19区。仕事の関係なんだけど。
地下鉄で移動したら、1時間近くかかって
しまった。

スターリングラード界隈はヴィレット運河沿い。
昼間はのどかな、水辺の雰囲気が漂う。
数年前まで麻薬取引のメッカだった
なんてことが嘘みたいな一角。まあ、昼間だから
ということもあるんだろうけど。

運河沿いの風は気持ちよくて、浮世の憂さも
忘れてしまうほど。事務所には戻らず
一瞬、スターリングラード駅界隈をぶらぶら
してしまう。


フェードル

2005-05-24 06:56:30 | パリ右岸
モンマルトルの野外劇場に
ラシーヌの「フェードル」を
見に行く。もともと興味があったわけではなく、
誘われたから行っただけの消極的鑑賞
だったんだが。

野外劇場は、テアトル・ド・ラレーヌ
という、闘牛場みたいな形の劇場。
舞台の周りに、半円系の階段状の席が
ある。席といっても、段差に座るだけの
話なんだけど。屋根もなにもない場所。
劇が始まる前に、ぼんやりと周りを
眺めていたら、劇場を囲むような木立と
その向こうの青い空がすがすがしかった。

劇が始まった。予習しなかったことを
激しく後悔。やっぱり無茶苦茶難しい。
古典劇はなあ。というか、ギリシャ時代が
舞台だと気づくのにも30分ぐらい
かかってしまった。

太陽は時々照り付けたかと思うと、
雲に隠れて翳ったり、と終始気まぐれ。
舞台装置の向こう側にモンマルトルの
白いアパルトマンの立ち並ぶ風景が
見えている。そっちのほうに注意が
向いたりして。

アムステルダム4日目

2005-05-22 08:38:48 | 海外(フランス、スペイン以外)
有名な飾り窓地区は、アムステルダムの
中央駅から歩いてすぐ、東側の
旧市街の中にある。夜、9時ごろ、
友達と一緒に界隈まで見物に行ってみる。

世界に名だたる飾り窓地区。
もともとはアムステルダムに寄港する
船員たち相手の売春がこのような
形に発展したらしい。

夜も早いというのに、運河沿いの通りは
人、人、人。英語やドイツ語を話す
観光客でごった返している。その中には
本当のお客もいるのかもしれないが。
通りに面した飾り窓には、ピンク色の
怪しい光。そして窓の向こうには
黒人やら、アジア人やら、白人やらの
売春婦が下着姿でポーズをとったり
椅子に座ったりして、客を待っている。

歓声を上げる観光客。冷やかし加減で
見ていく観光客。ちょっといたたまれない
気持ちになる観光客。いろいろな人間の
思いが交錯する中、飾り窓地区界隈の
夜は更けていくのだった。


アムステルダム3日目

2005-05-21 07:32:39 | 海外(フランス、スペイン以外)
ホテルはアムステルダム中央駅から
四キロぐらいの場所にある。
近くにフォンデル公園という
都会の緑地がある。ホテルのすぐ
脇にはトラムの停車場があって、
簡単に都心まで路面電車で行くことが
できる。

アムステルダムには不思議なことに
オランダ料理の店がまったく目に付かない。
オランダ料理というものがなんであるのか
そもそもよく分からないだのが。
やたら目に付くのは、アルゼンチンの
肉を使ったステーキハウスと、
インドネシア料理屋。どっちも
全然オランダぽくない。

レンブラントが気になって
閉館一時間前に国立美術館にもう一度
行ってみる。今度は長蛇の列はできてなくて
すんなり館内に入れる。

館内は思ったほど広くない。簡単に
回れてしまう。二階に上がると、
巨大なレンブラントの「夜警」が。
隣の部屋にはフェルメールの
静謐な絵画が数点展示されている。
初めて見るフェルメール。驚くほど
写実的な筆致で、近世のオランダの
街角が描かれている。オランダは
何百年前も、現在もやっぱりストイック
なんだなあ、と感心ひとしきり。

アムステルダム2日目

2005-05-19 06:31:38 | 海外(フランス、スペイン以外)
アムステルダムは不思議な町で、
歩いてどこにでも行けるくらい
こじんまりした町なのに、その放射線状に
伸びた無数の通りや、角を曲がるたびに
出会ってしまう無数の運河の風景など、
その重層構造のせいで、やたら奥行きを
感じてしまう。

どれだけ通りが狭いかというと、
もっとも繁華かと思われる、
両端にデパートやブティックが
軒を連ねる目抜き通りの路面電車路が単線。
離合するのを待っている、反対方向の車両が
いつも待機しているのが見える。

さて、レンブラントとフェルメールの絵画を
見ようと思って国立美術館に行ってみるが、
昼前にもかかわらず、玄関には長蛇の列。
ルーブル美術館みたいだ。根性がないもんで
早々と引き上げてしまう。

久しぶりに旅行する高校時代の友人は
以前見たときと比べて白髪が増えている。
思春期、つまり僕が僕のことを
もっとも嫌いだった時期から
お互い知っているので、かっこつけて振舞わなくて
いい分、気持ちが楽。
今でも僕は自分のこと、そんな好きでもないがな。

オーベルヴィリエ界隈(セーヌエ・サン・ドニ県)

2005-05-18 06:15:16 | フランス
アムステルダムについて書こうと思ったが
今日に限ってパリ郊外のオーベルヴィリエに
外勤したんでその件に変更。

まったくオーベルヴィリエに行く
日本人なんてまったくいないよ、ってぐらい
俗世間から離れた場所だよ、オ-ベルヴィリエは。
僕も普通の生活をしていたら絶対行くことない場所。

事務所で借りていた美術品をオーベルヴィリエに
住む作家のアトリエに返しに行ったんだけど・・・。
パリから北の郊外に出て、オーベルヴィリエの
町に入っただけで、なんか雰囲気が違う。
歩いている人間も移民系の人ばかり。
要はアラブ人と黒人と僕のようなアジア人ばっかり。

HLMの立ち並ぶ街区に迷い込んだんだが、
自分の前の車、ちょっと信号待ちで停車したんだけど、
その隙に、近所にたむろしていた黒人の青年に
ボンネットによじ登られ、車体をぼこぼこ歩かれていたっす。
まだ夕方の6時ぐらい、太陽も高い頃なのに。

フランスの荒れた郊外の町じゃ、よく夜のうちに
停車中の乗用車が焼かれたりするのだが、
ここじゃそれが起こっても何も驚かない感じ。
なかなか芸術家の家がわからず、通行人に道を尋ねようと
近寄って行こうとすると、「ジロジロ、見るなよ」
とかと怒鳴られるし・・・。ってなんだ、これ。

作品の保有者のアーティストにようやく会うと、
開口一番、「車で来ましたか? ちゃんと鍵は閉めましたか?」
などと聞かれる始末。どういう場所なんだよ、オーベルヴィリエ。
でもこれでも日本で公演もしたバルタバスの常設劇場
とかもあるんだよねえ。


アムステルダム1日目

2005-05-17 06:49:06 | 海外(フランス、スペイン以外)
日本から高校時代の旧友が遊びに来た。
いい機会だから、ということで重い腰を
あげて僕も、彼と一緒にフランスから海外旅行など。
ネットで安いパック旅行を探し出し、
アムステルダムへ3泊4日ぶらりと出かける。

飛行機で1時間ほどでスキポール空港に着いてしまう。
近すぎてちょっと拍子抜けだ。
福岡から東京に行くより、ずっと近いかも。

空港から電車に乗って20分ほどで
アムステルダム中央駅へ。東京駅のモデルに
なったとされるこの駅はレンガ造りで巨大な
威容をさらしている。運河を埋め立てたという
駅周辺の街区、その不安定な地盤の上に
建っているのにもかかわらず、堂々とした駅舎だ。

駅の中の簡単なショッピング街にチューリップの
球根なんて売っている店があったちょっと
笑ってしまう。オランダの球根屋なんて
決まりすぎだよなあ。

全然関係ないがイタリアのシンガー、zucchero
のベストを買った。素晴らしすぎ。珠玉の
一作なり。