日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

リアルライフ

2015-01-12 22:32:32 | パリ右岸
新年も始まって早々の先週の水曜から続いた、悪夢のような3日間で
目が覚めてしまった。水曜の午前終わりに起こった、シャルリ・エブドの
編集部襲撃事件。翌木曜の朝、パリ南郊の銃撃事件、そして金曜の
パリ北部と、バンセンヌで同時に起きた籠城事件。テロリストたちは殺され、
またその犠牲になった一般市民も14人命を落とした。

それでも日々の生活は続く。人生も続いていく。
改めて自分が人々や宗教や民族の間の緊張の中で暮らしていることを思う。

いつか好きだった、ウッディ・アレンの映画「カイロの紫のバラ」の中の
せりふを思い出す。夢見がちな、空想に世界に逃避するようなヒロインが
最後のほうで口走るせりふがある。「現実は汚いのよ」と。
ただそれは、現実に対して捨てばちになっているとか、そういうんじゃない。

現実の世界がきれいごとじゃないことを自覚して、それでも
やり過ごしていかないといけないことを悟ったセリフなのだ。

イルミネーション

2014-12-20 16:51:00 | パリ右岸
同僚に誘われてパリの中心部で食事をおごってもらった。
誕生日ということでお祝いしてくれたらしい。
まあ、そんなことはどうでもいいのだが、家に帰る途中、ふと思い出して
ギャラリーラファイエットに足を延ばし、イルミネーションを見物してみる。
クリスマスのイルミネーションなんて、自分から自発的に
見ようと思わなければあっという間に過ぎ去ってしまう。あっという間に
終わってしまうようなもんだ。

なんだかちょっとアバンギャルドなライティングになっていた。
来年はいい年になればいいなあ。

それぞれの時間

2014-05-10 10:17:24 | パリ右岸
久しぶりの週末の夜、友人とカンボジア料理を食べに行って、そのあと
ふらふらといい感じで酔っ払って、一人で通りを歩いて帰る。
5月半ばのパリは寒くもなく、暑くもなく、気持ちのいい風が吹いている。

ふと歩いていると、すごいスピードで車椅子のフランス人の青年が
通り過ぎていった。電動の車椅子なんでスピードはすごいのだが、なによりも
青年がまっすぐ前だけみて疾走していく情景にあっけに取られてしまった。

そのあと歩いていると、今度はオートリブ〔レンタル自動車〕の停留所に
住み着いているホームレスのおじさんが、地面に座り込んで熱心に
コーランを読んでいた。もう何年も前から停留所に住み込んでいる
ホームレスのおじさんだ。

町を歩くといろんな人間とすれ違って、いろんな人生を垣間見ることになる。
シュールな感じもするがパリにいるんだなあ、という気がしてくる。



1ヶ月

2013-11-12 22:34:28 | パリ右岸
なんだ仕事の忙しさにかまけ、そうでないときはボーっとしていたら
前回ブログを書いてからあっという間に1ヶ月もたってしまった。
ジョルジュブラックを見てから以下の展示を見に行く。
Pavillon de l'arsenalの建築展
felix vallotton展
杉本博司展
photo quai
Fiac
あと小さなギャラリーの展示なんか見に行った。

パリはどんどん秋が深まって、舗道を歩いていても落ち葉ばかり。
夜はたいてい霧のような小雨が降っていて、その中でぼんやり
街灯のオレンジの光が浮かび上がって、なんか絶望したくなるような
雰囲気になっている。まあフランスのそういうところが
好きなんだけどね。


ジョルジュ・ブラックの謎

2013-10-07 22:06:26 | パリ右岸
先週仕事を一緒にしたフランス人のデザイナーに誘われて
ランチをともにしていたのだが、彼女に今、グランパレで開催中の
ジョルジュ・ブラック展がお薦めだ、と絶賛されたので重い腰を上げて
展覧会を見てきた。

ブラックというと、ポンピドーセンターに無数にある、キュビズムの
作品が有名だ。コラージュだったり、静物画だったり、ギターだったりと
さまざまなモチーフだけれども、どれもキュビズムの画風にもとづいて
空間や輪郭を解体して立体的なキューブで表現している。
僕はそんな作品が延々と続くのかと思っていた。

ところが入っていきなり、風景画。ブラックがブラックにまだなる前の、
具象画を書いてたころの作品から展示は始まる。フォービズムのように
鮮やかな色彩で描かれた南仏のエタックの港の絵が部屋一面に
並んでいる。そして展覧会はブラックの画風の移り変わりを説明しながら、
すぐにキュビズムに。その長いキュビズムの時代を終えたあと、
またブラックの作風は変化していく。

最後の部屋に掲げられた晩年の作品。キュビズムの面影も何もない。
ただ広い麦畑の向こうに広がる大地と空。そこにある空虚感や
絶望感なんだろうか。絶望のふちに沈んだようなブラックの絵画を
通して何か深遠なものが届いてきそうな感じだ。

結論としてこの展示を見に行って非常によかったと思う。
もし見ていなかったら、僕はブラックを、ただのピカソと競作していた
キュビズムの作家としてしか見ていなかったと思う。

こどもの未来

2013-04-12 22:31:04 | パリ右岸
今週は何度かメトロに乗る機会があったのだが、以前に比べて
メトロの浮浪者や乞食や物乞いの数が増えているような気がした。

仕事の関係でレピュブリック広場近くに行く。とぼとぼ歩いていると
街角に路上生活者のテントがあった。こんなところでテントで生活
しているんだ、と思いながら横を通ると、テントの中で一生懸命
シーツを畳んでいる少年の姿が目に入った。東欧のジプシー系の
まだ、10歳ぐらいの子供だ。
通り過ぎながらテントの中を見ると、小さなウサギのぬいぐるみが置かれてあった。
ああ、こんな路上でテントを張って親とくらしているけど、やっぱり
普通の子供のようにぬいぐるみで遊んだりするんだ。
こんな生活の記憶は彼が大人になったときどんな風に残るんだろうか?
とぼんやり考えた。

レピュブリック広場は相変わらずひっきりなしに
人が行きかっていてたくさんいる路上生活者の中の一つにしか過ぎない
テントなんて誰も気にしないようだ。

三文オペラ

2013-02-28 23:01:11 | パリ右岸
三文オペラをすごい久しぶりに見に行った。
場所はシャンゼリゼ劇場。以前に見たことは何度かあるのだが、
筋をすっかり忘れていて、中盤戦にさしかかってから、「あ、そういえば
そうだったなあ」と思い出してきた。

社会主義とか、貧困とか、悪徳とか、例によってブレヒト的な
世界がちりばめられていて、それはそれでうっとりするのだが、
今回はオペラとは言っても、オーケストラバージョン。
実際のオペラではなく、オーケストラをバックに、ドイツ語で劇中歌を
次々に歌っていく趣向。ナレーションが入るので、筋はたどっていけるのだが、
あのドタバタとか、派手な舞台装置がなくて、純粋に音楽と
その歌詞を追っていくだけなのだが、その分、音楽のすばらしさと、
想像の中での演劇が繰り広げられ、本当によかった。
まだ、感激している。芸術ってこういうもんなんだなあ。

1月の自分

2013-01-27 09:57:48 | パリ右岸
日本から戻ってきてから、なんか感傷にひたっている間もなく、
仕事がたくさん降ってきて、気がついたらもう1月終わり。
問題も、考えないといけないことも山積で、へたっていた。
たぶん、こんなときは休まず働き続けたほうが、集中力が
分散化しないのでいいんだろうな。問題は3月末までこの状態が
続きそうだということか。

周りには睡眠障害の友人とかが結構いるのだが、
幸いにも僕は夜はよく眠れている。というか昔からそうなのだ。
今週なんか眠りが深すぎて、起きたとき今日が何曜日だったのか
一瞬分からなかったばい。

旅行は4月かなあ。

年末の買出し

2012-12-09 20:07:22 | パリ右岸
クリスマスシーズンになると、パリでも日曜営業の店が増える。
プランタンやラファイエットのような大型の老舗スーパーから、
ラデファンスにあるようなショッピングセンターでも珍しく休日返上で
営業し始める。

そんなときに買い物に行っても人ごみばかりで辟易してしまうと
思うのだが、冬物のダウンジャケットがどうしてもほしくて、
デパートまで買いに行った。BHVまで。

というかダウンジャケットを持っていないので、くたびれたコートか
薄着して街を歩いていたのだが、これじゃああまりにも終わっている感が
するし、何より、ただでさえ出不精なのに、もっと出不精になりそう。

中国人やアラブ系の観光客の多いプランタンなどは避け、
市役所近くのBHVへ。メンズ館があるので買い物がしやすい。
行ってみると地上階からひどい混雑だった。
ヒルフェガーデニム、というトミーヒルフェガーの
セカンドラインみたいなブランドができていて、ついつい買ってしまったら
ダウンなのに値段が二万円ぐらいした。
レジで、来週一週間だけ使える20パーセント割引券をもらったが、
どうせならこのダウンの値段下げてくれよ、と心の中で思う。

写真はコメルスどおり。

講演会とパリ

2012-11-21 22:33:43 | パリ右岸
以前自分の周りにいて、何年か前に日本に帰国した女性の
ブログをなんかの拍子に目にする機会があった。
もう日本に帰って何年もたっているのに、何かのたびに
「パリにいた頃は」「パリジャンの生活では」みたいな
枕詞がついた文章を書いていてかなり痛かった。日本にいる
パリに憧れる人々の注意を惹こうとするため、無理やり盛っている
感じでかなり悲惨だった。

まあそんなことはどうでもいいのだが、今日は仕事の関係で
講演会に出かけていった。60年代のアメリカ現代史みたいな
テーマの講演会だったのだが・・・。
聞いていてもまったく分からない。たぶん自分のフランス語力と
歴史についてのリテラシーの低さからくるものかもしれないが、
この難解さはなんなんだろうか・・・、と思うぐらい
何も分からなかった。修行が足りないんだろうか。

まったりと

2012-11-13 22:36:27 | パリ右岸
別にまったりとした気持ちでいるわけではないのだが、
テレビの2チャンネルで今日はずっと、la grande battleという
音楽家コンテストみたいなのをやっており、それで次から次へと
クラシック音楽が演じられるので、ぼんやり画面を見ていた。
ヴェルディのトラビアータとか、ヨハンシュトラウスとか
お馴染みの旋律が画面から流れる。

パソコンの画面とにらめっこするのもあきたし、本を読む気にも
なれない。音楽もダウンロードしていないし、なんか
現状にうんざりするような気持ちだ。
旅行でも行きたいなあ。

アートの時間

2012-10-21 22:21:36 | パリ右岸
グランパレで開催されていたFIAC会場へ赴く。
FIACは国際コンテンポラリーアートフェスティバル、の略で、
内外の多くのアートギャラリーが作品を展示するたぶん、フランス
最大のアート見本市だ。
そのほか、ヨーロッパにはバーゼルのアート見本市が
有名だが、これはそのパリ版という感じ。

と知ったかぶりを書いているが、実はFIACに来たのは
これが初めて。2~3ヶ月も続く展覧会と違ってFIACは4日間
しか行われない。本当に見本市なのだ。しかも入場料が
正規料金だと35ユーロもする。ということで今まで、気がついたら
終わってた、とか高すぎていけない、とかさまざまな理由で
足を踏み入れたことがなかったのだ。

今回はなんか用意周到にチケットを入手、時間もチェックして
最終日、日曜の午後に会場のグランパレに行ってみた。
着くなり、写真のように長蛇の列。すさまじい。

なんとか会場に入ると中は大混雑。パリを中心に、スイスや
ドイツのギャラリー、中国や米国のギャラリーなど多国籍な
ギャラリーが軒を連ねる。作品も彫刻から絵画、写真、インスタレーション
までさまざま。ジャンアープなどのような、大御所の作品から
あまり有名でないアーティストの作品までずらーと
ならんでいる。




ヴァンセンヌ

2012-10-14 10:49:30 | パリ右岸
用事があって普段行くことのないパリの東方面へ。
メトロの駅をあがるとナシオン広場とヴァンセンヌの森を結ぶ
cours de vincennesが広がっていた。雨はやんだところ。
この広い通りを、夕暮れの中みんなゆっくりと、急がずに歩いていた。

秋が来た

2012-10-07 10:37:15 | パリ右岸
9月の半ばごろから、朝の気温がどんどんさがり始め、
今では毎朝15度ぐらいまでになっている。
街路樹も緑色がどんどん薄くなり始め、今にも落ちてきそうだ。
相変わらず、毎日通りは車の洪水だが、秋になったのが目に見えて分かる。

太陽光線の反射

2012-07-20 23:49:10 | パリ右岸
最近、職場で中堅、若手(というか自分も中堅なんだが)に
小うるさいことを言わないといけないことが多く、少しうんざりする。
自分なんて常識のかけらもないし、仕事の仕方なんて特に
分かっていないし、他人を指導したりアドバイスしたりすることなんか
できないのだが、歳をとると、いつの間にか職場でそういうことを
することが立場上期待されてしまうのだ。何よりも、
昔から職場の上司にああだこうだ、指導されても、
「そんなこと何の意味もないよ!」と心の中で
バカにしてちっとも聞いていなかった若い自分のイメージを思い出して、
なんか白けてしまうのだ。

久しぶりに定時に事務所を出て、夏のパリの街をぶらぶらする。
あまりにも日差しがまぶしくて、前もあるけないような景色が広がる。