ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

川原町泉屋 @岐阜県岐阜市

2016年11月16日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

 

長良川が流れる風情ある岐阜市の古い町並み「川原町」近辺。その昔から「鮎」と切っても切れない関係にあるこの通りの、鮎料理専門店「川原町泉屋」へ。こちらは創業明治20年(1887)の岐阜名産を作る会社で、今は閉まってしまっているが本店は神田町にある。現在は5代目だとか。ちなみにこの店の創業は平成15年と新しい。訪れたのはもう長良川鵜飼もこの週で終わりという時期(訪問10月)。この川原町の店ではもちろん天然鮎のフルコース料理が頂けるが「御膳」と称した値打ちな品書きもある。夜は要予約らしいが、昼なら飛び込みで入ってもOKとのこと。店頭で品書きの中から「鮎らーめん御膳」を食べたい旨を告げると、調理場前のカウンター席に案内された。

ちょっと厨房内のバタバタしている臨場感が伝わり過ぎな狭い席だが、まず前菜の盛り合わせが置かれる。野菜のマリネと、子持ち鮎の熟れ寿し、熟れ寿しにクリームを合わせたパテとバゲット、鮎の骨を入れたグリッシーニ。老舗らしからぬ面白い品が並ぶ。その昔、江戸までたったの4日で献上したという長良川の鮎の熟れ寿司をこういう現代的な形で頂けるのはとても面白い。その酸味と塩気でどうしても日本酒が呑みたくなるが、我慢、我慢。

そしてメインの鮎らーめん。刻みネギと、鮎の開き、カリッと焼いた骨、身のほぐしがのっている。スープをひと口。旨い。分かり易い味にはなっているが、決して鮎だけで攻めることなくバランスが取れている。麺はプツンと歯切れのよいストレート麺。スープにも合っていて、のせられた刻みネギでさえ邪魔なんじゃないかと思うくらいのいい塩梅。”鮎”という特殊性を省いたとしても、和風のラーメンとして旨い。膳には白胡椒のミルも用意されていたので少しだけ試したが、このスープには余計な調味料だ。

麺を食べ切った後にはご飯が一膳用意されている。このご飯には「ゆかり」がかけられているが、これもスープを台無しにしてしまうかな。説明をしてくれた女性給仕が早口でよく分からなかったが、残ったスープにこのご飯と添えられた梅干しを入れて雑炊にして、とのこと(口頭よりも説明書きがあった方が断然いい)。最近では当たり前になってネット上には写真さえアップされてしまうこの食べ方だが、昔は自宅以外では行儀が悪いと言われ、たしなめられた食べ方。自分は外食で飯を丼ぶりにぶち込むことはまずしないので、ひと口づつレンゲでスープと合わせながら美味しく頂いた。

デザートは「飛騨山椒」のジェラート。最近人気のせいか値上げをしたようでガックリきた「飛騨山椒」だが、無類の山椒好きなのと、殊のほか香りがいいので以前から愛用している。ピリッとした風味と甘さがマッチして旨い。これすごくいいナ。ただ冷やし過ぎていてジェラートというには滑らかさに欠けるので、普通にアイスクリームと呼べばいいと思う。別売りってあるのかな。

ランチとしては安くない値段だが、内容を見てみればかなりのもの。特にラーメンに関しては群雄割拠の昨今に於いて、オリジナリティという意味でも、淡麗な滋味深いスープのラーメンとしてもかなりの完成度じゃないかな。ラオタ(ラーメンオタクの意)ならずとも味わう価値のある一品。(勘定は¥2,160)

 


 

 

↑ 秋らしい日差しになってきた川原町、玉井町、元浜町の街並み(写真上左)と、玉井町にある「桑原家住宅事務所」(建築詳細不明・写真上右)。

 

↑ 元浜町の「旧・櫻井銘木店店舗兼主屋」(上左・明治期建造・登録有形文化財)と、屋根神様が祀ってある町屋(家屋名失念)。

 


 

 

川原町泉屋

岐阜県岐阜市元浜町20

 

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