マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ペルシャ猫を誰も知らない

2012-04-30 08:35:27 | 映画ーDVD

ーペルシャ猫を誰も知らないーNO ONE KNOWS ABOUT PERSIAN CATS

2009年 イラン

バフマン・ゴバディ監督 ネガル・シャガギ(ネガル)アシュカン・クーシャンネジャード(アシュカン)ハメッド・ベーダード(ナデル)

 

【解説】

『亀も空を飛ぶ』などのイランのクルド人監督、バフマン・ゴバディが初めて故郷クルドを離れ、大都市テヘランを舞台に描く青春音楽映画。ポップ音楽の規制の厳しいイランで、さまざまな苦労をしながら音楽活動に情熱を傾ける若者たちの日常をゲリラ撮影で切り取る。主演の二人をはじめ、出演者には実在のミュージシャンたちが名を連ねている。ロックやフォーク、ヘビーメタルにラップなどの素晴らしい才能が眠るイランの多様な音楽シーンに驚嘆する。

 

【あらすじ】

ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)は、テヘランでバンドを組んでいた。だが、音楽の自由のないイランでインディー・ロックを続けることに限界を感じていた二人は、ロンドンで演奏したいと夢見るようになる。何よりも国外に出るためにはアシュカンのパスポート取得が先決で……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「別離」のアスガー・ファルハディ監督の作品では、思ったより開けているイランの現状を見ましたが、この作品は思った通りって感じでした。

 

ドキュメンタリー風に描かれるテヘランの町。

最初にちらっと、救急車で運ばれる青年の姿。

これと、最後のシーンがつながって、映画らしく見せていますが、内容は起伏が少なく、ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)が、事情通のナデル(ハメッド・ベーダード)の世話で、バンドのメンバーを探す中で出会う、インディーズのミュージシャンの紹介のような作品です。

しかも、無許可でゲリラ撮影で行い、発表してからは監督と主役たちは本国に帰っていないそうです。

帰ったら、逮捕ですって。

 

イランでは、CD製作もライブ活動も当局の許可がいるようです。

でも、申請しても許可はおりない。

とにかく、西洋的なものはダメらしいです。

コンサート会場で400人もの逮捕者が出たと、最初に関係者がいいます。

でも、若者が音楽をやりたいという欲求は、止められるものではありません。

 

ネガルとアシュカンのカップルも音楽に熱意を持っています。

そして、紹介されるバンドもなかなかレベルが高いです。

ペルシャ・ラップには反体制の怒りも感じました。

民族音楽的なものもステキでした。

妙に心魅かれるダンスもありました。

これを世界に発信するのは、イラン政府から見たら、なぜかすごく困ることなんですね。

 

それにしても、たかが音楽くらいでこの騒ぎ、と思ってしまいます。

 

驚いたのは犬。

犬も家から連れて出たらいけないそうです。

ネガルが当局に取り上げられた犬、どうなったのか、その結果を言ってくれないので、いまだに心配です。

 

それよりなにより人間です。

怪我をしたのはアシュカン、ナデルも逮捕されたし、ネガルも謎の倒れ方。

もやもやとした終わり方でした。

 

イランって、今をときめくダルビッシュ有のお父さんの出身地ですね。

才能ある人たちが多い国なのでしょう。

ペルシャとも呼ばれ、世界でも早い時代に花開いた歴史ある都市。

なにが、イランの社会をこのように暗いものに変えたのでしょう。

 

イスラム文化って、かつては世界史や世界地理の主流であることを誇っていたのに、いつからか、なにか頑に、人を苦しめてばかりの印象になってしまっているのが残念です。

宗教も政治も、生きにくいこの世の中を正し、人々が共に生きることを大切にするためにあるのではないのかなあ。

それは、音楽の力にも共通することでしょう。

私はそう信じたいです。

そうでないと、人類に未来はないわ。