ー道ーLA STRADA
1954年 イタリア
フェデリコ・フェリーニ監督 アンソニー・クイン ジュリエッタ・マシーナ
【解説】
大力自慢の大道芸人ザンパノが、白痴の女ジェルソミーナを奴隷として買った。男の粗暴な振る舞いにも逆らわず、彼女は一緒に旅回りを続ける。やがて、彼女を捨てたザンパノは、ある町で彼女の口ずさんでいた歌を耳にする……。野卑な男が、僅かに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いたフェリーニの作品。(allcinema ONLINE)
【感想】
高橋大輔選手が、オリンピックや世界選手権でこの映画の主題歌「ジェルソミーナ」で演技をして、世界中の人々に感動を与えました。
ニーノ・ロータの名曲。
そして、始めて見たのですが、映画も素晴らしかった。
1954年の作品ですが、今もまったく古びてはいませんでした。
allcinema ONLINEの解説には「白痴の女」とあり、DVDの特典にも付いている淀川長治さんの解説もそう言っているのですが、私には、ジェルソミーナが白痴には見えませんでした。
解説の言葉はきついので、私なりに説明したいと思います。
ジェルソミーナは海辺のあばら屋で暮らす貧しい子だくさんの家の長女です。
ザンパノという旅芸人の手伝いをしていた、ジェルソミーナの妹ローザが死んだので、代わりの娘を買いに来たと言うわけです。
お母さんは、ローザの死んだことはとても悲しいけれど、ジェルソミーナと引き換えのお金が欲しい気持ちに引き裂かれて、泣きわめいています。
ジェルソミーナの代わりのお金と言っても、1万リラ、今の価値では5千円ほどらしいです。
お母さんは、これで屋根の修理と子供たちの食費にしたいようでした。
ジェルソミーナも家の事情を知っているので、ザンパノについていく決心をします。
海をみつめて、大きな瞳に涙をいっぱい貯めて、一生懸命決心するジェルソミーナ。
オート三輪トラックに乗って、ザンパノとジェルソミーナの旅が始まりました。
ザンパノは無教養で粗暴な男です。
胸の筋肉で、鎖に繋いだ鉤を壊すという芸でした。
ジェルソミーナは芸もなく、料理もできない。
夜は愛もなく抱かれるという生活。
それでもジェルソミーナはザンパノに精一杯尽くします。
寸劇の相手をしたり、帽子を持ってお金を集めたり、懸命です。
でも、ザンパノは酒場で出会った女と、ジェルソミーナを置き去りにしてしまいます。
長い夜を町の隅っこで過ごすみじめなジェルソミーナ。
とうとうザンパノから逃げ出しますが、見つかって、力づくで戻されてしまいました。
ジェルソミーナには逃げ帰る場所もないのです。
ザンパノはサーカスに雇われました。
そこで綱渡り芸人と出会いました。
「狂人」の異名を取るこの人は、ピエロの化粧をして、涙を一粒頬に描いていて、天使の羽を付けています。
いたずらばかりしていますが、ジェルソミーナにはやさしく、トランペットを教えてくれました。
この芸人は、いつもザンパノをからかうので、ザンパノは怒り、ナイフを持って追いかけ、とうとう結局警察沙汰になってしまいました。
先に釈放された芸人はジェルソミーナに「なぜ、ザンパノと別れて、サーカス一座と一緒に行かないのか?」と問いかけます。
「私は役立たずだもの」と泣くジェルソミーナ。
芸人は「この世に役に立たないものなどない。この小石だって、ぼくにはわからないけど、役に立っているんだよ」と諭します。
警察から出て来たザンパノを迎えたジェルソミーナですが、ザンパノはまだ怒りに自分を抑えることができないでいました。
途中で綱渡り芸人に会い、とうとう彼を殴り殺してしまいます。
そのショックで精神的にも肉体的にも弱っていくジェルソミーナ。
ザンパノは役に立たなくなったジェルソミーナを置き去りにしてしまいました。
何年かたって、サーカスの一員となったザンパノの耳に、ジェルソミーナがいつもトランペットで吹いていたメロディーが聞こえて来ました。
ザンパノが歌っている女の人に聞くと、その人のお父さんが助けた女の乞食が歌っていたと言うことでした。
そして、その女は死んでしまったと聞かされました。
ザンパノはようやくジェルソミーナが自分に取とってどんなに大切な存在だったかと思い知り、夜の海で悔恨の涙にくれるのでした。
貧しいけど、無垢な魂を持ったジェルソミーナがとても哀れでした。
なんのために彼女は産まれ、辛い思いをしたのかと、涙が出ます。
でも、彼女の美しい心が、ザンパノの魂を救ったのですね。
このジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナは、フェリーニの奥さんですが、素晴らしい演技力のある女優だと思いました。
ザンパノを演じたアンソニー・クインも、個性の強い俳優さんでした。
監督始め、主演の二人もなくなっていますが、時代を経ても色あせない作品って、すごいなあと思いました。
心が弱ったときに、繰り返しみたい映画だと思いました。
1954年 イタリア
フェデリコ・フェリーニ監督 アンソニー・クイン ジュリエッタ・マシーナ
【解説】
大力自慢の大道芸人ザンパノが、白痴の女ジェルソミーナを奴隷として買った。男の粗暴な振る舞いにも逆らわず、彼女は一緒に旅回りを続ける。やがて、彼女を捨てたザンパノは、ある町で彼女の口ずさんでいた歌を耳にする……。野卑な男が、僅かに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いたフェリーニの作品。(allcinema ONLINE)
【感想】
高橋大輔選手が、オリンピックや世界選手権でこの映画の主題歌「ジェルソミーナ」で演技をして、世界中の人々に感動を与えました。
ニーノ・ロータの名曲。
そして、始めて見たのですが、映画も素晴らしかった。
1954年の作品ですが、今もまったく古びてはいませんでした。
allcinema ONLINEの解説には「白痴の女」とあり、DVDの特典にも付いている淀川長治さんの解説もそう言っているのですが、私には、ジェルソミーナが白痴には見えませんでした。
解説の言葉はきついので、私なりに説明したいと思います。
ジェルソミーナは海辺のあばら屋で暮らす貧しい子だくさんの家の長女です。
ザンパノという旅芸人の手伝いをしていた、ジェルソミーナの妹ローザが死んだので、代わりの娘を買いに来たと言うわけです。
お母さんは、ローザの死んだことはとても悲しいけれど、ジェルソミーナと引き換えのお金が欲しい気持ちに引き裂かれて、泣きわめいています。
ジェルソミーナの代わりのお金と言っても、1万リラ、今の価値では5千円ほどらしいです。
お母さんは、これで屋根の修理と子供たちの食費にしたいようでした。
ジェルソミーナも家の事情を知っているので、ザンパノについていく決心をします。
海をみつめて、大きな瞳に涙をいっぱい貯めて、一生懸命決心するジェルソミーナ。
オート三輪トラックに乗って、ザンパノとジェルソミーナの旅が始まりました。
ザンパノは無教養で粗暴な男です。
胸の筋肉で、鎖に繋いだ鉤を壊すという芸でした。
ジェルソミーナは芸もなく、料理もできない。
夜は愛もなく抱かれるという生活。
それでもジェルソミーナはザンパノに精一杯尽くします。
寸劇の相手をしたり、帽子を持ってお金を集めたり、懸命です。
でも、ザンパノは酒場で出会った女と、ジェルソミーナを置き去りにしてしまいます。
長い夜を町の隅っこで過ごすみじめなジェルソミーナ。
とうとうザンパノから逃げ出しますが、見つかって、力づくで戻されてしまいました。
ジェルソミーナには逃げ帰る場所もないのです。
ザンパノはサーカスに雇われました。
そこで綱渡り芸人と出会いました。
「狂人」の異名を取るこの人は、ピエロの化粧をして、涙を一粒頬に描いていて、天使の羽を付けています。
いたずらばかりしていますが、ジェルソミーナにはやさしく、トランペットを教えてくれました。
この芸人は、いつもザンパノをからかうので、ザンパノは怒り、ナイフを持って追いかけ、とうとう結局警察沙汰になってしまいました。
先に釈放された芸人はジェルソミーナに「なぜ、ザンパノと別れて、サーカス一座と一緒に行かないのか?」と問いかけます。
「私は役立たずだもの」と泣くジェルソミーナ。
芸人は「この世に役に立たないものなどない。この小石だって、ぼくにはわからないけど、役に立っているんだよ」と諭します。
警察から出て来たザンパノを迎えたジェルソミーナですが、ザンパノはまだ怒りに自分を抑えることができないでいました。
途中で綱渡り芸人に会い、とうとう彼を殴り殺してしまいます。
そのショックで精神的にも肉体的にも弱っていくジェルソミーナ。
ザンパノは役に立たなくなったジェルソミーナを置き去りにしてしまいました。
何年かたって、サーカスの一員となったザンパノの耳に、ジェルソミーナがいつもトランペットで吹いていたメロディーが聞こえて来ました。
ザンパノが歌っている女の人に聞くと、その人のお父さんが助けた女の乞食が歌っていたと言うことでした。
そして、その女は死んでしまったと聞かされました。
ザンパノはようやくジェルソミーナが自分に取とってどんなに大切な存在だったかと思い知り、夜の海で悔恨の涙にくれるのでした。
貧しいけど、無垢な魂を持ったジェルソミーナがとても哀れでした。
なんのために彼女は産まれ、辛い思いをしたのかと、涙が出ます。
でも、彼女の美しい心が、ザンパノの魂を救ったのですね。
このジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナは、フェリーニの奥さんですが、素晴らしい演技力のある女優だと思いました。
ザンパノを演じたアンソニー・クインも、個性の強い俳優さんでした。
監督始め、主演の二人もなくなっていますが、時代を経ても色あせない作品って、すごいなあと思いました。
心が弱ったときに、繰り返しみたい映画だと思いました。