マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

カサブランカ

2008-03-10 11:03:12 | 映画ーTV
ーカサブランカー
1942年 アメリカ マイケル・カーティス監督 ハンフリー・ボガート(リック)イングリッド・バーグマン(イルザ)ポール・ヘンリード(ビクター)

【解説】
 戦火近づく'40年の仏領モロッコ、カサブランカは、自由を求めて渡米しようとする人々で溢れていた。ナイトクラブを経営するリックの元へ、ナチの手を逃れてここまでやって来た抵抗運動の指導者が現れる。だがその人物の妻は、かつてパリでリックと恋に落ちたイルザだった……。言わずと知れたアメリカ映画の古典的作品で、アカデミーの作品・監督・脚色賞を受賞。(allcinema ONLINE)

【感想】
亡き姑の大好きだった作品です。
リバイバルでかかるたびに、映画館へ見に行っていました。

まず、亡命希望者で溢れかえるフランス領モロッコ、カサブランカの町並み。
ドイツ人将校が殺され、通行証が盗まれたという事件が勃発。
ドイツ人の兵隊が疑わしい人間をどんどん連行し、にわかに町は険悪になる。

そんな町でカフェ・アメリカンを営むリック(ハンフリー・ボガード)。
フランス人の警察署長に取り入りながら、闇でカジノも営業し、抜け目のない実業家といったところ。

つきまとう女はポイと捨てる非情な人物。
女「夕べはどこにいたの」
男「そんな昔のことは忘れた」
女「今夜会ってくれる?」
男「そんな先のことはわからない」
これは、リックがつきまとう女に言うセリフ。
有名ですよね。

その彼が、その非情さを見込まれ、例の通行証を預かるはめになった。

そこに現れたナチスに歯向かう政治犯のラズロ(ポール・ヘンリード)。
人々からの支持が厚いので、ナチの将校も一目置く重要な人物。
妻を連れて亡命するためにカサブランカにやってきた。
高額なお金で通行証を買いたがっている。

リックの店に現れたラズロ、一緒にいた女性は、かつてパリで愛し合ったイルザ(イングリッド・バーグマン)だったー。

 舞台となるカサブランカのカフェ・アメリカン

エキゾチックな異国の情緒、退廃した人々、そして、美男美女の三角関係(ここ重要!!)もう、なにもかも揃っているメロドラマ中のメロドラマ。
これに、ピアノ弾きのサムが二人の思い出の曲「時の過ぎ行くままに」(As Time Gose By)を弾き語りしてくれます。
郷愁を誘うきれいなメロディー、センチメンタルな歌詞。
珠玉の名曲ですね。



クールなリックがお酒に溺れ、泣き崩れます。
甘過ぎる愛の思い出、雨の駅で知った辛過ぎる裏切り!!

リックの店で、ナチスがドイツの歌を歌いだして、みんなが居心地悪く感じているのを察して、ラズロが「ラ・マルセイユ」を歌いだすと、バーのお客全員が涙を流して合唱するシーンは、感動的でした。
ラズロという人物を正義として位置づける重要なシーンでした。

 
「君の瞳に乾杯」
このセリフは3回出てきました。
いずれも、イルザにリックが言います。
アイラブユーの代わりねー。
女はこれにやられてしまいます。
たぶん、姑もそうだったのでしょうね。

でも、これは日本限定の意訳だそうですね。
ボギーが言っているのは"Here's looking at you, kid."
あなたなら、なんと訳しますか?

 ラストの飛行場のシーンはあまりに有名です。

意外に、悪徳警察署長との友情物語で幕!でした。

ブラボー!!
完璧ー!

でも、クランクインの時点では脚本ができていなくて、できたところから撮影して行くという、ぶっつけ本番的な現場だったようです。
ラストも決まっていなくて、始めに撮った方が評判がいいので採用されたとか。
当のバーグマンも、これは失敗作だと思っていて、1974年に見て、いい映画だったのね、と言ったとか。

この監督の残した作品の数を見ただけでも、当時のハリウッド映画の隆盛がよくわかる気がします。
黄金期ですよね。
数作れば、こういう名作もできるということでしょうか?
いえいえ、プロ魂ときっちりとしたノウハウが、それぞれの担当者にあったのでしょう。

ライラの冒険 黄金の羅針盤

2008-03-08 15:42:05 | 映画ー劇場鑑賞
ーライラの冒険 黄金の羅針盤ーTHE GOLDEN COMPASS
2007年 アメリカ クリス・ワイツ監督 ダコタ・ブルー・リチャーズ(ライラ・ベラクア)ニコール・キッドマン(コールター夫人)ダニエル・クレイグ(アスリエル卿)エヴァ・グリーン(セラフィナ・ペカーラ)サム・エリオット(リー・スコーズビー)サイモン・マクバーニー(フラ・パベル)ジム・カーター(ジョン・ファー)イアン・マッケラン(イオレク・バーニソン)フレディ・ハイモア(パンタライモン)ベン・ウォーカー(ロジャー)トム・コートネイ(ファーダー・コーラム)イアン・マクシェーン(ラグナー・スタールソン)クリスティン・スコット・トーマス(ステルマリア)キャシー・ベイツ(ヘスター)

【解説】
世界的ベストセラーとなったフィリップ・プルマンの児童文学を完全映画化したファンタジー・アドベンチャー。『ロード・オブ・ザ・リング』を手がけたニューラインシネマが製作を務め、世界の果てへと旅する少女ライラの冒険を圧倒的なスケールで映し出す。監督と脚本は『アバウト・ア・ボーイ』のクリス・ワイツ。ヒロインの少女ライラ役には、新人のダコタ・ブルー・リチャーズがふんし、ニコール・キッドマンやダニエル・クレイグを始めとする豪華キャストが脇を固める。哲学的なストーリーや幻想的な視覚効果など、壮大な世界観が楽しめる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
“オックスフォード”の寄宿生である12歳のライラ・ベラクア(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、一心同体の守護精霊“ダイモン”という動物といつも行動をともにしていた。そんな不思議な世界で、謎の組織に子どもたちが誘拐される事件が続発、親友を誘拐されたライラは自ら捜索に乗り出す。(シネマトゥデイ)

【感想】
原作を読んでいない身にとっては、「ライラの冒険」の世界観がわかりにくいと思いました。

英国のオックスフォードとよく似ているが、いろんなところが違うパラレルワールド。
一番の違いは、人間はダイモンと呼ばれる、動物の形をしているが自分の分身を連れていること。

そこを支配している「教権」、創造主である「オーソリティー」、各世界をつなぐ「ダスト」など、最初に説明を受けますが、わかりにくかったです。
最終的には「ダスト」は原罪と罪悪視されていました。

これだけでも、宗教色が濃いような始まり方でしたが、本編ではあまり触れられていませんでした。

アメリカでは、この原作はカソリックの批判だとしてボイコット運動も起きたようですが、ヨーロッパの教会は寛大だそうです。

とにかく、そういう背景も持っていると知って、映画ではよくわからないから、原作を読んでみようかなあという気持ちになりまた。

映画では、登場人物が多く、それぞれの性格づけが弱いような印象でした。

☆ネタバレ

 ダコタ・ブルー・リチャーズ(ライラ・ベラクア)

主人公のライラは、ライアー(嘘つき)から来ているらしいのですが、確かに性格悪そうです。

 ニコール・キッドマン(コールター夫人)

物語の最後に明かされるのですが、母親がコールター夫人(ニコール・キッドマン)といういまのところ一番のワルだし、父親のアスリエル卿(ダニエル・クレイグ)はライラのそばにいながら自ら叔父と名乗って、とても冷たいし、なんなの?という感じでした。

ライラは母と名乗っている人を攻撃するし、こういうところも素直じゃないわー。

それなのに、鎧グマには同情し、ふたりは信頼の絆で結ばれるんだけど、このとき、熊の王ラグナーに対しても大嘘をつくから、びっくりしました。

だから、ライラは何を信用して、何を信用しないのか、観客が惑わされる感じでした。

 ジプシャンたちとライラ
 エヴァ・グリーン(魔女のセラフィナ・ペカーラ)

 イアン・マッケラン(=声・イオレク・バーニソン)

 サム・エリオット(気球乗りのリー・スコーズビー) 

ライラの味方は、ジプシャン、魔女、鎧グマ、気球乗りのリー・スコーズビー(サム・エリオット)です。
彼らがなぜライラの味方をするか、理由はまだ明かされていません。
そもそも、ライラがなぜ選ばれた子供なのか、なぜ黄金の羅針盤を読み解く力があるのかも、説明されていませんでした。

敵はコールター夫人の率いるコブラーという謎の組織と、この世界を支配している「教権」。

そして、最後に闘ったのが実験室の警備をしていた北の民族でした。
まだ、敵の本質が見えてきません。

これから始まりと言いたいのでしょうが、1部にしては見せ場が少なかったのではないかなあ?

いっそ、原作を読む方が、手っ取り早いかも…。

かえすがえすも、「スターウォーズ」の第1作(エピソード4)は、面白かったなあ。
あの時代のCG技術で、観客の心を鷲掴みにしたものね。

「LOTR」も第1作はこんな感じだったでしょうか?
うーん、あの映画は長かったし、急に終わった感じがして、確かに、残念な気持ちもありましたね。
でも、つぎの「二つの塔」がよかった。
「ライラ~」も次回作に期待しましょうか。

「へドウィグ・アンド・アングリーインチ 」と「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」

2008-03-07 17:34:51 | 映画ーDVD


ーへドウィグ・アンド・アングリーインチー
2001年 アメリカ ジョン・キャメロン・ミッチェル監督・脚本・主演 スティーブン・トラスク音楽

ジョン・キャメロン・ミッチェル(ヘドウィグ)マイケル・ピット(トミー・ノーシス)ミリアム・ショア(イツハク)スティーヴン・トラスク(スキシプ)

【解説】
東西冷戦時代の東ドイツに生まれた男の子ハンセル。母と二人暮らしの彼の夢は、自由の国アメリカでロックスターになること。ある日、米兵から結婚を申し込まれた彼は、性転換手術を決意する。しかし、手術のミスで股間には“怒りの1インチ(アングリー・インチ)”が残ってしまう。名前をヘドウィグと変え、何とか渡米するも米兵には結局捨てられてしまう。それでも夢を思い出しロックバンドを結成したヘドウィグは、ある日、17歳の少年トミーと出会う。同じ夢を持つトミーに愛情のすべてとロックシンガーとしての魂を注ぎ込むヘドウィグだったが……。(allcinema ONLINE)

【感想】
これは、ジョン・キャメロン・ミッチェルとスティーブン・トラスクによって生み出されたヘドウィックという人物を主人公に、1997年からオフブロードウェィで上演され、ロングランを記録。
マドンナが楽曲の権利を手に入れようとしたり、デヴィッド・ボウイーがグラミー賞をすっぽかして観劇に行った話は有名らしい。
?ヘドヘッド?というかぶり物をした熱強敵なファンを生み出した。

この作品は、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督主演で、映画化されたもの。

最初から、ヘドウィグという人物に圧倒される。
彼自身がドラマでした。

舞台は知らないので、どう表現したのかわからないけど、ヘドウィグの生い立ちは、シンプルなアニメーションとファンタジックな回想シーンで描かれます。

それに反して、現実のステージは、おそろしいくらい場末で観客ともまるであっていません。
しかし、ヘドウィグのステージはエネルギッシュでゴージャスです。

何が彼をそうさせているのかー
彼は怒っているのです。
自分の体を不完全な体にした医者に。
不完全な体と知って去って行った者達に。
でも、一番怒っているのは、最愛の恋人だったトミー・ノーシス(マイケル・ピット)。
一緒に作った曲を自分の者として売り出して、いまやアイドルになってしまっているのだから。

怒りの火の玉となって、歌い続けるヘドウィグ。
でも、最後には気がつきます。
今の自分、そう、じぶん。
一番愛すべきは、まるごとの自分。

音楽がとても素敵です。
名曲ですねー。
いいわー。

素顔のジョン・キャメロン・ミッチェル、すごく素敵な人です。
私は、ぎんぎんに化粧したヘドウィグより、ラストの裸の彼がきれいだと思いました。



ーヴォイス・オブ・ヘドウィグー FOLLOW MY VOICE: WITH THE MUSIC OF HEDWIG
2006年 アメリカ キャサリン・リントン監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル オノ・ヨーコ ヨ・ラ・テンゴ フランク・ブラック ザ・ブリーダーズ ベン・フォールズ ベン・リー[ミュージシャン] ベン・クウェラー ルーファス・ウェインライト ザ・ポリフォニック・スプリー ジョナサン・リッチマン スリーター・キニー ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ

【解説】
トランスジェンダー(性同一性障害を持つ人)の青少年の学校「ハーヴェイ・ミルク・ハイスクール」のためのチャリティー・プロジェクトを追ったドキュメンタリー。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督と、オノ・ヨーコら個性派ミュージシャンたちによる『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のトリビュートアルバム制作の模様を、4人の生徒たちのエピソードと絡めて映し出す。家族や社会の無理解に悩みながらも、自分らしい生き方を求める生徒たちの姿が胸に迫る。(シネマトゥデイ)

【感想】
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督と多数の個性派ミュージシャンたちが、トランスジェンダーの青少年の学校「ハーヴェイ・ミルク・ハイスクール」の支援に立ち上がる。それは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の楽曲をカバーし、チャリティー・アルバムを作ること。アルバム制作の模様と、4人の生徒たちの生い立ちや抱負を映し出していく。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画は、あるプロデューサーが企画した「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のトリビュートアルバムを作って、その収益をセクシャルマイノリティーのための協会に寄付するというのに賛同したミュージシャンたちの演奏の様子と、その協会が支援している、ゲイを受け入れている高校に通っている子供たちへのインタビューという2重構造になっていました。

ゲイの子供たちのための高校なんて、アメリカって進んでいる、とまず思いました。
でも、そうではなくて、アメリカではカミングアウトしたセックスマイノリティーの子供たちが、学校でいじめられ、暴力を受けて学校に行けないということが社会問題化しているようなのです。
日本のいじめとはまた違うようです。
2003年からこの学校は公立化されたようですが、それにも賛成反対が根深く対立しているようでした。

さらに、アメリカでは人種の問題や宗教観の違いがあり、問題をもっと複雑にしているようです。

特典のDVDで監督のキャサリン・リントンが語っていますが、彼女自身も“LGBTQ”(セックスマイノリティーを表す言葉)で、自分も辛かったが、ここに扱った子供たちはさらに辛い問題を抱えていると言っていました。

主に4人の子供たちが自分の声で自分を語っています。
一人はカンボジア人で、もの心ついてから一家でアメリカに渡ってきたメイ。
彼女は家族に受け入れられて、学校で写真の技術を学びながら、そのエキゾチックな顔と細い体を生かして、モデルの仕事も順調のようです。

ラフティーはラテン系の青年で、兄弟は女性ばかり、いわゆる跡取りですが、ゲイです。
姉たちは泣き、父は全く彼を認めていないようです。

テナジャはアフリカ系の黒人のようですが、両親は信仰に厚く、彼女のことは全く理解できず、属していた教会からも破門され、結局彼女から親権を外してもらったそうです。(そんなことができるなんて、びっくり!!日本では親が嫌だからと、子供から親権を外せないでしょう?)
自分には家族はいない、一人で生きていくんだと決意を語っていました。

エンジェルは自分では女の子と思っていて、きれいになることに夢中。
とびきりおしゃれしてプロムクイーンに選ばれたことを誇りに思っています。
でも、両親は決して認めず、服を捨て、髪を切ります。何度でも。
エンジェルの思いは切り裂かれ、自殺未遂を繰り返し、入退院を繰り返しているようです。

“LGBTQ”であろうとなかろうと、自分が属している社会から疎外されるのは辛いことです。
ヘドウィグを通じて、少しでも理解が広がり、子供たちが安全に生きれる社会ができることが大切だと、これを企画したプロデューサーやミュージシャンの熱い思いが伝わってきました。

また、音楽ドキュメンタリーという意味からも、優れた作品だと思いました。
本編でも素晴らしい楽曲が、いろんなミュージシャンの解釈によって、新しい命が吹き込まれる瞬間を見ることができました。
この映画のすごいのはここです。

オノ・ヨーコさんは、他人の歌を歌ったことがなかったけど、この曲は歌いたいと言ったそうです。
すごく難しい曲「悲嘆」。
監督も、英語が母国語の人でも歌えない、と絶賛していましたが、私も彼女の表現力のずば抜けていることを実感しました。

シンディ・ローバーがクライマックスで歌う「真夜中のラジオ」もいいなあ。
もちろん、メインテーマ曲である「愛の起源」は2バージョンあって、これもいいです。

でも、1番はサントラ版のタイトル曲にもなっている「箱の中のウィグ」。
私は、サントラ版を買ってしまいましたよ。あちゃー!!

この映画は、もっとみんなに見てもらって、もっと評価されてもいい映画だと思いました。

ラブ・レター

2008-03-07 10:09:43 | 映画ーTV
ーラブ・レターー
1998年 日本 森崎東=監督 浅田次郎=原作 中井貴一 山本太郎 耿忠 根津甚八 柄本明 倍賞美津子 大地康雄

【解説】
偽装結婚したチンピラと中国人女性の心の交流を描いた恋愛ドラマ。監督は「美味しんぼ」の森東。第117回直木賞を受賞した浅田次郎の「鉄道員」に収録された同名短編を「愛の黙示録」の中島丈博と監督が共同脚色。撮影を「北京原人 Who are you?」の浜田毅が担当している。主演は「Morocco 横浜愚連隊物語」の中井貴一。(goo映画)

【感想】
これは、浅田次郎の小説を読んで初めて泣いた作品です。
電車の中で気楽に読んでいたら、いきなり涙がぽろぽろでて、困りました。
こんな経験は初めてでした。

そして、韓国版の映画を見ました。
吾郎役にチェ・ミンシクでしたが、これも泣けて泣けて…号泣しました。

そして、日本の映画ですが、これ、ミスキャストじゃないかなあ。
中井貴一さんは吾郎役には良すぎますもの。



生真面目なのがまるわかりでした。
彼だったら、誰でも好きになるでしょう。

五郎がいままでいかにちゃらんぽらんに、いい加減に生きてきたかの説得力がありませんでした。

彼の映画では「壬生義士伝」がよかったなあ。

でも、手紙の部分は泣かされました。
いつも、パイランのピュアな心にうたれます。
ああ、いいお話だ。

でも、この話の本当の醍醐味は、社会のクズやゴミのような人間でも、美しい魂とのふれあいで、覚醒できるという希望であり、しかも気がついた時には取り返しつかないものだという二重の目覚めが、簡単なお話に込められているところなのになあ。
なんか、全部が残念な映画でした。

ウォーターホース

2008-03-07 09:42:49 | 映画ー劇場鑑賞
ーウォーターホースー THE WATER HORSE: LEGEND OF THE DEEP
2007年 アメリカ 
ジェイ・ラッセル監督 アレックス・エテル(アンガス・マクマロウ)エミリー・ワトソン(アン・マクマロウ)ベン・チャップリン(ルイス・モーブリー)デヴィッド・モリッシー(ハミルトン大尉)

【解説】
スコットランドに伝わる伝説の海獣“ウォーター・ホース”と、少年の心温まる友情を描いたファンタジー大作。ネス湖の幻の生物ネッシーをとらえた写真にまつわる秘話を、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでアカデミー賞を受賞したスタッフが大胆な発想でよみがえらせた。主演は、『ミリオンズ』のアレックス・エテル。共演には、過去2度のオスカー・ノミネート経験を持つエミリー・ワトソン、『ニュー・ワールド』のベン・チャップリンら実力派が顔をそろえている。(シネマトゥデイ)

【感想】
父親を亡くした孤独な少年アンガス(アレックス・エテル)は、ネス湖のほとりで青く光る不思議な卵を見つける。家に持ち帰った卵から生まれたのは、スコットランドに伝わる伝説の海獣“ウォーター・ホース”だった。あっという間に成長したウォーター・ホースを湖に放し、アンガスは大人たちの目を盗んで会いに行くようになる。(シネマトゥデイ)

【感想】
ウォーターホースはケルト民族に語り継がれた、伝説の生き物なのですね。
それで、あの有名なネス湖のネッシーも、偽物だとわかるまでの長い間、人々に夢を与え続けていられたのですね。

これは、ネス湖の本当の(信じる人には)ウォーターホース、クルーソーとアンガス少年の物語。

アンガスは尊敬する父親が戦死したとも知らず、父親の帰りを待っているが、ネス湖のそばに済みながら、水が苦手で、友達にとけ込めない。
孤独な毎日。
大きなお屋敷に、母と姉と家政婦と一緒に住んでいた。

ある日、水辺で大きな卵を拾い、持ち帰ると卵から恐竜のような生き物がふ化した。
アンガスはクルーソーという名前をつけて、かわいがる。

その屋敷を使わせてくれと、軍隊がやってきた。
母と大尉はひかれあっている様子。
また、母が頼んだ下働きのルイスも屋敷にやってきた。

クルーソーはみるみる大きくなり、姉とルイスにも知れるところとなり、もはや家のバスタブには置いておけなくなった。

ネス湖に逃がし、アンガスはクルーソーに密かに会いに来るが、軍隊に知られるところとなり、クルーソーは追われることとなる。

すごくファンタジックだし、少年の心の成長を描いています。
もっと子供だましかと思ったら、なかなかよくはできていたけど、平凡な感じは免れませんでした。

でも、ラストのクルーソーの大ジャンプは感動的でした。
そして、少年が父の不在を受け入れるシーン、ジーンとくるものがありました。

身毒丸(シアタードラマシティー)

2008-03-04 10:49:13 | 舞台
ー身毒丸ー
作:寺山修司/岸田理生、演出:蜷川幸男 作曲:宮川彬良
身毒丸:藤原竜也 撫子:白石加代子 父親:品川徹 小間使い:蘭妖子 仮面売り:石井愃一

【解説】
ケネディセンターからの熱いラブコールにこたえ『身毒丸』が、束の間、封印の扉を開く-こうして伝説の舞台は始まった。
1995年12月。寺山修司の『身毒丸』(1978年初演)が、蜷川幸雄の手でドラマティックに生まれ変わった。タイトルロールを演じたのは武田真治。当時23歳の武田にとって初舞台であった。寺山修司、蜷川幸雄、白石加代子(撫子役)という1960年代に端を発する演劇人と1990年代に一世を風靡したアイドル俳優の花散る闘いの末に生まれたこの作品は、その後、藤原竜也という演劇の申し子を誕生させることになった。

-藤原竜也誕生。
1997年。『身毒丸』に当たり、身毒丸役の新人オーディションが行われることになった。応募総数5537名。ここでグランプリを勝ち取ったのが藤原竜也(当時15歳)だった。池袋に遊びに来ていたときに、『身毒丸』スタッフからオーディションのチラシを配られたことがきっかけとなった。藤原の初舞台となったのはロンドン・バービカン劇場。蜷川演出、白石の共演と共に、地元各紙で絶賛された。初舞台でタイトルロールというだけも充分なプレッシャーだが、海外の劇場で主役を演じる、というプレッシャーの二乗を、藤原は乗り越えた。この稀有な経験が彼のプロフィールのはじまりなのだ。

-そして、10年目に復活。
藤原竜也の衝撃的なデビューから10年。蜷川幸雄と藤原竜也は、ベストパートナーとして、三島由紀夫の『近代能楽集』、唐十郎の『唐版 滝の白糸』、シェイクスピアの『ハムレット』『ロミオとジュリエット』と、次々に伝説を塗り替えていく。新たな地平に向かうために、伝説の舞台『身毒丸』を封印して。
しかし、この固い封印を解いたのが、ワシントンのケネディセンター。熱いラブコールに絆され、ついに再演が決定した。
今回の復活劇は、今一度、あの伝説を蘇らせてくれる祝祭のようなものと考えて頂きたい。『身毒丸』復活公演は、停滞することなく走り続ける蜷川と藤原の10 年の深化をはかり、これからを占う、指針となるだろう!
(講演詳細情報より)

【感想】
藤原竜也が衝撃的なデビューを飾り、全世界で絶賛された伝説の舞台、ずっと見る機会がなくいままできましたが、ようやく、ひょんなことからチケットが手に入り、3月3日、大阪シアタードラマシティーに行ってきました。

私は寺山修司の「天井桟敷」の舞台も知りません。
同時代に生きていたのに、とても残念なことです。

この舞台の始まりは、そんなアングラ劇の雰囲気を良く表しているのではないでしょうか。
テーマは、「母恋もの」でいいのかなあ。
私は、このラストから、運命のいたずらで継母と息子になってしまったけど、一目会ったときから、運命の恋人と定められた二人の禁断の愛憎劇ーだと思いました。

最近、禁断の愛ばかり見ているせいでしょうか?

同じ藤原竜也主演、蜷川演出の「弱法師」を見たことがあるのですが、疑似家族など、テーマも雰囲気も似ていると思いました。

さて、この舞台は人々の装束やものなどで昭和を表現し、壊れゆく家族を描いています。
最後には、家の象徴としてはんこが出てきて、コミカルなダンスを披露してくれました。

私たちが若い頃、あんなにがんじがらめに縛られていた家が、ほんとうだ!もうどこにもない!!ということに気づかされました。

しかも、大切な家族まで失いそうになっています。

舞台のテーマとは違うかもしれないけど、私たち世代が望んで得たものは、これでよかったのかと、考えてしまいました。

白石加代子さんはこの役ははまりやくですね。
彼女なくしては、考えられないと思いました。

藤原竜也くんは、きれいな裸体も披露してくれ、舞台は素晴らしいです。

暗い芝居なのに、最後はスタンディングオベーションで盛り上がりました。

キャンディ

2008-03-04 10:45:09 | 映画ーDVD
ーキャンディーCANDY
2006年 オーストラリア ニール・アームフィールド監督 ヒース・レジャー(ダン)アビー・コーニッシュ(キャンディ)ジェフリー・ラッシュ(キャスパー)トニー・マーティン(ワイアット氏)ノニ・ハズルハースト(ワイアット夫人)トム・バッジ(シューマン)ロベルト・ミザ・モント(ジョージ)

【解説】
自堕落でせつな的な生活を送る男女の愛を描いた衝撃的なラブストーリー。ドラッグに溺れる主人公の男女を『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャーと『プロヴァンスの贈りもの』のアビー・コーニッシュが演じる。また、2人を見守るゲイの大学教授役で『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』のジェフリー・ラッシュが出演。繊細(せんさい)な愛に生きる男を体現するヒースら、キャストの熱演が見応え十分。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
強い愛で結ばれる詩人志望の青年ダン(ヒース・レジャー)と画家の卵キャンディ(アビー・コーニッシュ)。ダンはヘロインの常用者で、やがてキャンディも危険なドラッグの世界に足を踏み入れていく。2人はドラッグを手に入れるために身の回りのものを売りさばき、キャンディは街で体を売るようになるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画、どうみるか!だなあ。

ドラックに溺れて、想像通りに堕落して行く二人ーと見たら、ドラッグ撲滅キャンペーン映画になってしまいます。
二人が破滅の道をいくところ、結局彼らの最大の理解者、ジャンキーの教授キャスパー(ジェフリー・ラッシュ)はドラックの打ち過ぎで、死んでしまいます。

でも、見終わったいまの感想は、ピュアな恋愛映画を見たような感じです。
しかも、運命が二人を切り裂くのではなく、何とは言わないけど、二人だけにある別れの瞬間だったんだなあ、という余韻。
うーん、いい映画なんじゃないかなあ。

☆ネタバレ
詩人志望のダン(ヒース・レジャー)は画家志望のキャンディ(アビー・コーニッシュ)に会って一目で恋に落ちた。
それはよくあることなんだけど、ダンはジャンキーだったんです。
二人は深く愛し合い、キャンディも次第に強い刺激を求めるようになり、ともにドラッグに溺れていきます。

キャンディは何不足なく育ったお嬢さんだけど、父親の溺愛、母親との確執があり、ダンと出会ったことでその思いが解放された形です。

愛にも溺れ、ドラッグにも溺れながら、二人は結婚します。

ダンは生活力のない男、働く気が全くありません。
キャスパーに援助(?)してもらいながら、最初は万引き、盗み、それでもお金はドラッグに消えていき、キャンディは娼婦に。
キャンディが取ったお客から偽のドラッグをつかまされることも…
そして、ダンは悪質な盗み、詐欺までやってしまいます。
とうとう住む家までなくし、最低、最悪の二人。
それでも、二人は愛し合っていたのです。

そんなときに、キャンディが妊娠。
やっと、ドラッグと縁を切って人生をやり直す決心をします。
でも、「止めれる時には止めたくない、止めたい時には止めれない」ドラック。
その苦しみも、流産というさらなる悲劇で幕を閉じます。

身も心もボロボロになったキャンディ、郊外に移り住んでも、どんどん心は荒んで行き、とうとう精神に異常をきたしてしまう。

精神病院で、老婆のようになったキャンディを見て、ダンは何を思ったんだろう。

ドラッグと縁を切り、皿洗いに励むダン。
退院したキャンディに別れを告げる。
受け入れるキャンディ…

このシーンがとてもきれいです。

ただのジャンキーの映画にならないところが、ヒースとアビーの演技力だと思いました。

 ヒース・レジャー

ヒース、こういう切ない映画はぴったりですね。
いい役者さんでしたねえ。
寂しいです。

でも、薬物中毒で亡くなった(08.1.22)なんて、この迫真の演技は、演技だけではないのかなあ、とも思ってしまいました。

補足
ヒースの死因についてウィキペディアの記事には
「昨年11月頃から不眠症となり、「とても疲れているのに二時間程しか眠れない」と映画『バットマン』出演に際してのインタビューでは睡眠薬服用を公言している。婚約解消と別居に重なる時期でもあった。以来不眠症、神経不安などを解消するために6種類の処方薬を服用していたとみられる。当時はインフルエンザにもかかっており、薬の併用・過剰摂取による急性薬物中毒による事故死だった。」と書かれていました。
ヒースの名誉のために、薬物中毒者でなかったことを付け加えておきたいと思います。