ーボビーー
2006年 アメリカ エミリオ・エステヴェス監督 ハリー・ベラフォンテ 、ジョイ・ブライアント 、ニック・キャノン 、エミリオ・エステヴェス 、ローレンス・フィッシュバーン 、ブライアン・ジェラティ 、ヘザー・グレアム 、アンソニー・ホプキンス 、ヘレン・ハント 、ジョシュア・ジャクソン 、デヴィッド・クラムホルツ 、アシュトン・カッチャー 、シア・ラブーフ 、リンジー・ローハン 、ウィリアム・H・メイシー 、スヴェトラーナ・メトキナ 、デミ・ムーア 、フレディ・ロドリゲス 、マーティン・シーン 、クリスチャン・スレイター 、シャロン・ストーン 、ジェイコブ・バルガス 、メアリー・エリザベス・ウィンステッド 、イライジャ・ウッド
【解説】
1968年のロバート・F・ケネディ暗殺事件当夜、アンバサダーホテルに集った22人に焦点を当てた人間ドラマ。“ボビー”の愛称で国民に愛されたアメリカ大統領候補が凶弾に倒れるまでの一日を、彼に希望を託した人々の人生を通して描く。『世界最速のインディアン』のアンソニー・ホプキンスや『氷の微笑2』のシャロン・ストーンら豪華キャストが集結。当時の映像やスピーチを織り交ぜて見せる映像のリアルさに圧倒される。
【あらすじ】
名門アンバサダーホテルのドアマンだったジョン(アンソニー・ホプキンス)にとって、かつての職場は自分の家のようなもの。彼はいつものように元同僚のネルソン(ハリー・ベラフォンテ)とホテルのロビーでチェスを楽しんでいた。そこへ国民の期待を一身に受けたアメリカ大統領候補、42歳のケネディ上院議院が到着する。 (シネマトゥデイ)
【感想】
1968年、6月5日、ロバート・F・ケネディがアンバサダーホテルで銃弾に倒れた日、エミリオ・エステヴェスは6歳で自宅でその速報を見たそうです。
そのニュースを、寝ていた父親チャーリー・シーンを起こして知らせたそうです。
その後彼は俳優一家に育ったこともあったのでしょう、俳優としてデビューして、数々の映画に出演、近年はTVの監督やプロデューサー、ワイナリーの経営もしているそうです。
その彼がアンバサダーホテルを取り壊すという時に訪れ、インスピレーションを得て、資料を集め、脚本を書き始めたそうです。
ところが、すぐに行き詰まっていたら、弟のチャーリー・シーンから背中を押され、静かに書ける場所を求めて旅に出ます。
そして訪れたテレビもないようなモーテルで、ある女性から話しかけられ、旅の目的を告げると「私はあのとき、あの場所にいました」と言ったそうです。
彼女のイメージから、ダイアナというリンジー・ローハンの演じたキャラクターが出来上がり、あとは一気に書き上げたそうです。
驚くことに、この作品の登場人物は、フレディ・ロドリゲスが演じたホセと言う人物以外はすべて架空の人物、エミリオの創作によるというのです。
主要人物だけでも22人。
登場人物の多さに圧倒されますが、とても性格がしっかり描き分けられてあるので、混乱することはないと思います。
隣に座っていた二人組の女性は途中で出て行ってしまいましたが。
退屈したのでしょうか?
最後まで見て欲しかったなあ。
映画はアンバサダーホテルの一日、明け方の火災報知器の誤報から始まって、夜、カリフォルニアの予備選で圧倒的勝利をおさめ、勝利宣言をするRFKを銃弾が襲うまでの長い一日の、人々のありようを克明に描いてあります。
「ボビー」というタイトルですが、ボビーその人は映画の終わり頃に、後ろ姿か遠景、あるいは記録フィルムにしか登場しません。
演説のシーンでは、実写の方もフィルムのトーンをあわせて報道フィルムの様に見せていました。
うまかった。
パーティに集まった人々の、希望に満ちた顔。
それぞれの人生で、苦悩は抱えているものの、この時ばかりは若いボビーと一緒に、アメリカの明るい将来を確信したことでしょう。
しかし…。
実際にRFKを撃ったのはパレスティナの青年でしたが、この暗殺の真相も、兄と同様霧の中だそうです。
狙撃現場の混乱の中で、ボビーの演説が流れます。
それは特別な主張ではなく、暴力をなくすために、ひとりひとり何ができるかと言う、ごく当たり前の演説でした。
涙があふれてきました。
この事件ばかりではなく、アメリカでは主張する人の命が数多く失われてきました。
そのたびに、それを支えにしていた人たちが、何度失望したことでしょう。
そうして、あの9.11を迎えたのでしょう。
あそこまでの、暴力。
アメリカを取り巻く強い憎しみの嵐。
この時期に、この作品が発表されたことも意義が深いでしょう。
ボビーのメッセージを読み取って、暴力のない世界が来ることを祈ります。
さて、この豪華俳優陣が無駄なシーンなくたんたんと演じているのですから、見所は満載です。
まず、アンバサダーホテルに深い愛着を持つ元ベルボーイにアンソニー・ホプキンス。
そのチェスのお相手がハリー・ベラフォンテ。
支配人に、ウィリアム・H・メイシー、愛人にヘザー・グレアム、妻でホテルの中の美容院に勤めるシャロン・ストーン。
ホテルのショーに出演する落ち目の歌手にデミ・ムーア、その夫にエミリオ自身、彼らは昔婚約していたこともあったそうです。
デミ・ムーアとシャロン・ストーンの絡みも大女優同士としては珍しいシーンだと思いました。
なかなか味わい深いです。
デミ・ムーアの現在の夫、アシュトン・カッチャーは薬の売人。怪しい役だけど、目がかわいい。
あとは、最前線に送られないために偽装結婚する、イライジャ・ウッドとリンジー・ローハン。
こんなことも、あったのですね。
ベトナム戦争が泥沼化してきている時期です。
ホセを励ます副料理長にローレンス・フィッシュバーン。
エミリオとは14歳からの親友ですって。
彼のセリフにこの映画の熱いメッセージが含まれています。
お父さんのチャーリー・シーンの役は若い神経質な妻(ヘレン・ハント)を連れた大富豪。
なんか、目の光が慈愛に満ちていて、ジーンと来ました。
映画の中のお話も、時代背景を巧みに取り入れながら、人間関係の機微を描いているのですが、この映画に関わった人たちも、エミリオの情熱に動かされたんだということが、伝わって来るような作品でした。
音楽もすごく良かったです。
2006年 アメリカ エミリオ・エステヴェス監督 ハリー・ベラフォンテ 、ジョイ・ブライアント 、ニック・キャノン 、エミリオ・エステヴェス 、ローレンス・フィッシュバーン 、ブライアン・ジェラティ 、ヘザー・グレアム 、アンソニー・ホプキンス 、ヘレン・ハント 、ジョシュア・ジャクソン 、デヴィッド・クラムホルツ 、アシュトン・カッチャー 、シア・ラブーフ 、リンジー・ローハン 、ウィリアム・H・メイシー 、スヴェトラーナ・メトキナ 、デミ・ムーア 、フレディ・ロドリゲス 、マーティン・シーン 、クリスチャン・スレイター 、シャロン・ストーン 、ジェイコブ・バルガス 、メアリー・エリザベス・ウィンステッド 、イライジャ・ウッド
【解説】
1968年のロバート・F・ケネディ暗殺事件当夜、アンバサダーホテルに集った22人に焦点を当てた人間ドラマ。“ボビー”の愛称で国民に愛されたアメリカ大統領候補が凶弾に倒れるまでの一日を、彼に希望を託した人々の人生を通して描く。『世界最速のインディアン』のアンソニー・ホプキンスや『氷の微笑2』のシャロン・ストーンら豪華キャストが集結。当時の映像やスピーチを織り交ぜて見せる映像のリアルさに圧倒される。
【あらすじ】
名門アンバサダーホテルのドアマンだったジョン(アンソニー・ホプキンス)にとって、かつての職場は自分の家のようなもの。彼はいつものように元同僚のネルソン(ハリー・ベラフォンテ)とホテルのロビーでチェスを楽しんでいた。そこへ国民の期待を一身に受けたアメリカ大統領候補、42歳のケネディ上院議院が到着する。 (シネマトゥデイ)
【感想】
1968年、6月5日、ロバート・F・ケネディがアンバサダーホテルで銃弾に倒れた日、エミリオ・エステヴェスは6歳で自宅でその速報を見たそうです。
そのニュースを、寝ていた父親チャーリー・シーンを起こして知らせたそうです。
その後彼は俳優一家に育ったこともあったのでしょう、俳優としてデビューして、数々の映画に出演、近年はTVの監督やプロデューサー、ワイナリーの経営もしているそうです。
その彼がアンバサダーホテルを取り壊すという時に訪れ、インスピレーションを得て、資料を集め、脚本を書き始めたそうです。
ところが、すぐに行き詰まっていたら、弟のチャーリー・シーンから背中を押され、静かに書ける場所を求めて旅に出ます。
そして訪れたテレビもないようなモーテルで、ある女性から話しかけられ、旅の目的を告げると「私はあのとき、あの場所にいました」と言ったそうです。
彼女のイメージから、ダイアナというリンジー・ローハンの演じたキャラクターが出来上がり、あとは一気に書き上げたそうです。
驚くことに、この作品の登場人物は、フレディ・ロドリゲスが演じたホセと言う人物以外はすべて架空の人物、エミリオの創作によるというのです。
主要人物だけでも22人。
登場人物の多さに圧倒されますが、とても性格がしっかり描き分けられてあるので、混乱することはないと思います。
隣に座っていた二人組の女性は途中で出て行ってしまいましたが。
退屈したのでしょうか?
最後まで見て欲しかったなあ。
映画はアンバサダーホテルの一日、明け方の火災報知器の誤報から始まって、夜、カリフォルニアの予備選で圧倒的勝利をおさめ、勝利宣言をするRFKを銃弾が襲うまでの長い一日の、人々のありようを克明に描いてあります。
「ボビー」というタイトルですが、ボビーその人は映画の終わり頃に、後ろ姿か遠景、あるいは記録フィルムにしか登場しません。
演説のシーンでは、実写の方もフィルムのトーンをあわせて報道フィルムの様に見せていました。
うまかった。
パーティに集まった人々の、希望に満ちた顔。
それぞれの人生で、苦悩は抱えているものの、この時ばかりは若いボビーと一緒に、アメリカの明るい将来を確信したことでしょう。
しかし…。
実際にRFKを撃ったのはパレスティナの青年でしたが、この暗殺の真相も、兄と同様霧の中だそうです。
狙撃現場の混乱の中で、ボビーの演説が流れます。
それは特別な主張ではなく、暴力をなくすために、ひとりひとり何ができるかと言う、ごく当たり前の演説でした。
涙があふれてきました。
この事件ばかりではなく、アメリカでは主張する人の命が数多く失われてきました。
そのたびに、それを支えにしていた人たちが、何度失望したことでしょう。
そうして、あの9.11を迎えたのでしょう。
あそこまでの、暴力。
アメリカを取り巻く強い憎しみの嵐。
この時期に、この作品が発表されたことも意義が深いでしょう。
ボビーのメッセージを読み取って、暴力のない世界が来ることを祈ります。
さて、この豪華俳優陣が無駄なシーンなくたんたんと演じているのですから、見所は満載です。
まず、アンバサダーホテルに深い愛着を持つ元ベルボーイにアンソニー・ホプキンス。
そのチェスのお相手がハリー・ベラフォンテ。
支配人に、ウィリアム・H・メイシー、愛人にヘザー・グレアム、妻でホテルの中の美容院に勤めるシャロン・ストーン。
ホテルのショーに出演する落ち目の歌手にデミ・ムーア、その夫にエミリオ自身、彼らは昔婚約していたこともあったそうです。
デミ・ムーアとシャロン・ストーンの絡みも大女優同士としては珍しいシーンだと思いました。
なかなか味わい深いです。
デミ・ムーアの現在の夫、アシュトン・カッチャーは薬の売人。怪しい役だけど、目がかわいい。
あとは、最前線に送られないために偽装結婚する、イライジャ・ウッドとリンジー・ローハン。
こんなことも、あったのですね。
ベトナム戦争が泥沼化してきている時期です。
ホセを励ます副料理長にローレンス・フィッシュバーン。
エミリオとは14歳からの親友ですって。
彼のセリフにこの映画の熱いメッセージが含まれています。
お父さんのチャーリー・シーンの役は若い神経質な妻(ヘレン・ハント)を連れた大富豪。
なんか、目の光が慈愛に満ちていて、ジーンと来ました。
映画の中のお話も、時代背景を巧みに取り入れながら、人間関係の機微を描いているのですが、この映画に関わった人たちも、エミリオの情熱に動かされたんだということが、伝わって来るような作品でした。
音楽もすごく良かったです。