ーキャロルーCAROL
2015年 イギリス/アメリカ/フランス 118分
監督=トッド・ヘインズ キャスト=ケイト・ブランシェット (キャロル・エアード) ルーニー・マーラ (テレーズ・ベリベット)サラ・ポールソン (アビー)ジェイク・レイシー (リチャード)
【解説】
「太陽がいっぱい」「殺意の迷宮」などで知られる作家パトリシア・ハイスミスの小説を基にしたラブロマンス。同性ながらも強く惹(ひ)かれ合う女性たちに待ち受ける運命を追い掛ける。メガホンを取るのは、『エデンより彼方に』『アイム・ノット・ゼア』などのトッド・ヘインズ。『ブルージャスミン』などのケイト・ブランシェット、『ドラゴン・タトゥーの女』などのルーニー・マーラが共演。彼女らの熱演はもとより、舞台となる1950年代初頭のニューヨークを再現した美術にも注目。
【あらすじ】
1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
女性の同性愛作品はフランス映画の「アデル、ブルーは熱い色」が激しい恋で印象に残っていますが、なかなか共感するところまでは至りませんでした。
この「キャロル」は1950年という、女性が抑圧されていて、人生を自由に選択できないという時代もあって、「心のままに生きたい」という思いを抱いているキャロル(ケイト・ブランシェット)の心の葛藤が迫ってくるような作品でした。
キャロルは富豪の妻で、幼い娘と暮らしている。
人もうらやむ環境だが、離婚問題を抱え、娘の親権も脅かされている。
義父母ともうまくいかず、結局、娘は遠ざけられ、法的に争うことになってしまった。
そうなると、当時の女性の権利など弱いものです。
そんなときにキャロルとテレーズ(ルーニー・マーラ)は出会ったのでした。
この出会いのシーンは素敵ですよ。
テレーズは写真家になる夢を持ちつつ、デパートでアルバイトをしていました。
恋人もいて、青春を謳歌している感じです。
ちょうどクリスマス商戦の季節。
そこへ娘のクリスマスプレゼントを探しに来たキャロルと出会いました。
おもちゃ売り場に入って来たキャロルのゴージャスな感じにテレーズの目は釘付けになります。
何が起こったかわからない感じ。
まさか、女性に恋するとは思っていませんからね。
二人は会話を交わし、キャロルはテレーズが勧めたものを買って帰ります。
残されていたキャロルの手袋。
これがきっかけになって二人は会うようになります。
今度はキャロルが恋に落ちる番。
キャロルは夫に子供を取り上げられ、悲しみの淵にいました。
失意のキャロルはテレーズを誘って旅に出ます。
ここからは、テレーズの成長物語のような感じにもなっていきます。
しかし、この幸せも長くは続きません。
夫の卑怯な行為により、キャロルはどん底に落とされますが…。
二人の女性がどう変化していくのか、とても興味深く最後まで引き付けられました。
抑圧されたキャロルがもがき苦しみながら自分の人生を再構築していくのも素敵ですし、テレーズが自分の才能に目覚めていくところも素敵でした。
ケイト・ブランシェットは美しさに加えて貫禄さえ感じますし、ルーニー・マーラのけなげなかわいらしさといったら、誰でも恋に落ちてしまいそうでした。
女性のドラマとして見応えがありましたよ。