ーリリーのすべてーTHE DANISH GIRL
2015年 120分 イギリス/ドイツ/アメリカ
監督=トム・フーバー キャスト=エディ・レッドメイン (リリー・エルベ(アイナー・ヴェイナー)) アリシア・ヴィカンダー (ゲルダ・ヴェイナー) ベン・ウィショー (ヘンリク) セバスチャン・コッホ (ヴァルネクロス)
【解説】
世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家リリー・エルベと、その妻ゲルダとの愛を描いた伝記ドラマ。メガホンを取るのは、第83回アカデミー賞の4部門で受賞した『英国王のスピーチ』などのトム・フーパー。性別違和に苦悩する主人公には『博士と彼女のセオリー』でオスカー俳優となったエディ・レッドメイン、一番の理解者として夫を支え続けた妻を『コードネーム U.N.C.L.E.』などのアリシア・ヴィキャンデルが演じる。共演にはベン・ウィショー、マティアス・スーナールツらがそろう。
【あらすじ】
1926年デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は、同じく画家の妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に女性モデルの代役を依頼される。その際に、自身の内面にある女性の存在を感じ取る。それ以来リリーという女性として生活していく比率が増していくアイナーは、心と体の不一致に悩むことに。当初はそんな夫の様子に困惑するゲルダだったが、次第に理解を深め……。(シネマトゥデイ)
【感想】
世界初の性別適合手術を受けた人の衝撃的な作品ですが、私はこの作品は夫婦愛の映画だなあと思いました。
妻ゲルだ役を演じたアリシア・ヴィキャンデルが今年の助演女優賞を受賞しましたが、それほどまでに素晴らしい女性でした。
彼女が主人公と言ってもいい作品でした。
1900年代前半、性同一障害などという言葉もない時代、夫婦とも画家という家庭に現れた夫の障害。
夫の中に、リリー・エルベと名付けられた別の人格が現れて、その存在がどんどん夫の人格を乗っ取っていきます。
妻の苦悩と、愛する夫を助けたいという気持を、アリシアはすごくよく表現して涙が出ました。
今も、そういう障害を持つ人たちに優しい世の中とはとても言えない状態ですが、当時は精神病とされ世間から疎外され、自分自身も困惑し、不安の中で過ごしていた人が大勢いたことでしょう。
私にも理解し難いことですが、ゲルダのひたむきな愛情によって、リリーは幸せな生涯を閉じることができたと思いました。
エディ・レッドメインが、昨年のキング博士に引き続きのアカデミー賞のノミネートで、素晴らしい演技でしたが、それもアリシアあっての存在感ということで、文句なしの助演女優賞だったと納得しました。
いい作品でした。