マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ダラス・バイヤーズクラブ

2014-03-15 13:55:04 | 映画ー劇場鑑賞

ーダラス・バイヤーズクラブーDALLAS BUYERS CLUB

2013年 アメリカ 117

ジャン=マルク・ヴァレ監督 マシュー・マコノヒー(ロン・ウッドルーフ)ジャレッド・レトー(レイヨン)ジェニファー・ガーナー(イブ)

 

【解説】

1980年代当時無認可だったHIV代替治療薬を密輸販売し、アメリカのHIV患者が特効薬を手にできるよう奔走した実在のカウボーイの半生を映画化した人間ドラマ。HIV陽性と診断されたカウボーイを『マジック・マイク』などのマシュー・マコノヒーが演じ、21キロも減量しエイズ患者という難役に挑んだ。『チャプター27』などのジャレッド・レトー、『JUNO/ジュノ』などのジェニファー・ガーナーが共演。監督を『ヴィクトリア女王世紀の愛』のジャン=マルク・ヴァレが務める。

 

【あらすじ】

1985年、電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、HIV陽性と診断され余命が30日だと言い渡される。アメリカには認可治療薬が少ないことを知った彼は代替薬を探すためメキシコへ向かい、本国への密輸を試みる。偶然出会った性同一性障害でエイズを患うレイヨン(ジャレッド・レトー)と一緒に、国内未承認の薬を販売する「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

今年のアカデミー賞、マシュー・マコノヒーが主演男優賞、ジャレッド・レトーが助演男優賞を獲りましたね!!

 

ジャレッドは13.5キロ、マシューは20キロ減量してこの役に挑んだそうです。

ハリウッドの役者さんが減量したり、増量したりして役作りをするのには、もうあまり驚かなくなっていますが、見た目に加えて、この二人の演技はすごかったです。

 

今年最初の一押し!!

みんなに見てもらいたいです。

 

ロック・ハドソンがエイズに罹ったというニュース。

日本でも報じられましたね。

1報は1985年のことだそうです。

その後、同性愛者(ゲイ)であることをカミングアウトしたことも有名です。

 

ダラスに住む電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、そのニュースを聞いてぞっとしていました。

ゲイなんて大嫌い。

 

ロンは、トレーラーハウスに住み、ギャンブルで儲けたら娼婦を買って、麻薬と酒浸り。

ときにはいかさまもやるチンピラカウボーイです。

 

ある時、職場で電気ショックを受け気絶して病院へ。

そこで、とんでもないことを聞かされます。

「HIVに感染しています。余命30日」

「冗談じゃない。俺はゲイでもないのに、そんなバカなことがあるわけない。検査間違いだ」と元の生活へ。

 

でも、体は弱って行くばかり。

試験中のAZTがHIVに効くと聞き、主治医のイブ(ジェニファー・ガーナー)に頼み込むが断られ、裏金を使って横流ししてもらう。

それも途絶えると、メキシコに頼れる医者いると聞き、メキシコへ。

 

その医師は、癌の薬についていろいろ教えてくれて、無認可だけど毒性のない薬をいろいろ紹介してくれた。

ロンは、医者からたくさんの薬を買って帰り、同じ悩みのHIV患者に売ろうとするのだが、一人で売りさばくのは大変だ。

性同一性障害でエイズを患うレイヨン(ジャレッド・レトー)と知り合い、彼女のコミュニティを通じて、薬をさばこうと考える。

無認可の薬を売ることはできないので、会員制の「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立し、会費を取って薬はフリーという商売を始めた。

 

☆ネタバレ

HIVに感染する前のロンは、女とギャンブル、酒と麻薬で享楽の限りを尽くしていた人物。

それが、余命を知らされたとたん、死と向き合い、死にたくないと強く思うようになり、薬について研究始めたところがすごい。

そして、すごい行動力。

がんに効くとなれば、日本でもヨーロッパでもどこでも自ら足を運んだようです。

法律も国家も恐れない、すごい信念です。

 

これ、実話で、ロンは実在の人物ですって。

 

クラブを作ったのも、人助けではなく、自分の薬代を稼ぐためという方が正しいと思う。

社会正義とかいうことはロンの発想にはないと思いました。

 

レイヨンのことも最初は商売に利用できると考えただけかもしれないけど、レイヨンのある意味純粋なところを認めるようになり、友情とかパートナーシップという人間関係ができていった様子が、とてもきめ細かく描かれていました。

  レイヨン(左)とイブ

レイヨンは、誇り高きゲイではあるけど、親に逆らって生きてきてHIVに感染したという後悔もあるだろうし、突っ張っているけど繊細な性格なので、麻薬から手を切れないでいる。

レイヨンにとってロンは、新たなヒーローだったんだと思う。

だから、レイヨンの死ぬところは、泣けてしまいました。

レイヨンの死を知って、顔色をかえて医者に怒鳴り込むロンは、人間味が溢れて素敵でした。

 

イブはかなり重要な人物で、観客の気持ちを代弁してくれています。

ロンが信頼する数少ない専門家で、ロンが違法なことや人を傷つけることを平気でしても、イブがロンの気持ちを汲み、正しい評価をするので、観客も安心してみていられるのだと思いました。

 

始まりもロデオ、終わりもロデオ。

刹那的な生き方の象徴みたいなこの競技。

何かを暗示している感じがして、奥の深さを感じました。

ロンの本質は変わっていない。

人間はそう簡単に変われるものではない。

ということかな?

 

とすると、HIVに感染する前と、した後、どちらのロンがロンの本質なのでしょう。

見た目には変わったけど、やっぱりロンはロンなのでしょう。

命がかからないと、本気にならない、根っからのギャンブラーなのです。

 


塀の中のジュリアス・シーザー

2014-03-15 13:47:40 | 映画ーDVD

ー塀の中のジュリアス・シーザーーCESARE DEVE MORIRE/CAESAR MUST DIE

2012年 イタリア 76

パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ監督 コジーモ・レーガ(キャシアス(カッシオ))サルヴァトーレ・ストリアーノ(ブルータス(ブルート))ジョヴァンニ・アルクーリ(ジュリアス・シーザー)アントニオ・フラスカ(アントニー(マルカントニオ))フアン・ダリオ・ボネッティ(ディシアス(デチオ))ヴィンチェンツォ・ガッロ(ルシアス(ルーチョ))ロザリオ・マイオラナ(メテラス(メテロ))ファビオ・カヴァッリ(舞台監督)

 

【解説】

イタリアの巨匠パオロ、ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟が監督を務めた、実在のレビッビア刑務所を舞台にストーリーが展開する意欲作。服役中の囚人たちが、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を刑務所内で見事に熱演する過程をカメラが追い掛ける。演技に没頭する個性あふれるメンバーたちを演じるのは、終身刑や長期の刑を言い渡された本物の受刑者たち。そこが塀の中だということを忘れてしまうほどダイナミックで感動的な芝居に熱狂する。

 

【あらすじ】

イタリアのローマ郊外にあるレビッビア刑務所の重警備棟では、服役囚たちによる演劇実習が行われている。所内にある劇場に一般の観客を招いて行う今年の出し物は、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」に決定。そしてオーディションが始まり、麻薬売買で服役中のアルクーリや所内のベテラン俳優のレーガらが続々と集まって来る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

イタリアのローマ郊外にあるレビッビア刑務所。

結構重い罪の人が入っていそうな、ものものしい独房。

これは毎年行われているものなのかなあ?

囚人による演劇実習。

ドキュメンタリーみたいだけど、それはそうじゃありません。

 

今年の出し物はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」に決まった。

「オーディションをやるぞ」って。

そのオーディションの内容が、氏名、生年月日、出身地、父親の名前を言うのですが、「家族と別れを惜しんだあとで、悲しみを込めて」と「怒って」。

確かに、人となりが出ます。

怒ったときはさすがに迫力がありました。

こうして、無事に配役が決まりました。

 

劇場が折悪しく改装中で、刑務所のいろんなところで本番さながらの練習が行われます。

こうして、映画を見ているこちらは劇ひとつを見終わるという仕掛けです。

 

間には、囚人らしいいざこざや短気な部分も映し出されますが、おおむね熱心で、その演技力に引き込まれて行きます。

 

劇中の人物を演じるということは、その人物の生を生きるということ。

ブルータスを演じた人なんかは、どんどんブルータスにのめり込んで行きます。

 

刑務所の一角にある劇場に市民を迎え入れて劇が始まりました。

渾身の演技に、観客たちもスタンディングオベーションで応えました。

 

出所してから、ブルータス役の人は本物の役者になったというし、本を書いた人もいました。

 

演劇って、何か人を変える力があるのでしょうか?

人間の可能性に挑戦した作品なのかもしれません。