ーウィーン初演20周年記念公演 ミュージカル エリザベートー
脚本・歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲 シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞 小池修一郎
梅田芸術劇場での初日、行ってきました。
良かったわあ♡
2004年の一路真輝、山口祐一郎のものと、2008年の涼風真世、武田真治のものを見ています。
たぶん、2002年の宝塚本公演で春野寿美礼さんがトートを演じたDVDを見て、とても感動しました。
それで、今回の公演を楽しみにしていたら、なんと、初日のチケットを友達が取ってくれました。
A子ちゃん、いつもありがとう。
「エリザベート」なぜか、ブログにアップするのは初めてです。
2004年の一路真輝さんのエリザベートはとても感動しました。
歴史上の人物、しかも激動のヨーロッパ、第一次世界大戦に向かう頃、ハプスブルグ家ほとんど末期にオーストリア皇帝の皇后として迎えられて、数奇な運命に翻弄された人物です。
172センチ、ウエスト50センチ、体重は50キロで、素晴らしい美貌の持ち主。
時の皇帝フランツ・ヨーゼフが一目惚れしたのも無理はないでしょう。
一路さんは、エリザベートのプライドの高さや、上品さを完璧に演じておられました。
ぴったりでしたね。
初日の配役。
今回私が注目したのは春野寿美礼さん。
宝塚時代のトートのかっこよさが忘れられません。
さて、エリザベートはどう演じられるのでしょう。
結論から言って、少女時代のかわいらしさ、孤独な王妃時代、晩年のはかなさ、音域の広い美しい声で、とても感動しました。
特に、トート役のときは聞かれなかった、澄んだ高音もステキでした。
でも、私が心奪われたのはマテ・カマラスさんの迫力。
マテ・カマラス(ハンガリー語:Máté Kamarás(マーテー・カマラーシュ)、1976年9月21日 - )は、ハンガリーのミシュコルツ生まれのミュージカルスター。ロック歌手。アーティスト。2006年『エリザベート』ウィーン引っ越し公演でトート役で初来日。以来毎年来日し、東京や大阪でミュージカルナンバーや自身の曲を含むコンサート活動を行う。ドイツ語・英語・ハンガリー語・日本語で歌うことができ、ヨーロッパ、日本を中心に活動するアーティスト。(ウィキペディアより)
なるほど、なかなかの実力者。
日本のキャストとも違和感なく、特にルドルフと歌い踊る「闇が広がる」はすごくよかったです。
1998年9月、ジュネーヴ・レマン湖のほとりで、旅行中のエリザベート(春野寿美礼)はイタリア人無政府主義者ルイージ・ルキーニ(高嶋政宏)に短剣のようなヤスリで心臓をつかれ、暗殺された。
ルキーニは、獄中で首を吊ったが、闇から問いかけが続く。
「なぜ、エリザベートを殺害したのか?真実を述べよ」と。
ルキーニは闇に向かって語り始めた。
エリザベートの物語。
エリザベートはバイエルン王家であるヴィッテルスバッハ家傍系のバイエルン公マクシミリアン(今井清隆)とバイエルン王女ルドヴィカ(春風ひとみ)の次女として生まれた。
父マクシミリアンは自由を愛する奔放な人だった。
エリザベートはシシィと愛称で呼ばれ、父に憧れて、活発な少女だった。
ある時登った木から落ちて、死にかけた。
迎えにきた黄泉の帝王トート(マテ・カマラス)はシシィの美しさに魅せられ、生きた彼女に愛されたいと、この世に彼女を戻した。
このときから、シシィは死に魅入られてしまったのだ。
蘇ったシシィは、姉ヘレネのお見合いに付いていくことになった。
お相手は、600年間続いたハプスブルグ帝国を若干23歳で治めているフランツ・ヨーゼフ(岡田浩暉)。
しかし、実権を握っていたりは母のゾフィ(寿ひずる)だった。
ゾフィと、シシィたちの母のルドヴィカが姉妹だったため執り行われたお見合いだった。
しかし、運命のいたずらか、フランツ・ヨーゼフは付き添いのシシィを見初めてしまう。
無邪気に彼の愛を受け入れるシシィだったが、トートは結婚式に忍び込み、シシィを誘惑する。
怖くてフランツ・ヨーゼフの胸に飛び込むシシィ。
でも、空を飛ぶ小鳥のようなシシィには束縛された王妃の暮しにはまるで向いていなかった。
宮殿の窮屈な暮らし、姑ゾフィとの確執は、若い夫婦の間に溝を刻んで、その溝が次第に深く大きくなって行く。
数年後、夫婦の間に子供が産まれると、ゾフィはシシィには任せられないと、シシィから取り上げた。
二人目の子供もそうだった。
耐えられないシシィは、夫に「私を取るか、姑を取るか」と迫る。
彼女は勝利し、ハンガリー皇帝となった夫に従い、ハンガリー国旗の衣装を着て国民に歓喜を持って迎えられる。
しかし、長女の死という悲劇が訪れた。
彼女の人生に死の影がまとわりつく。
ハンガリー訪問の1年後、待望の王子ルドルフ(少年=山田瑛瑠、青年=古川雄大)が誕生するが、またもゾフィに取り上げられる。
ルドルフは繊細な子供で、ゾフィの帝王教育に耐えきれず、孤独な魂を抱える。
その孤独な心に、トートが寄り添う。
シシィは、フランツ・ヨーゼフに最後通牒を突きつけ、ルドルフをゾフィから取り戻すが、シシィには母としての自覚が育っておらず、ただルドルフをほったらかしにしただけだった。
シシィは何かに取り憑かれたように旅を続け、夫にも息子にも無関心だった。
ドイツではナチスが台頭し、激動の近代史が幕を開けようともがいていた。
オーストリア国民もハンガリー国民も貧しく、王家への批判、とりわけエリザベートの華麗な生活に対して不平不満が噴出していた。
国家転覆を狙う無政府主義者たちは決起の瞬間を今や遅しと待ち構えていた。
孤独なルドルフは、彼らのお先棒を担がされ、集会しているときに逮捕された。
「父を裏切った」とフランツ・ヨーゼフは激怒。
母のシシィに助けを求めるが拒絶される。
結局、ルドルフはトートに身を委ね、自殺してしまう。
この自殺には暗殺説もあり、謎も多いようですが、シシィはこのあと、生涯喪服を着続けたと言います。
シシィはフランツ・ヨーゼフが懇願しても、ウィーンへは戻らず、皇帝はハプスブルグ家崩壊の悪夢を見る。
トートはルキーニに短刀を渡し、ルキーニはエリザベートを暗殺した。
黄泉の国で、シシィはトートと再会し、トートの愛を受け入れた。
あらすじはこんな感じですが、第1次世界大戦に向かう世紀末と、ハプスブルグ家の最後にエリザベートという美貌の皇后を主人公に持ってきたところがこのミュージカルの凄いところですね。
そして、エリザベートに恋をした死神と、心ならずもその恋敵になってしまったオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ。
エリザベートは幼くて、恋の意味すら知らない。
父のように自由に生きたいと願う小鳥のような少女。
後世の人は、エリザベートは目覚めた女性ともてはやす風潮もあるようですが、彼女はただわがままで自由奔放な少女のままだったような気がします。
しきたりも義務も学ぼうともしない。
でも、そんな彼女をフランツ・ヨーゼフはひたすら愛したのですね。
嫁と姑は、ここでも犬猿の仲。
この事実は、古今東西を問いません。
エリザベートが、ダイエットに励み、あらゆる場所を旅して、どんなに求めても求めても自分が描いていた自由や幸福は得られなかった。
「パパのようになりたかった、なれなかった」と歌う歌は、本当に切なかったです。
そして、愛を知らずに育ったルドルフがトートと歌い踊る「闇は広がる」は、今も私の頭の中で鳴っているのですが、とても感動しました。
父に認められたい、母に愛されたいと愛を求め続けたルドルフが、すべてに絶望したときに寄り添ったのは死神だけ。
本当にかわいそうでした。
リピーターチケットも買ってしまいました。
楽しみです。