ーシネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっどー
2010年 日本
脚本・演出=宮藤官九郎 キャスト=市川染五郎[7代目](半助)中村七之助(お葉)中村勘太郎[2代目](大工の辰)坂東彌十郎(根岸肥前守)市村萬次郎(遣手お菊)片岡市蔵[6代目](丁兵衛)片岡亀蔵(与兵衛)井之上隆志(佐平次)市川猿弥[2代目](紙屑屋久六)中村獅童(和尚実は死神)中村橋之助[3代目](石坂段右衛門)中村扇雀[3代目](女郎お染)中村福助[9代目](女郎喜瀬川)坂東三津五郎[10代目](四十郎)中村勘三郎[18代目](新吉)
【解説】
『少年メリケンサック』などで知られる人気脚本家にして映画監督でもある宮藤官九郎が手掛け、製作発表と同時に話題をさらった歌舞伎を「シネマ歌舞伎」として上映。江戸時代を舞台に、人間の代わりに働く“ぞんび”と彼らに仕事を奪われた人間たちの戦いが展開する。音楽に向井秀徳、衣裳に伊賀大介、道具幕デザインにしりあがり寿と、異色の才能が集結。高いエンターテインメント性を持ちつつ、社会問題も盛り込まれた内容が楽しめる。
【あらすじ】
江戸時代の大江戸。くさや汁を浴びた死人が“ぞんび”として生き返る事態が発生し、人間にかみついては増え続ける“ぞんび”に江戸の町は大騒ぎ。そんな中、くさやの名産地・新島出身の半助(市川染五郎)は、くさや汁を体に塗ることで彼らを従わせることに成功し、“ぞんび”を働かせる人材派遣会社“はけんや半助”を起業する。(シネマトゥデイ)
【感想】
宮藤官九郎の作品、いつも思うけど、つかみはオッケー!!
でも後がしぼんでしまうんだなあ。
この作品も、すごーく面白かったんだけど、後半が残念でした。
比べてはいけないけど、「夏祭浪速鑑」の「長屋裏の場」みたいなのが入れば良かったのになあ。
あの「長屋裏の場」の殺人シーンはまさにホラーだから、しかもこの作品はホラーをテーマにしているんだから、あれ以上のシーンを作らないと、観客は満足しないと思う。
幕開きのシーンは、すごく面白かった。
くさやに化けた半助(市川染五郎)と、亭主を亡くして女手一つでくさやを売っているお葉(中村七之助)のやりとりに、いるかのくさや(片岡亀蔵)がからんでいくところ、げらげら笑いました。
りびんぐでっどのダンスも面白い。
扇雀さん、染五郎さん、勘三郎さんまでが踊ってくれます。
坂東三津五郎[10代目](四十郎)さんは面白過ぎる!!
すごい、脇役陣で、若手を盛り上げてやろうという気持ちはびんびん伝わります。
面白過ぎる坂東三津五郎と中村福助(女郎喜瀬川)
☆ネタバレ
それだけに、謎解きになるお寺のシーンが弱いと思いました。
もっと時間をかけてもいいんじゃないかなあ。
「ゾンビ(存鼻)」を「派遣」にしたことで、社会風刺にはなったけど、スケールが小さくなった感じもするなあ。
ゾンビが恐くなくなっちゃったしね。
ラストも、半助とお葉の純な気持ちの表現が、永代橋の陥落シーンなんだけど、盛り上がりが足りないように思いました。
とにかく、残念な気持ち。
役者さんはすごいし、歌も踊りも面白いしんだもの。
クドカンさん、もうひと頑張りしてください!!