マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ヴィーナス

2008-07-04 18:48:02 | 映画ーDVD
ーヴィーナスーVENUS
2006年 イギリス ロジャー・ミッシェル監督 ピーター・オトゥール(モーリス)レスリー・フィリップス(イアン)ジョディ・ウィッテカー(ジェシー)ブロンソン・ウェッブ(ジェシーの恋人)リチャード・グリフィス(ドナルド)ヴァネッサ・レッドグレーヴ(ヴァレリー)

【解説】
20代の奔放な女性の登場により、自分の人生を見つめ直す70代の男性の心の旅が描かれるヒューマンドラマ。監督は『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェル。主人公モーリスの心をかき乱すヒロインを新人女優ジョディ・ウィッテカーがみずみずしく演じる。本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた、オトゥールの名演に注目だ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
モーリス(ピーター・オトゥール)とイアン(レスリー・フィリップス)は、1度も大役を演じることもなくベテラン俳優となってしまったさえない役者仲間。ある日、イアンの姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)が田舎町からやって来たことにより、2人の穏やかな生活は一変。モーリスは自由奔放なジェシーに夢中になる。(シネマトゥデイ)

【感想】
ただのエロ爺さんのお話かと思ったら、なかなか深い作品でした。

名優たちが老いをさらし、観客に向かって、生きる意味を問う。
そんな映画でした。

先日見た「ぼくの大切なともだち」とは違って、モーリス(ピーター・オトゥール)とイアン(レスリー・フィリップス)の間には、確かに友情がありました。
お互いの衰えを支え合う関係。

そこに割って入ったのが、イアンの姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)。
実家からも厄介者として放り出された18歳。
70歳代の二人とは、言葉の使い方や発音まで違っていました。

イアンは「悪魔」呼ばわりをして嫌いますが、モーリスは興味を持ちます。

モーリスには、「人生は快楽だ」という信念があります。
若い恋人を作って、幼子のいる家庭を捨てた前科もある。
いくら孤独な老いの姿で、前立腺の手術の後は男性機能がなくなろうとも、彼は自分の信じるままに前を向いて生きようとします。

一方のジェシーは、ほとんど自暴自棄で人生を投げ出しかかっています。
恋人に騙され捨てられ、母親にも見放されて、すごく孤独で自分の殻に閉じこもっています。

そこへ、エロ爺がささやくのです。
「ヴィーナス」と。

ピーター・オトゥールがとてもきれいなみどりの目をしていました。
体は衰えても、眼光は衰えを知りませんね。

ヴァネッサ・レッドグレーヴはモーリスの別れた妻の役ですが、これも女性には辛い素顔をさらして、二人の過去と彼女の思いの深さをセリフなしに表現していました。
すごいです。

新人のジョディ・ウィッテカー。
美人じゃないところがよかったと思いました。
でも、最後、絵のモデルとしてヴィーナスのポーズをとる瞬間、ヴイーナスになっていました。
すばらしい。

この作品、演劇や絵画や音楽に通じていればもっと楽しめたのに、と思いました。
なかなか凝った演出があちこちに見られました。
教養が足りないなあ。

告発のとき

2008-07-04 13:12:49 | 映画ー劇場鑑賞
ー告発のときーIN THE VALLEY OF ELAH
2007年 アメリカ ポール・ハギス監督 トミー・リー・ジョーンズ(ハンク・ディアフィールド)シャーリーズ・セロン(エミリー・サンダース)スーザン・サランドン(ジョアン・ディアフィールド)ジョナサン・タッカー(マイク・ディアフィールド)ジェームズ・フランコ(カーネリー大佐)フランシス・フィッシャー(エヴィ)ジョシュ・ブローリン(ブシュワルド所長)ジェイソン・パトリック(カークランダー警部補)ジェイク・マクラフリン(スペシャリスト、ゴードン・ボナー)メカッド・ブルックス(スペシャリスト、エニス・ロング)ヴィクター・ウルフ(ロバート・オーティス兵卒)

【解説】
失踪(しっそう)したイラク帰還兵の息子を捜索する父親が、アメリカ軍が封印しようとする真実に迫っていくサスペンス・ドラマ。2003年に実際に起きた事件を基に、『クラッシュ』のポール・ハギスが映画化。あえてアメリカの闇に触れ、正義ために何をすべきかを描いた。主演のトミー・リー・ジョーンズをはじめ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンの3人のオスカー俳優による、重厚な演技のアンサンブルも見どころ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と捜索を開始。真実が明るみに出るとともに、ハンクは知らなかった息子の素顔を知ることに……。(シネマトゥデイ)

【感想】
私は「クラッシュ」に夢中になった一人ですが、この作品もポール・ハギス監督の個性が強く出ている作品でした。

この監督は、ジャーナリズムの精神を持っているのではないかなあ。
描き方が一方的ではなく、いろんな立場の人を、誰に肩入れすることなく見せてくれます。

今回特に、サンダース刑事(シャーリーズ・セロン)の存在が秀逸だと思いました。
彼女はシングルマザーで刑事に昇格したばかり。
同僚のセクハラに耐えながら、幼い息子を育てています。
時には、無視して、時には鈍感なふり、時には激怒しながら。

これだけでも大きなテーマですが、監督はあくまで映画の流れの一コマとして使ってしまいます。
その設定に応えるかの様に、シャリーズも抑えた演技で、冷静に演じています。

そして、自分が追い返した女性が、イラク戦争帰りの夫に、無惨に殺されてしまったときの悔恨と深い同情を表した表情。
よかったです。

さて、本題、イラクに派遣された若い兵士たちのPTSDのお話です。

息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が基地から出奔して行方不明だとの一報を受けてハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)が基地に駆けつけました。
彼は、元軍人で二人の息子たちは彼に憧れ、軍人の道を選んだのでした。
しかし、長男はすでに戦死。
母親(スーザン・サランドン)は、マイクが無事に戻ることだけを祈っていました。

それが、物語の前半で無惨な死体となってみつかり、警察と軍を巻き込んでの犯人探しとなり、予想もつかない結末となります。

その結末が、救いがなくて、見終わって暗い気持ちになるのですが、私はむしろ、戦争というのは、人の体を壊すことばかりが強調されるけど、心を壊す方が深刻なのだと思いました。

この映画が事実に基づいて作られているということが、さらに観客の心を暗くするのです。

原題の「IN THE VALLEY OF ELAH」(エラの谷)は旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテの話から取られています。
日本人にはなじみのない話ですが、このタイトルには、「巨人(イラク戦争)と闘わせるために、誰が若者を送るのか」という意味がこめられているそうです。
邦題の「告発のとき」ではその真意が伝わらないと思いました。

アカデミー賞にもノミネートされたトミー・リー・ジョーンズは、納得の素晴らしさでした。

息子が死んだと聞かされたときのスーザン・サランドンの演技には、私も泣いてしまいました。
戦争に息子を奪われた母親の悲しみはとてつもなく深いのに、いつまでたってもなくならないのですね。

あれ?ジェームズ・フランコがちらりと、かっこいい大佐の役で出ていました。
もっと、出てくるかと思ったら、ほんの少しでした。
惜しいなあ。

戦争はいけないと何百回叫んでも、戦争はなくならない。
大勢の母親が嘆き、大勢の父親が憤っても戦争はなくなりません。

ベトナム戦争のときのような反戦の、全世界を巻き込むようなムーヴメントは起きないけど、それほどまでに、社会の自浄力がなくなっているのかもしれません。
あるいは、大波乱の前の静けさかー。

この映画が世に問うているテーマは、見過ごせないと思いました。

ぼくの大切なともだち

2008-07-04 13:08:23 | 映画ー劇場鑑賞
ーぼくの大切なともだちー MON MEILLEUR AMI/MY BEST FRIEND
2006年 フランス 
パトリス・ルコント監督 ダニエル・オートゥイユ(フランソワ)ダニー・ブーン(ブリュノ)ジュリー・ガイエ(カトリーヌ)

【解説】
人生の半ばを過ぎた2人の男が、偶然の出会いをきっかけに、不器用ながらも友情を育んでいくハートウォーミング・ストーリー。監督は『ハーフ・ア・チャンス』など、新作をコンスタントに発表し続ける名匠パトリス・ルコント。主演は『あるいは裏切りという名の犬』のダニエル・オートゥイユと『戦場のアリア』のダニー・ブーン。シンプルだが深みのあるテーマをかかげながら、男同士の友情を繊細(せんさい)につづったストーリーが温かい感動を呼ぶ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
友人と呼べる人間がいないことを指摘された敏腕美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)。ショックを受けた彼は、ビジネスパートナーのカトリーヌ(ジュリー・ガイエ)と“10日以内に親友をつれてくる”という賭けをする。そんな中、フランソワは陽気なタクシー運転手のブリュノ(ダニー・ブーン)と出会うが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画はいいですよー。
レディースデイとはいうものの、立ち見が出て、私も最前列で見にくかったです。
それでも、すごくいい映画でしたよ。

フランス映画だけど、わかりやすいし、おもしろいし、ほろっときます。
特に、定年間近で、これと言った趣味もなく、仕事一筋に来たお父さん。
「家族が優しくしてくれない」なんて不満言ってないで、この映画を見てください。
幼なじみにでも、電話してみようかな、って気になりますよ。
フランソワみたいに、ひどい目に遭うかもしれませんが。

 フランソワ

さて、古美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、仕事一途で、周りの人間にも、一人娘にも疎外されている感じ。
でも、本人はまったく気にしていなかったのです。
フランソワの頭の中は仕事のことだけ。
共同経営者のプライベートな生活も、一人娘の喘息の原因も、関心ゼロでした。
「友情の壷」に出会うまでは。

なぜか魅せられてしまったこの壷。
ギリシャ時代、友が死んで、自分の涙でこの壷を満たすために作られたという。
この壷のために、フランソワは店の経営まで揺るがす衝動買いをしてしまったのです。

 共同経営者のカトリーヌもあきれ顔

「ところで、フランソワ、あなた友達はいるの?親友と言える人は?」
「もちろん、いるよ。君だろ?」
「ぼくは君の友達じゃないよ」
「がーん!!」
せっかく手に入れた壷が、友情の証の賭けの対象となって、それを受けたフランソワは何が何でも友達を捜さなければならなくなったのです。

そこで助けを求めたのが、タクシーの運転手のブリュノ(ダニー・ブーン)。
クイズマニアで上がり症のブリュノ。
彼も、友達がたくさんいるタイプには見えないんだけど、まあ、手近には彼しかいなかったのね。

友情とは何か?
友達って、どんな存在の人?

映画のなかではいろいろ例が示されますが、私にはどれも正解だとは思えなかった。
結局、サン=テグジュペリの「星の王子様」からの引用が使われていました。
私も大好きな一節。
キツネが王子様に友情について語る言葉。
「君にとってぼくは沢山いるキツネの1匹。でも互いになじめば大事な存在となる。君はぼくの大切な人。僕は君のたった1匹のキツネ」
人生を共に歩く言葉だなあ。
私も大好きだから、キツネのストラップを携帯に付けているくらいです。
ご存じない方は、「星の王子様」を読んでくださいね。
珠玉の言葉で満ちあふれている本です。

大人の友情、ほんとうに難しいテーマです。
ないならないでも、すませられそう。
寂しさを友とするならね。

怖い顔のダニエル・オートゥイユが、恥も外聞もなく欲しがる「友達」。
このギャップはかなり面白い。
ブリュノの、底抜けにお人好しの人なつっこい顔の裏に隠された悲しみも、胸を打ちました。

星の王子様の言う通り、本当に大切なものは目には見えないのですね。

結局、フランソワは身近なところに友情があったのだと気づき、ブリュノも戻ってきました。

友情はファンタジーかもしれないけど、私も友達には「人なつっこさ、笑顔、誠実」の3つの言葉を大切にして、いつまでも仲良く付き合っていきたいと思いました。

ディスタービア

2008-07-04 12:52:14 | 映画ーDVD
ーディスタービアーDISTURBIA
2007年 アメリカ D・J・カルーソー監督 シャイア・ラブーフ(ケール)キャリー=アン・モス(ジュリー)デヴィッド・モース(ミスター・ターナー)サラ・ローマー(アシュリー)アーロン・ヨー(ロニー)

【解説】
アメリカでロングランヒットを記録した予測不可能なサスペンス。自宅軟禁中の青年が、近所ののぞき見を始めたせいで事件に巻き込まれていく様子を描写する。主人公役に『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフ、その母親役に『マトリックス』シリーズのキャリー=アン・モスがふんする。デジタルカメラや携帯電話といったハイテク技術を駆使し、若者たちが犯人を追い詰める奮闘ぶりは必見。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
交通事故で父親を亡くしたケール(シャイア・ラブーフ)は自分を見失い、学校で教師を殴り3か月の自宅軟禁処分を受ける。時間を持て余した彼は、退屈しのぎに近所ののぞき見を開始。彼の親友のロニー(アーロン・ヨー)と、隣に引っ越してきたアシュリー(サラ・ローマー)も巻き込み、3人はスパイ活動に熱中していく。(シネマトゥデイ)

【感想】
父親と高校生の息子ケール(シャイア・ラブーフ)が、釣りをしているというほほえましいシーンから一転して、巻き込まれた大事故で父親が亡くなるーというオープニング。

これは、つかみとしては大成功でした。

でも、私はここまでだったなあ。

これがトラウマになっての教師への暴行。
罰として、自宅で謹慎処分となる。
足にセンサーが付けられて、自宅から出たら作動して警官が駆けつけるという仕組み。
本当に、こういうシステムがあるのかなあ?

隣に引っ越してきたかわいい女の子アシュリー(サラ・ローマー)を覗き見。
これに味をしめて、退屈しのぎに近所の人間観察をするうちに、大事件に巻き込まれて行くというストーリー。

それに手を貸すのが韓国人のロニー(アーロン・ヨー)。
彼の活躍はなかなか面白いです。
「ラスベガスをぶっつぶせ」でも、彼の個性がよく出ていましたね。

アシュリーとのからみが、結構長くて、このまま青春物語で終わってしまうのかと思いました。

☆ネタバレ
そして、クライマックスは向かいに住む中年男(デヴィッド・モース)との対決になるのですが、このへんは、シャイニングに似ていたり、死体があまり怖くなかったり。
私の神経がかなり鈍くなっているせいもありますが、家庭で見るときは、迫力が足らない感じがしました。

センサーを外すときの爽快感は、うまかったです。

主役のシャイア・ラブーフ、「インディ・ジョーンズ」の息子役の俳優さんですが、しばらく気がつきませんでした。