宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産業技術総合研究所(産総研)は、この度「衛星データのAI解析手法の研究開発に関する協定」を締結し、産総研が所有する大規模AIクラウド計算システム(ABCI)を用いて、JAXAが保有する大量の衛星データを自動解析する人工知能(AI)技術の研究開発を開始する。
人工衛星による災害観測においては、浸水や土砂災害などの災害発生箇所の推定は、取得した衛星データを基にして、最終的には人の手や目により必要な情報を抽出していた。
しかし、近年の地球観測衛星の増加や高性能化により、衛星から得られるデータは爆発的に増加しており、この大量なデータの中から、人間の能力では容易に得られない情報を迅速に抽出するための技術開発が求められている。
特に、合成開口レーダ(SAR)の観測データは、天候や時刻に関わらず観測可能というメリットがある一方、扱いが難しく、限られた専門家だけが処理解析を行っている。
この課題を解決するために、JAXAが30年間以上にわたって蓄積してきたSARデータをはじめとする大量の衛星データと、産総研が2018年8月より運用を開始した世界トップクラスの性能(スパコン性能ランキング世界第7位)を持つABCIを相互利用する枠組みを構築することにより、AI技術による新たな解析手法の研究開発を進めることになった。