“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ChatGPTの先に待っている世界」(川村秀憲著/dZERO)

2024-01-25 09:37:06 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:ChatGPTの先に待っている世界

著者:川村秀憲

発行:dZERO

 ChatGPTは誤った回答を返す――。規制が必要だ――。人類がそんな話題で盛り上がっているうちにも、驚異的な成長スピードで進化を続ける人工知能。もはや予測ではなく現実――。「なかったこと」にはできない――。第一線の人工知能研究者が見通す、近未来の「人と人工知能」の協働シナリオとは? 人工知能が急速に能力を高めているなか、近い将来、シンギュラリティは本当にやってくるのだろうか。それはいつごろなのか。人間の価値観を揺るがすような、パラダイムシフトは起こるのだろうか。そのとき、労働はどう変わる? 教育は?芸術はどうなる? 富の偏在はどうなる?著者は、俳句を生成する人工知能「AI一茶くん」を開発した人工知能研究者。研究者から見たChatGPT出現の意味とは。ChatGPTなどの大規模言語モデルの仕組みから、近未来の社会変容までを平易に解説。
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●科学技術ニュース●ホンダ、トクヤマと三菱商事、副生水素と車両からの定置用燃料電池電源の活用でデータセンターの脱炭素化を図る共同実証

2024-01-25 09:36:32 |    ★水素ニュース★
 ホンダ、トクヤマと三菱商事は、2023年6月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/地域モデル構築技術開発」事業として採択され、検討を進めてきた「副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源のデータセンター向け実証」の実施を決定した。

 同実証は、山口県周南市に於いて、トクヤマが食塩電解事業で製造する副生水素を活用し、Hondaが燃料電池車からのリユースを想定して開発する定置用燃料電池電源から、三菱商事が運用する分散型データセンターに電力供給を行う。

 同実証では、車載用燃料電池の定置用燃料電池電源へのリユースの可能性を探索し、今後普及が見込まれる燃料電池の有効活用を通じて、定置用燃料電池電源の導入や運用にかかるユーザーの経済的負担の軽減、電力の脱炭素化に貢献することを目指す。

 また、大容量のデータ処理を必要とする生成AIや自動運転などの普及拡大により、今後、データセンターの電力需要の更なる増加が見込まれている。

 こうした中、地域展開に適した分散型データセンターに、副生水素と燃料電池を活用することで、データセンターのグリーントランスフォーメーションと、自治体や地元企業のデジタルトランスフォーメーションへの貢献を目指す。

 同実証で得られる知見をもとに、同地域におけるクリーンな電力を用いたデータセンターの導入・拡大や国内外でのビジネス展開の検討を進める。<ホンダ>


実証名称:副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源のデータセンター向け実証

実証内容:①燃料電池の特性を活かしたデータセンター向け主電源・バックアップ電源としての活用可能性、及び需給調整市場向けの活用可能性の検証

     ②燃料電池と水素供給を組み合わせたビジネスモデルの経済性・事業性の検証

実証期間:2023年度~2025年度
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●科学技術ニュース●核融合科学研究所など、35GHz低周波数ジャイロトロンシステムの性能試験で3秒間の1MW級での出力を実現

2024-01-25 09:36:11 |    エネルギー
 京都フュージョニアリング(KF)、核融合科学研究所(National Institute for Fusion Science:NIFS)、筑波大学、英国原子力公社(UK Atomic Energy Authority:UKAEA)およびキヤノン電子管デバイスの国際産学共同研究グループは、35GHz低周波数ジャイロトロンシステムの性能試験において、60GHz以下の低周波数ジャイロトロンでの最大級かつ最長級となる3秒間の1MW級での出力を実現した。

 大型核融合炉であるITERやJT-60SA向けに開発されているジャイロトロンシステムは、電子の回転周波数に合わせて共鳴させる100GHz以上の高周波数のものが主流で、電子サイクロトロン加熱により炉心を加熱する。

 しかし、MAST Upgradeをはじめとする球状トカマク装置においては、その特徴から電子サイクロトロン加熱が難しいため、電子バーンスタイン波という比較的低周波数で高密度プラズマの電子を加速し加熱できる別の方式を取り入れる必要がある。

 そこで、プラズマ加熱実験のために1台のジャイロトロンで28GHzと35GHzが発振できる1MW級低周波数ジャイロトロンシステムを新たに開発することになった。

 筑波大学のノウハウをもとに、ジャイロトロン本体からビームを出力するためのジャイロトロン内部に設置しているミラーと、ジャイロトロン本体から発生したビームを炉心プラズマに伝送するための導波管へ誘導する準光学的結合器(MOU)内のミラーをそれぞれ大きくするとともに、2つのミラー間の距離を可能な限り近づけるように、システムを設計した。

 ミラーを大きくすることにより、発散しやすいビームの伝送損失を最小限に抑え、またミラー間の距離を縮めることで伝送損失や放電を軽減させることが期待できる。

 これらの設計を微調整しつつ、ジャイロトロン本体を稼働させるために高電圧電源や、ビームを発生させるために必要な磁場を形成する超電導マグネットのパラメータを調整しながら、性能試験を重ねた。

 今回、このジャイロトロンシステムの性能試験において、35GHzの低周波数で3秒間の1MW級(ダミーロードでの計測で930kW)の出力を実現した。

 大電力電磁波ビームの発散が大きな課題である35GHzの比較的低周波の領域で、秒レベルのMW級での出力を達成したことは、小型核融合炉開発における大きな貢献となる可能性がある。

 また、再現性と安定性の観点でも高い性能を確認し、合計20回の出力のうち19回は同等の数値での出力に成功した。加えて10回連続の出力でも同等の数値を確認し、信頼性の高い結果を得ることができた。

 このジャイロトロンはUKAEAへと渡り、オックスフォード近郊のカルハムに位置する球状トカマク装置MAST Upgradeにて使用される予定。ここではUKAEAが主導する核融合プラント開発プログラム「STEP(Spherical Tokamak for Energy Production)」に貢献する実験が行われる。<核融合科学研究所(NIFS)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ロケットシステム」(田辺英二著/森北出版)

2024-01-25 09:35:37 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:ロケットシステム

著者:田辺英二

発行:森北出版

 元ロケットエンジニア(三菱重工業)による,ロケットシステムの全体をカバーした本格的な入門書。・飛行経路と軌道への投入・ロケットの構造と推進システムの仕組み・姿勢の制御と飛行経路の修正…など、ロケットに関する本質的な内容、重要な内容を網羅しつつ、丁寧に説明。同書は、2019年に風虎通信から発行されたものの再発行。再発行にあたり、一部の図を修正している。
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