“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「成功確率が格段に上がる 起業の準備」(黒石健太郎著/かんき出版)

2024-01-09 09:35:43 |    企業経営



<新刊情報>



書名:成功確率が格段に上がる 起業の準備

著者:黒石健太郎

発行:かんき出版

 同書は、「起業は難しいもの」「簡単には成功しないもの」という前提に立った上で、それでも成功確率を上げていくには、何をやるべきか、どのレベル感で取り組むべきかをシンプルに伝えている。自分の理想だけで安易に起業をしてしまう人は、ほぼ失敗してしいる。だからこそ最初は会社で働きながら、「本当にこのアイデアで起業したら成功できるのか」ということを検証する。リスクのない範囲で自分の事業アイデアにお金と時間を投資し、一定期間お試しで運営してみる。その結果、「これなら大丈夫だ!」という確信を持てたら、完全に独立すればいいのである。起業までの準備・検証期間は最短で90日。この期間に何をすればいいかを具体的解説。また、業種によって検証方法が異なるので、それぞれをどのように検証すればいいかのヒントも知ることができる。「自分のアイデアは正しい」と都合がいいように歪曲して解釈してしまう人間の特性に対して真正面から「違う」と伝え、現実的に起業できるシンプルな準備と段取りを学んでもらう。
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●科学技術ニュース●住友電工、世界最高の高出力密度を実現した窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発

2024-01-09 09:35:00 |    電気・電子工学
 住友電気工業(住友電工)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環で、新規結晶技術を用い従来比で2倍となる高出力密度を実現した窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発した。
 
 開発したGaN HEMTは、新規結晶技術により、窒素(N)極性でGaN結晶の高品質化を実現し、さらにn+ GaNの採用やハフニウム(Hf)系のゲート絶縁膜の形成技術を組み合わせた。

 この結果、2A/mm超の最大電流と60V超の高耐圧を両立させ、N極性GaN HEMTとして世界最高値である、周波数28GHzでの最大出力密度12.8W/mmを達成した。

 また、開発したN極性結晶を用いたGaN HEMTの高周波特性は、測定周波数28GHzにおいて最大出力29.8dBmが得られ、トランジスタのゲート幅で換算すると12.8W/mmの最大出力密度を達成した。

 この出力密度は、従来技術と比較して2倍を超えるとともに、N極性として世界最高値を実現した。

 同技術の開発成果は、ポスト5G情報通信システムの中核をなす、基地局向け増幅器へ実装されることで、小型化・高性能化に貢献する。<住友電気工業(住友電工)>
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●科学技術ニュース●新潟⼤学など、東日本大震災で日本海溝底に生じた⾼さ26mの断層崖を世界で初めて発見

2024-01-09 09:34:26 |    宇宙・地球
 新潟⼤学⾃然科学系(理学部)の植⽥勇⼈准教授、東京海洋⼤学の北⾥洋客員教授、⻄オーストラリア⼤学、海洋研究開発機構、デンマーク超深海研究センターの研究者などで構成される国際研究グループは、2011 年東北地⽅太平洋沖地震(東⽇本⼤震災)の震源域にある宮城県沖の⽔深約7,500m の⽇本海溝において有⼈潜⽔艇による海底調査を実施した。

 その結果、同地震で隆起した海底に⾼さ 26m(7~8 階建てのビルに相当)の断層崖を発⾒した。

 現地で計測した地形を詳しく調べた結果、地震が発⽣した際に⽇本海溝底では、断層に沿って海底が⽔平に 80~120m 動いたことにより先端部がおよそ 60m 持ち上げられ、その⼀部が崩壊して断層崖になった過程が⽰唆された。

【今回の研究成果のポイント】

①東⽇本⼤震災によって⽇本海溝の底に⽣じた隆起地形と断層崖を、有⼈潜⽔艇によって世界で初めて現地で観察・記録した。
②観察された断層崖は、地震をおこした断層のズレが⽇本海溝の海底⾯にまで到達したと推定するこれまでの観測結果を⽀持している。
③現地で計測した地形の解析から、地震発⽣時に震源域の少なくとも⼀部では、これまでの⾒積もりより⼤きい 80~120m もの海底の動きがあったと推定される。

 ⽇本は排他的経済⽔域内に 5つの海溝(千島海溝、⽇本海溝、伊⾖―⼩笠原海溝、南海トラフ、琉球海溝)があり、将来にわたってこれらの海溝域で巨⼤地震や⼤規模な津波が発⽣することが予測されている。

 2024年秋には今回の調査と同じ宮城沖⽇本海溝近傍において地球深部探査船「ちきゅう」よる深海掘削(IODP 第 405 次航海:JTRACK)が⾏われ、震災直後から現在までの地下における断層の状態の変化が詳しく調べられる予定。⼀⽅で、これまで実現できなかった海溝を含む超深海における詳細な地形調査や現地における潜航調査を多くの地点で実施することができれば、津波をおこした海底の地形変化の詳細を広域的に把握できるため、より⾼精度の災害予測に役⽴つことが期待される。

 今回の有⼈潜⽔艇での断層崖の発⾒により、フル・デプス有⼈潜⽔艇が海溝での科学調査に⼤変有⽤であることが実証された。現在、⽇本国内に超深海の海溝底に到達できる探査機や潜⽔艇はないが、巨⼤地震を発⽣させる海溝の近くで暮らしていく⽇本⼈にとって、超深海探査の重要性は増していくものと思われる。

 今後もフル・デプス有⼈潜⽔艇を含む外国の研究船による⽇本周辺の海溝の調査が複数計画されており、これらの調査によって超深海の研究が格段に進むことが期待される。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)―新潟大学>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Python時系列分析クックブック」(T. A. Atwan著/朝倉書店)

2024-01-09 09:33:36 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Python時系列分析クックブック~I 前処理/II モデル・機械学習~

著者:T. A. Atwan

訳者:黒川 利明

発行:朝倉書店

 Time Series Analysis with Python Cookbookを2分冊で翻訳。I巻では、時系列データの取扱いの基礎を取り上げ、Pythonで解析するための事前の準備について具体的に解説。〔内容〕環境構築/ライブラリ/ファイル入出力/データベース入出力/日付と時刻/欠測データ/外れ値。Ⅱ巻では、時系列データの前処理を紹介したI巻に続き、基本的なモデルや機械学習など、Pythonで実践。〔内容〕探索的データ分析/一変数時系列モデル/多変量時系列データの予測/教師あり学習/深層学習/教師なし学習による外れ値検出/状態空間モデル/他

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