“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ガロアの夢」(久賀道郎著/筑摩書房)

2024-01-10 09:33:29 |    数学



<新刊情報>



書名:ガロアの夢~群論と微分方程式~

著者:久賀道郎

解説:飯高 茂

発行:筑摩書房(ちくま学芸文庫)
 
 ガロア群により代数方程式は新たな展開を見た。群、関数論、トポロジーの相互作用が織み出す数学の面白さ。伝説の名著復活。【著者】久賀 道郎(くが・みちお):1928-90年。横浜市生まれ。1951年東京大学理学部数学科卒業。東京大学、ジョンズ・ホプキンズ大学、オレゴン大学、ニューヨーク州立大学ストニー・ブルク校で数学の研究・教育にあたる。保形形式論を中心とする整数論の分野において卓越した業績を残し、特にアーベル多様体をファイバーとするある種の空間は「久賀のファイバー多様体」と呼ばれ、多くの重要な結果を生む母体となった。著書に「ドクトル・クーガの数学講座1」、「ドクトル・クーガの数学講座2」(ともに日本評論社)ほか。
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●科学技術ニュース●日揮グローバルと横河電機、月面プラント向け超遠隔通信に対応する制御システムの 共同開発契約を締結

2024-01-10 09:32:53 |    電気・電子工学
 日揮グローバルと横河電機は、月面プラントを想定した地球外通信に対応する制御システムに関する共同開発契約を締結した。

 月の探査や開発を目指す動きは世界各国で見られ、例えば、米国主導の月有人探査計画であるアルテミス計画は、日本を含む32か国(2023年12月4日現在)のパートナーシップで進められている。

 また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、将来的に宇宙輸送機や有人施設など向けに、月面での水資源を利用した水素・酸素供給プラントの構想検討を進めている。

 日揮グローバルと横河電機は、こうした構想のもとに月面にプラントが建設される可能性を踏まえ、地上で実績のあるプラントの運転・遠隔監視・制御技術や知見を活用し、重要な要素技術となる地球外通信に対応した制御システムの研究開発を進める。

 地球外通信に対応した制御システムは、地上に設置された制御システムから、地球外のプラントを制御する場合に、地上と地球外間との通信遅延およびその他の制約条件を考慮して構築された、通信・プロセス制御・操作監視を統合したシステム。

 同共同開発では、日揮グローバルが持つエネルギープラントの制御・運転に関するノウハウおよび月面プラントに関するさまざまな検討を通して得た知見と、横河電機が持つ遠隔監視・制御技術を組み合わせて、通信遅延を模擬することが可能な実験装置を早期に設計・製作して、超遠隔通信対応の制御システムの最適解を検討し、2024 年度内を目途に検討成果を得ていく予定。

 また、同共同開発では、制御システムの心臓部(制御ロジックを実行するコントローラ)をプラントに設置する装置から分離しプラントを遠隔で制御・運転することで、プラントオーナーの生産計画への柔軟な対応や保守の向上に寄与できるよう、地上のプラント・施設への転用も視野に入れて検討を行う。

 日揮グローバルは、2021年4月にJAXA月面推薬生成プラントの構想検討に係る連携協力協定を締結、2021年11月には政府のスターダストプログラムにおける月面開発関連プロジェクトへ参画するなど、月面開発に向けて継続した取り組みを続けている。

 横河電機は、宇宙を新事業分野の探索領域に位置づけており、2021年7月に宇宙事業の開拓に向けた専任組織を立ち上げている。2023 年7月にはJAXAと人工衛星ALOS-2を利用した水道管網インフラ監視の事業実証を開始するなど、既存事業への宇宙インフラ利用を中心に幅広い事業開拓を進めている。<日揮ホールディングス(日揮HD)>
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●科学技術ニュース●KDDI、KDDI総研とエネコートテクノロジーズ、国内初、曲がるペロブスカイト型太陽電池を活用した基地局実証を開始

2024-01-10 09:32:09 |    電気・電子工学
 KDDI、KDDI総合研究所とエネコートテクノロジーズは、2024年2月から、カーボンニュートラルの実現に向け、曲がる太陽電池「ペロブスカイト型( ペロブスカイト太陽電池)」「CIGS型(CIGS太陽電池)」を活用した「サステナブル基地局」の実証実験を群馬県で開始する。

 ペロブスカイト太陽電池で発電した電力で商用基地局を運用する実証実験は国内初となる。

 KDDIは2023年6月9日から、太陽光パネルを活用した「サステナブル基地局」を運用開始した。

 一方、基地局の多くを占めている電柱型基地局やビル設置型基地局など、敷地面積が狭く太陽光パネルの敷設が難しい基地局への展開が課題であった。

 同実証では、「薄い・軽い・曲げやすい」といった特長を有し、次世代の太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池を、電柱型の基地局に設置したポールに巻き付ける。これにより、敷地面積の少ない電柱型の基地局でも太陽光発電を可能とし、「サステナブル基地局」の拡大を目指す。

 3社は今後も、カーボンニュートラルの実現に向け、エネコートテクノロジーズのペロブスカイト太陽電池の技術をKDDIの基地局に活用することで、同基地局の商用展開および「サステナブル基地局」の拡大を目指していくほか、ペロブスカイト太陽電池の基地局以外への活用を検討していく。<KDDI>
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●科学技術ニュース●JAMSTECなど、マイクロX線CTを用いた海洋微小プランクトンの殻密度を精密に計測する手法を開発

2024-01-10 09:31:44 |    生物・医学
 海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境部門 地球表層システム研究センターの木元克典主任研究員、堀内里香臨時研究補助員は、東北大学総合学術博物館の佐々木理協力研究員、有限会社ホワイトラビットの岩下智洋氏との共同研究により、マイクロフォーカスX線CT装置(MXCT)を用いて、世界の海洋に生息する微小な動物プランクトンである浮遊性有孔虫の殻密度と殻重量を直接、高精度に計測する方法を世界に先駆けて開発した。

 人類活動で放出された二酸化炭素(CO2)による海洋酸性化が進行することによって、世界の海洋に生息する石灰質の殻をもつ微小なプランクトンへの影響が危ぶまれている。しかし、海洋酸性化による海洋プランクトンへの影響はこれまでほとんど報告がなく、詳細についてわかっていない。

 同研究では、世界の海洋に生息し、石灰質の殻を作る代表的な生物である浮遊性有孔虫を例とし、その殻密度と重量について、MXCTのみを用いて高精度に計測する技術を開発した。

 これにより、これまで不明であった海洋酸性化による海洋プランクトンへの影響について、ごくわずかな変化(最小で1µm(0.001mm)の構造)をとらえ、精密かつ定量的に計測することができるようになった。

 これは海洋酸性化と生物影響評価の研究分野におけるブレークスルーであり、海洋環境に対する海洋生物の応答性、適応性の解明に大いに貢献することが期待できる。

 同研究で開発した手法を世界標準として広めるために、較正基準試料を希望する世界の研究室に頒布し、生物種間での酸性化影響の国際的な比較を行う。

 貝形虫や有殻翼足類といった複数種の動物プランクトンや石灰化生物の幼生などについて、それぞれの殻密度と殻重量を統一した手法で計測することによって、各海域における海洋生物の殻への影響評価、つまり石灰化生物の「骨密度計測」を世界の研究機関で実施することが可能となる。世界各地でこの計測を行うことで、全世界でもっとも深刻な海域をマッピングし、特定することができるようになると期待できる。

 また、この方法を応用することで、私たちの食生活においても重要な、二枚貝類、巻貝などへの影響も定量的に検討することができる。貝類は発生直後の姿はきわめて小さく、また、脆弱な石灰質(アラゴナイト(あられ石))で初期殻を形成することが知られている。特に貝類は、発生直後に海洋酸性化の影響を受けやすいとされていることから、幼生の段階での環境変化に対する応答評価を定量的に行うことで、近い将来の水産資源への予測につなげることも期待できる。

 さらにこの手法は、海底堆積物に記録された過去の海洋酸性化研究にも大いに威力を発揮する。堆積物中の有孔虫化石などについて、同研究手法を適用することで、その殻に記録された過去の海水の酸性化の強さを調べることも可能となると期待できる。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Excelで解く構造力学 最適設計編」(藤井大地、松本慎也著/丸善出版)

2024-01-10 09:31:20 |    建築・土木



<新刊情報>



書名:Excelで解く構造力学 最適設計編

著者:藤井大地、松本慎也

発行:丸善出版

 同書は,Excel VBAを用いた構造最適化ソフトの作成を通して、3次元骨組の位相最適化、形状最適化、部材断面最適化の基本的な考え方を学ぶテキスト。各章では、理論、プログラム作成法の順で解説しており、理論を学んだあとに手を動かしてプログラミングすることで、知識をしっかりと定着させることができる。作成する構造最適化ソフトでは、データ入力、解析、図の表示までを一貫して行うことができ、実際の設計にも利用可能。また、構造最適化ソフトの使い方は独立して解説しているので、出来上がったものをホームページからダウンロードすることで、まずは気軽にExcelで最適化手法を使ってみることもできる。最適化手法を理解して活用したい方や、プログラミング技術、構造設計技術の向上を目指す方に最適な一冊。
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