“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「人類学と骨」(楊 海英著/岩波書店)

2024-01-12 09:35:51 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:人類学と骨~日本人ルーツ探しの学説史~

著者:楊 海英

発行:岩波書店

 植民地支配の拡大に連動して発展した日本の人類学は、日本人の原郷を求めて北海道、琉球から樺太、台湾、満蒙、そして西域で大量の人骨を収集した。デジタル技術によるゲノム解析が考古学などの定説を書き換え、民俗や先住性をめぐる問いを引き起こしている現在、その知られざる歴史を追い、研究と倫理の新たな課題を問う。
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●科学技術ニュース●NTTデータ、銀行業界初、マルチバンクオープン勘定系システムを稼働

2024-01-12 09:35:19 |    情報工学
 NTTデータは、横浜銀行、北海道銀行、七十七銀行、東日本銀行の5行(MEJAR各行)が共同利用しているシステム(MEJAR)をオープン系システムへ移行し、2024年1月4日より国内銀行業界初、マルチバンクオープン勘定系システムの稼働を開始した。

 NTTデータは、2010年からメインフレームでMEJARを提供してきたが、メインフレーム提供事業者ならびにその技術者の減少、半導体不足等によるハードウエア価格の高騰などを受けて、メインフレーム上に構築されたシステムをオープン化するためのフレームワーク「PITON(ピトン)」を適用し、オープン系システムへ移行することを2021年に基本合意し、開発を進めてきた。

 PITONを適用することで最適な製品選択ができ、大規模システムが求める高信頼性を確保すると共に、永続的なサービスを実現する。

 NTTデータは、2010年1月の横浜銀行のサービス利用を皮切りに、MEJAR各行へメインフレームによる共同利用システムを提供してきた。

 2019年以降、次期MEJARのオープン系システムへの移行を目指し、次期システム基盤の技術面・コスト面の検証を行い、研究開発と技術検証の結果、2021年4月にPITONを使った勘定系システムの開発に着手した。

 このほどMEJARのシステム移行を完了し、2024年1月4日に銀行業界初となるマルチバンクオープン勘定系システムの稼働を開始した。

 同取り組みでは、NTTデータ地銀共同センターなどで高い実績を持つ標準バンキング・アプリケーション「BeSTA」をベースにしたアプリケーション資産を、マイグレーションの上、継続利用することで移行リスクの低減やサービス品質を確保した。

 また、アプリケーションを含めたシステム資源を複数行で共用するマルチバンク方式を継続し、オープン化を実現している。

 MEJARのPITON採用によるオープン系システムのサービスを皮切りとし、ミッションクリティカル領域を中心に、PITONを使ったオープン系システム移行の拡大を進めていく。

 すでに、しんきん共同センターの次期勘定系システムはPITONを採用することが決定しており、2026年のオープン系システムへの移行に向けて開発を進めている。

 さらに、ミッションクリティカルシステムの更なる効率的な運用や金融機関の管理負担の軽減に向け、将来的な勘定系システムのクラウド構想の実現を目指す。<NTT>
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●科学技術ニュース●地中海と大西洋を繋ぐゲートウェイでの海水交換の歴史を研究する国際深海科学掘削計画(IODP)第401次研究航海開始

2024-01-12 09:34:44 |    宇宙・地球
 国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)の第401次研究航海として、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号による「地中海と大西洋を繋ぐゲートウェイでの海水交換の歴史」が、2023年12月10日から開始された。

 同航海は、後期中新世から前期鮮新世(およそ500〜800万年前)にいたるまでの地中海と大西洋間における海水の交換の完全記録を復元することを目的とし、ジブラルタル海峡を挟んだ地中海と大西洋の計3地点での掘削を計画している。

 同航海は、海洋掘削と陸上掘削の連携によって科学目的を達成するLand-2-Seaプロジェクトの一環として実施され、国際陸上科学掘削計画(ICDP)によるスペインおよびモロッコでの陸上掘削も計画されている。

 乗船研究者として、インド、英国、オーストラリア、オランダ、スペイン、中国、日本、ノルウェイ、フランス、米国、モロッコから計27名が参加し、うち日本からは3名が乗船。

 海峡は、大洋(ocean)と海(sea)の間の海水、熱、塩分、栄養塩の交換に重要な役割を果たしている。そして、高塩分の海水の移動は、地球規模の熱塩循環を促進する。

 地中海と大西洋を結ぶ広く開けた海路は、現在はジブラルタル海峡として知られているが、中新世においては、モロッコ北部とスペイン南部にそれぞれ狭い海峡が存在していた。

 これら2つの海峡の形は地中海の塩分濃度の上昇をもたらし、その結果、地中海側には高密度の水塊が発達し、狭い海峡を介して大西洋側に流れ込むこととなった。その後もこれらの海峡は徐々に狭まっていき、やがて閉鎖することによって、最終的には地中海における塩分濃度は極度に高まり、メッシニアン塩分危機 (Messinian Salinity Crisis) を引き起こして巨大な蒸発岩層 (salt giant) が成長した。

 IODP Expedition 401では、(1)上述した地中海と大西洋の間に見られる海水交換の開始が海洋循環と全球的な気候に及ぼした影響を定量的に見定めること、(2)地中海周辺の沿海域における極端な環境変化に関するメカニズムを解明すること、および、(3)現在の地球上には存在しないスケールでの高密度海水の流入を海洋物理学的に説明することを目的としている。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「相対性理論」(河辺哲次著/裳華房)

2024-01-12 09:33:36 |    物理



<新刊情報>



書名:相対性理論

著者:河辺哲次

発行:裳華房(物理学レクチャーコース)

 同書は、物理学の教育・学びの双方に役立つ21世紀の新たなガイドとなることを目指し、多様化する“大学の講義と学生のニーズ”に応えるものとして刊行された、『物理学レクチャーコース』の一冊。同シリーズでは、講義する先生の目線で内容を吟味する編集委員に加え、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターの須貝駿貴さんと予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師のヨビノリたくみさんに編集サポーターとして加わっていただき、学習する読者の目線で、テキストの内容がよりわかりやすく、より魅力的なものになるように内容を吟味していただいていることも、大きな特徴の一つとなっている。
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