“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「大学入試の共通試験改革をめぐるポリティクス」(中村恵佑著/東京大学出版会)

2024-01-19 09:34:53 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:大学入試の共通試験改革をめぐるポリティクス~「拒否権プレイヤー論」による政策過程分析~

著者:中村恵佑

発行:東京大学出版会

 戦後教育改革以来、大学入試の共通試験の方式には様々な議論がめぐらされてきた。「共通一次」から「センター試験」「大学入学共通テスト」へ、これらの形式や運用の変化を決めてきた過程とは、一体どういうものだったのだろうか。教育の政治学を動かしてきた力学への新しいアプローチ。
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●科学技術ニュース●AGC、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に成功

2024-01-19 09:34:15 |    化学
 AGCは、使用済みの太陽光パネルのカバーガラス約24トンを、原料カレット(ガラス端材)にリサイクルする実証試験に日本で初めて成功した。

 同試験は、2023年10月19日から22日にかけて、AGC横浜テクニカルセンターの建築用型板ガラス製造窯にておこなわれた。なお、太陽光パネルのガラス回収には、三菱ケミカルグループの新菱の太陽光パネルリサイクル商業生産ラインの加熱処理技術が用いられた。

 太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされ、2030年代後半より年間数十万トンの廃棄が予想されている。

 このうちカバーガラスは、全体の重量の約6割を占めており、産業廃棄物として大量に埋め立て処理された場合には、深刻な環境負荷を引き起こすと懸念されている。

 今回の実証試験では、太陽光パネルのカバーガラスが、特殊な加熱処理によって板ガラスに再利用可能な原料カレットとなることを確認した。


 これにより、産業廃棄物の削減や、珪砂やソーダ灰など天然資源由来原料の節減が可能となり、サーキュラーエコノミーの促進に貢献する。また、原料カレットの利用促進に伴い、製造工程におけるGHG(温室効果ガス)排出削減にもつながる。<AGC>
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●科学技術ニュース●北海道大学など、グリーンランドのアイスコアにより産業革命前から現在にかけての夏季積雪融解量が増加したことを解明

2024-01-19 09:33:52 |    宇宙・地球
 北海道大学低温科学研究所の川上薫非常勤研究員、飯塚芳徳准教授、的場澄人助教、北見工業大学の堀彰准教授、金沢大学環日本海域環境研究センターの石野咲子助教、国立極地研究所先端研究推進系の藤田秀二教授、青木輝夫特任教授、川村賢二准教授、名古屋大学大学院環境学研究科の藤田耕史教授、植村立准教授、弘前大学大学院理工学研究科の堀内一穂准教授らの研究グループは、2021年に掘削したグリーンランド氷床南東部アイスコアの高精度年代スケールを構築し、産業革命前から現在にかけての夏季積雪融解量が北極域の温暖化に伴い増加したことを解明した。

 近年、北極域では地球全体を上回るペースで気温が上昇している。

 今回研究グループは、複数の物理・化学的な解析から、グリーンランド氷床南東部のアイスコアの1799年から2020年にかけての時間スケールを、半年解像度という高精度での確立に成功した。

 そして確立された年代を元に過去221年の降水量と夏季融解層の厚さを復元した。

 の結果グリーンランド南東部では、年降水量は過去221年間にわたり減少も増加も示さず有意な傾向は見られなかったたが、融解層の厚さは北極域の温暖化に伴い19世紀から21世紀にかけて増加していることが明らかになった。

 同研究結果は、産業革命(1850年)前から現在において、温暖化によりグリーンランドの内陸高地で夏季積雪融解量が増加していることを実証した。

 今後、得られた地上真値を用いた長期間の領域気候モデルや衛星観測データの検証から、地球気温の将来予測の精度を高めることが期待される。

 1年のずれもない時間解像度で復元された産業革命前から現在までの降水量と夏季積雪融解量の構築は、地上真値として衛星観測、再解析気温データ、気候モデル分野など他分野の多くの領域で利用可能な実測データを提供できる。

 同研究の成果からグリーンランド南東ドームの降水量は1.04m yr-1であることが分かったが、この地域の気候モデルによる降水量の推定には誤差が2m yr-1もあるのが現状。

 今後は、このアイスコアで提示された降水量や夏季融解量の地上真値を用いた計算を進めていくことで、気候モデルの精度向上と地球温暖化のメカニズムの理解向上につながり、地球温暖化の将来予測の精度を高めることが期待される。<国立極地研究所>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「アルゴリズム設計マニュアル<原書3版 下>」(原書名: The Algorithm Design Manual Third Edition/丸善出版)

2024-01-19 09:32:50 |    情報工学



<新刊情報>



書名:アルゴリズム設計マニュアル<原書3版 下>

原書名: The Algorithm Design Manual Third Edition

訳者:平田富夫

発行:丸善出版

 アルゴリズム設計の技法は計算機科学の中心にある実践的な技術である。同書は、学生とコンピュータ技術者がよいアルゴリズムを設計するためのマニュアルとなることを意図しているが、技術系企業の採用面接の準備に役立つことからも人気を博している。同書は技法とリソースの二部からなり、前者はコンピュータアルゴリズムの設計と解析への一般的な入門であり、後者は適宜拾い読みされ参照されることを意図したアルゴリズムのカタログと広範にわたる参考文献からなる。第II部にあたる下巻では、実際に生じる最重要な問題のカタログを提供し、何が知られていてどのように解くべきかを直ちに知ることができる。同書の目的は、読者を正しい方向へとできるだけ敏速に導くことであり、アルゴリズムの数学的な解析はあえて強調せずインフォーマルな議論にとどめている。さらなる詳細な議論が必要な際は、適切なプログラムや参考文献を調べられるように示している。
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