“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「統計で騙されない10の方法」(ティム・ハーフォード著/日本経済新聞出版)

2022-07-13 10:32:54 |    数学



<新刊情報>



書名:統計で騙されない10の方法

著者:ティム・ハーフォード

訳者:上原 裕美子

発行:日本経済新聞出版

 統計データは、本当はどういう意味を持つのか?「フェイクニュース」はどうやってウソをデータで塗り固めるのか?「データに騙されない方法」を人気コラムニストが教える。「コウノトリが少ない国では、出生数が落ちる。これは統計学的に有意に立証されている」冗談だと思うかもしれない。でも、本当だ。もちろんコウノトリが赤ちゃんを運んでいるからではない。コウノトリの多い国(ドイツ、トルコ、ポーランド)は出生数も多い。コウノトリの少ない国(デンマーク、アルバニア)は出生数が少ない。こうしてコウノトリと赤ん坊に因果関係がないにも関わらず、統計学的には有意なウソが創作できる。だが正確に統計を利用すれば、漠然としたトレンドが見えてくる。現代世界は非常に大きく、非常に複雑だ。地球上には80億人近くが住み、数兆ドルもが経済を流れ、ネット上には20億ものサイトがある。統計がなければ暗中模索になるだろう。X線がなければ骨を調べられず、顕微鏡がなければ細菌を調べられず、望遠鏡がなければ天体を調べられないのと同じだ。同書を通じて、統計という望遠鏡を手に取り、実際に世界を調べられるようになってみよう。そしてウソ情報を生み出すいいかげんな理屈を見破り、バイアスの罠を回避できるようになってほしい。
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●科学技術ニュース●横河電機、製造業のDXを支援する横河デジタルを設立

2022-07-13 10:32:27 |    情報工学
 横河電機は、製造業の経営から現場までを見渡した経営コンサルティングサービス事業を展開する「横河デジタル株式会社(本社:東京都武蔵野市」を設立した。

 横河デジタルは、Operational Technology(OT、運用・制御技術)とIT(情報技術)の双方の領域での知見やノウハウを生かして、コンサルテーションのみならず製造業の経営と現場をつなぐクラウド関連のシステムの実装、運用・保守までのサービスを提供し、企業の操業をグローバルで統合管理することを可能にし、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。10月1日から営業を開始し、まずは国内の企業に対してサービスを提供していく。

 同社は、これまでも企業に対し、経営企画・情報システム部門、製造部門に対する総合的なコンサルティングを行い、操業改善に貢献してきた。自社のDXとしても、グローバル全18工場を対象にデジタルファクトリーなどの取り組みを進めており、生産技術・技能の伝承、品質・生産性の向上やサプライチェーンの最適化等で効果を出している。

 また、IT関連企業への投資やアライアンスに加え、デジタル技術の制御分野への活用についても研究開発を重ねてきた。2022年2月には実際の化学プラントで既存の制御技術が適用できず手動制御せざるを得ない箇所にAIを適用し、世界で初めて35日間連続で自律制御することに成功したほか、5G・クラウド・AIを活用したリモート制御に成功するなど、先端技術の実用化を進めている。また、工場の操業の遠隔監視などを通して、情報の漏洩やウイルスの侵入などを許さない高度な情報セキュリティ技術を培ってきた。

 今回、新会社を設立し、経営および操業のコンサルティングとデジタル技術に強みをもつ人財を集め強化することで、YOKOGAWAのコンサルティング能力をさらに高め、プロセス産業をはじめ、幅広い製造業のお客様の競争力の向上に貢献する。また、将来的にはグローバル展開も視野に、経営コンサルティングサービスとそれに伴うDX・ITサービスや、運用・保守を提供していく。<横河電機>
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●科学技術ニュース●NEDO、バイオものづくり分野の人材育成プログラムを順次開講

2022-07-13 10:32:00 |    ★バイオニュース★
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環として、神戸大学、大阪大学、大阪工業大学、京都大学、ちとせ研究所、Green Earth Instituteでのバイオ生産推進拠点(バイオファウンドリ拠点)の整備を進めているが、これと並行して、バイオものづくりの社会実装を拡大・促進するため、各拠点でバイオものづくりを担う人材育成を目的としたNEDO特別講座「人材育成プログラム」を開講した。

 同講座の受講生は、微生物の持つ物質生産能力を高度に制御した細胞「スマートセル」について、その構築方法から培養装置の使い方、バイオプロセスの実用化方法まで、バイオものづくりに必要な各種技術などを体系的に習得することが可能。講義に加えて実習も行うことで、バイオものづくりに必要な理論から実践までを学ぶことができる。

 NEDOは、同取り組みを通じて、バイオものづくりの担い手を育成し、産業界に広く輩出することで、バイオエコノミー社会の実現を目指す。

 NEDOは、2022年4月から「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環でグローバルバイオコミュニティとして関西圏と関東圏に産学でのバイオ生産を推進する拠点(バイオファウンドリ拠点)を形成する事業を実施している。

 関西圏では、神戸大学がDBTL(設計・構築・評価・学習のサイクル)型スマートセル開発プラットフォームの構築を進めているほか、大阪大学、常翔学園大阪工業大学、京都大学、ちとせ研究所が生産プロセスと人工知能(AI)制御サンプル生産開発プラットフォームの構築に取り組んでいる。関東圏ではGreen Earth Institute(GEI)が千葉県内に生産実証プラットフォームの整備を進めている。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「基礎から学ぶ弾塑性力学」(荒井正行著/森北出版)

2022-07-13 10:31:23 |    機械工学



<新刊情報>



書名:基礎から学ぶ弾塑性力学

著者:荒井正行

発行:森北出版

 機械設計につながる弾塑性力学について基礎から学べる入門書。弾性状態からさらに過大な荷重を受けて永久に変形が戻らない塑性状態.この状態におかれた部材に生じる応力と変形をどのように求めたらよいのか、を考えていく。材料力学の復習から始め、弾塑性の変形、降伏現象を理解し、各種問題を解いていく構成。基本的な薄肉円筒問題から厚肉円筒問題、回転円板問題、応力集中問題、き裂問題、クリープ変形問題まで幅広い内容を扱い、ていねいに解説していく。最後には、非線形である塑性現象を解くために必要な数値解析手法として有限要素法を使って解析する。章末には演習問題が用意されているので、解いて理解を深めることができる。
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