“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「日本の生命科学はなぜ周回遅れとなったのか」(杉 晴夫著/光文社)

2022-05-18 09:35:28 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:日本の生命科学はなぜ周回遅れとなったのか~国際的筋肉学者の回想と遺言~

著者:杉 晴夫

発行:光文社(光文社新書)

 明治維新以降、日本への欧米の科学技術の導入は見事に成し遂げられ、直ちに生命科学史に名を刻む巨人たちを輩出した。しかしこの輝かしい成果はその後すぐに破壊されてゆく。原因として、①独創的研究を評価せず他人を妬む国民性、②大学教授たちの利己性による後継者の矮小化、③教授たちの提案を唯々諾々と受け入れる政府の人々の見識の欠如、④真に独創的な研究を評価し広く報道すべき新聞や学術誌編集者の能力の著しい劣化がある。さらに深刻な打撃となったのが国立大学の独立行政法人化である。現在もワクチン等医療品の開発でも世界に対して周回遅れの日本。90歳近い今も研究を続ける筋収縮研究者が、自身の経験を振り返りつつ、日本の生命科学を若い独創性に富む研究者の力で救い出す方策を提案する。
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●科学技術ニュース●日本無線と首都高速道路、「ローカル5Gの都市内高速道路への展開に関する研究」開始

2022-05-18 09:34:43 |    通信工学
 日本無線は、災害時に確実な情報収集及び平常時の業務の迅速化に資するローカル 5G 無線通信エリア構築について、首都高速道路と共同研究を開始した。

 ローカル 5G は、自己の建物内又は自己の土地内での利用を原則とする制度に従い、広い敷地を持つ研究所や工場等への整備が進められている。一方、交通機関や道路、河川等でローカル 5G を整備する場合、線状の敷地に沿った無線通信エリアの構築が必要となり、その開発が求められている。

 同共同研究は、首都高速が管理する高速道路上における実証実験等を通じて、ローカル 5G による線状の無線通信エリア構築に向けた課題の抽出を行い、都市内高速道路上へのローカル 5G 展開の実現性を検証するもの。

<共同研究の期待する成果目標>

・都市内高速道路における線状の無線通信エリア構築方法の確立

・シミュレーションと実測の差異分析による効果的なエリア設計手法の確立

 企業や自治体等が総務省から無線局免許を取得して利用するローカル 5G は、電波照射範囲(エリア)が定められていることから、線状エリアの適用ではエリア外への電波の漏れを極力少なくしつつ、電波をより遠くまで届かせることが課題でった。同社は、道路のような線状の環境への適用に特化した「線状エリア対策アンテナ」を開発し、現場実験にて実証することにより、このような課題の解決を図る。

 この「線状エリア対策ソリューション」により、道路や鉄道、河川等でのローカル 5G 適用が可能となり、こうしたエリアが必要な様々なユーザーに対してもソリューションを提供していく。

 今後、同社は同共同研究、実証実験を精力的に進め、社会実装を実現させる。また、同時に線状エリアを必要とする事業者へもソリューションを提供し、独自技術を強みに様々な業種におけるビジネスシーンにおいて、生産性の向上・高度化、新しい価値の提供に貢献する。<日本無線>
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●科学技術ニュース●東京大学、ヒト骨格筋の分化過程における新たな遺伝子発現制御機構を発見

2022-05-18 09:34:14 |    生物・医学
 東京大学 大学院工学系研究科化 学生命工学専攻の野田 悠太 大学院生(研究当時)、岡田俊平 特任研究員(研究当時)、鈴木 勉 教授のグループは、ヒトの筋芽細胞が骨格筋へと分化する前期と中期において、SELENONの発現が高く保たれ、後期において、発現量が徐々に低下する仕組みを明らかにした。その仕組みから、新規の遺伝子発現制御機構が見つかった。

 SELENONのmRNA前駆体にはAlu反復配列が含まれており、mRNAスプライシングの過程でこの一部がエキソンとして取り込まれるとナンセンス変異依存mRNA分解機構(nonsense mediated mRNA decay、NMD)により発現が抑制される。

 筋分化の前期から中期にかけて、RNA結合たんぱく質とRNA修飾が、序列的に作用することで、Alu反復配列のエキソン化が抑制され、SELENONたんぱく質の発現が維持されることが判明した。

 2つ目の制御機構は、特殊翻訳の制御である。SELENONはセレン含有たんぱく質であり、活性中心にセレノシステイン(Sec)残基を有している。Secは終止コドンの1つであるUGAコドンによりコードされ、リコーディングと呼ばれる特殊なたんぱく質合成によって取り込まれる。

 同研究グループは、筋分化の中期から後期にかけて、多くのリコーディングに関与する因子の発現が低下することを見いだした。特にSecを受容したtRNASecが顕著に減少することで、UGA/Secコドンのリコーディングの効率が低下していることを明らかにした。この結果、筋分化の後期では、活性のあるSELENONが合成されず、またUGA/Secコドンが未成熟終止コドンとして認識されることで、SELENON mRNAはNMDの機構により分解され、発現量が低下することが明らかとなった。

 同研究により明らかとなった段階的な転写後制御機構により、筋分化の過程でSELENONの発現が精密に制御されることが示された。今後は、これらの制御機構の生理的意義を明らかにすることで、骨格筋形成のさらなる理解に加え、将来的にはSELENON関連疾患の治療法の開発や、加齢などによる筋力低下の改善につながることが期待される。

 また同研究で示されたリコーディングの制御はこれまで報告されていない新規の現象であり、遺伝子発現制御機構の理解において大きな概念的進歩をもたらすもの。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「図解即戦力 ネットワークのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる本」(中尾真二著/技術評論社)

2022-05-18 09:33:49 |    通信工学



<新刊情報>



書名:図解即戦力 ネットワークのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる本

著者:中尾真二 

発行:技術評論社(図解即戦力シリーズ)

 ネットワークのしくみと技術をわかりやすく解説した書籍。エンジニア1年生、IT業界への転職・就職を目指す人が、仕事に必要な知識を一通り学ぶことのできる内容。ネットワークの基本から、インターネット、モバイル通信、クラウド、セキュリティまで幅広く取り上げており、最低限知っておきたいネットワークの用語やしくみをフルカラー図解でわかりやすく解説。最新のネットワークの仕組みについて学びたい人にオススメ。
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