“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「プラネタリーヘルス」(河野 茂総監修/丸善出版)

2022-05-19 09:33:22 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:プラネタリーヘルス~私たちと地球の未来のために~

総監修:河野 茂

監訳:長崎大学

発行:丸善出版

 SDGsの先へ 地球規模の課題解決に向けて。地球上の環境変化は、時空間的に離れたところへ波及し、思いがけない影響を及ぼし合う。そこで、地球規模の課題をシステム全体にわたって捉えるために用いる概念がプラネタリーヘルスである。プラネタリーヘルスは、環境破壊が私たちの健康や幸福に及ぼす影響を理解し、数値化して、人間と自然とが将来にわたり継続できるよう解決策を生み出すことを目指す。同書では、気候変動、災害、汚染、生態系の現状と、それに起因する人間の感染症や様々な疾患、メンタルヘルス、さらには移民、紛争、人口、食料、公平性の問題、エネルギー、都市化、経済、幸福、倫理などの幅広い視点から、事例のつながりを浮き彫りにする。新型コロナウイルス感染症もまさにプラネタリーヘルスの課題といえ、エピローグで取り上げている。今と将来に生きる、人類とすべての生き物を含む地球全体の未来のため、分野を超えた考え方を学べる。
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●科学技術ニュース●NEC、国内企業で最大規模となるAI研究用スーパーコンピュータの構築を開始

2022-05-19 09:32:55 |    情報工学
 NECは、AIの世界的な開発競争が激化する中で優位性を維持・強化するため、AI研究用スーパーコンピュータの構築を開始し、2023年3月に国内企業で最大規模の580PFLOPS超となるシステムの稼働を予定している。

 既に一部のシステム(100PFLOPS)についてNECの数百名の AI研究者が利用を開始しており、今後構築する480PFLPOSのシステムを加え、国内最高峰のAIに特化した研究開発環境による、より高度な先進AIの迅速な開発に役立てる。また将来的には、ユーザーやパートナーとの共創により先進的な社会価値を産み出すAI研究のセンター・オブ・エクセレンスの実現を目指す。

 同システムは、1ノード当たり8基のハイエンドGPU「NVIDIA A100 80GB Tensor コア GPU」を搭載した最新GPUサーバー116台(スーパーマイクロ社製)と、16PB超のEXAScaler高性能並列ファイルシステム(データダイレクト・ネットワークス社製)を搭載したストレージアプライアンスで構成されている。

 理論上の処理性能は580 PFLOPS超となり、数千万枚の画像を数分間で学習可能になる。またネットワークには、高速イーサネットスイッチ「NVIDIA Spectrum SN3700」を採用し、全サーバーを200GbEで接続してRoCE(RDMA over Converged Ethernet)v2により超高速・低遅延での通信を行うことで、高速な分散学習を実現する。

 NECは、オープンソースのコンテナ管理技術であるKubernetesを中核とした独自の構築技術によりこれらの先端ハードウェアとソフトウェア群を密に結合することで、高性能かつ利便性の高いシステムを実現する。<NEC>
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●科学技術ニュース●東北大学など、スピン流を用いて強磁性体の体積を変調できることを実証しスピントロニクスを応用した力学制御に道

2022-05-19 09:32:27 |    電気・電子工学
 東北大学 金属材料研究所の有沢 洋希 大学院生(研究当時:東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 特別研究学生)と、東京大学 大学院工学系研究科の齊藤 英治 教授(東北大学 材料科学高等研究所 主任研究者 兼任)らを中心とする研究グループは、東北大学 大学院工学研究科の小野 崇人 教授、Hang Shim 大学院生(研究当時)らと共同で、スピン流を用いて強磁性体の体積を変調できることを実証した。

 電子の自転運動であるスピンの流れをスピン流と呼ぶ。スピン流は電荷の流れである電流と対比され、電流では不可能だった省電力情報処理を実現する可能性があることから、スピントロニクス分野において次世代の電子素子制御技術として期待されている。

 同研究では、スピン流により強磁性体中のスピンゆらぎを制御し、強磁性体の体積が変化することを見いだした。

 これは近年微小化が進む精密機器において課題となる、熱による部品変形をスピン流で制御できることを示唆しており、新たな材料開発を推進する可能性がある。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「マイクロコンピュータ入門」(モシニャガ ワシリー、森元 逞 著、橋本 浩二著/共立出版)

2022-05-19 09:31:49 |    情報工学



<新刊情報>



書名:マイクロコンピュータ入門~高性能な8ビットPICマイコンのC言語によるプログラミング~

著者:モシニャガ ワシリー、森元 逞 著、橋本 浩二

発行:共立出版

 近年生産される産業用ロボットや医療機器・自動車や家電製品などの多様な機器には、小型かつ高性能な「マイクロコンピュータ(マイコン)」が組み込まれて利用されている。近い将来では、インターネットを介して利用する機器類である「IoT機器」のさらなる普及が見込まれ、それに伴いマイコンもこれまで以上に多くの分野で活用されていくことが予想される。同書は、Microchip Tech.社の汎用型マイコン"PIC"(特にPIC16F1827)を題材とし、マイコンの動作原理のほか、ハードウェア・ソフトウェアとの相互関係、外部接続インタフェースや周辺デバイスとの接続、XC8コンパイラへのC言語によるプログラム文の詳細といった、マイコン開発には不可欠な周辺領域の知識についても、包括的に理解できるようにまとめた教科書である。
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