“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ゆく川の流れは、動的平衡」(福岡伸一著/朝日新聞出版)

2022-05-12 10:07:22 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:ゆく川の流れは、動的平衡

著者:福岡伸一

発行:朝日新聞出版

 日常に生起する感慨を描きながら、生命の動的平衡と利他性のつながりを表す。福岡ハカセの細やかな観察眼と美しい文章を堪能できるエッセイ集。「手渡されつつ、手渡す。これは利他性に他ならない。手渡されつつ、一瞬、自らの生命をともし、また他者に手渡す行為、すべての生命はこの流れの中にある。これが動的平衡である」「音でも、光でも、風でもよい。この世界のかすかな移ろいに気づけること。それはすべて新しい発見への扉となる」(本文より)。朝日新聞連載「福岡伸一の動的平衡」待望の書籍化。
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●科学技術ニュース●アダマンド並木精密宝石、直径2インチ超高純度ダイヤモンドウェハの量産に成功し量子コンピュータの実現に目途

2022-05-12 10:06:45 |    電気・電子工学
 アダマンド並木精密宝石は、超高純度の直径2インチのダイヤモンドウェハの量産技術を開発した。

 量子コンピュータに使う量子メモリや超高感度の磁気センサーには窒素濃度3 ppb以下(ppb=10億分率)の超高純度ダイヤモンドが用いられ、開発が加速しているが、これまで、使えるダイヤモンド結晶は4mm角程度の寸法でしかなかった。

 今回、開発したのは、超高純度で直径2インチ(約55ミリメートル)のダイヤモンドウェハ。今後、量子コンピュータの実現につながることが期待される。同製品は2023年に製品化の予定。

 アダマンド並木精密宝石は、佐賀大学との共同研究で、独自のステップフロー成長法を用いて直径2インチの高品質ダイヤモンドウェハ(商品名:KENZAN Diamond)を開発したことを2021年9月9日にプレスリリースした。

 このダイヤモンド結晶成長技術では、高い成長速度を得るために窒素ガスを使わなければならず、そのため数ppmの濃度の窒素不純物がダイヤモンド結晶に混入して量子コンピュータには使えなかった。

 一方、市販されている窒素濃度3 ppb以下の超高純度ダイヤモンドは、4ミリ角の寸法でしかなく、研究用に使えても、実用上使うことができなかった。

 そこで、アダマンド並木精密宝石では、結晶成長で窒素の混入を極力抑えて、超高純度の直径2インチのダイヤモンドウェハの量産技術を開発した。ダイヤモンドを用いた量子メモリは超高密度のデータ記録が可能で,直径2インチのダイヤモンドウェハ1枚でBlue-Rayディスク10億枚分のデータが保存できる。これは全世界で1日に流通する全てのモバイルデータ量に相当し、ダイヤモンドウェハ1枚に収まる。<アダマンド並木精密宝石>
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●科学技術ニュース●京都大学、電流中の“スピン”の制御により水電解の効率化を実現し水素エネルギーによる持続可能な社会へ大きく貢献

2022-05-12 10:06:08 |    ★水素ニュース★
 京都大学 大学院工学研究科の須田 理行 准教授、辺 智芸 同博士課程学生、筒井 祐介 同助教、関 修平 同教授、加藤 研一 同助教、生越 友樹 同教授らの研究グループは、二硫化モリブデン(MoS2)と呼ばれる層状化合物の層間にキラル分子を挿入した新奇な化合物である「キラルMoS2」が、電流中のスピンの向きを同方向に揃える性質を持つことを明らかにした。

 また、同化合物を水の電気分解(水電解)における電極材料として用いると、スピンの向きが揃った電流の効果によって、酸素発生効率が大きく向上することを見いだした。

 電流を担う電子の1つ1つは、スピンと呼ばれるミクロな磁石としての性質を持っているが、通常はそれぞれのスピンの向きがバラバラなために磁石としての性質は全体として打ち消しあってしまい、電流中のこのミクロな性質が電気化学反応に利用されることはなかった。

 これまでは、電流中のスピンの向きを揃えるには、主としてレアメタルから構成される強力な磁石や電磁石といった大がかりな装置が必要とされてきた。

 一方、同研究では同化合物を電極上に塗布するだけで、電流中の約75%ものスピンの向きが同方向に揃い、酸素発生反応を効率化させることができることを明らかにした。

 同成果は、水電解による水素生成技術を効率化する一助となり、持続可能な社会の実現に資する革新的反応制御技術となることが期待される。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「利益が出せる生産統制力」(坂倉貢司著/日刊工業新聞社)

2022-05-12 10:05:26 |    企業経営



<新刊情報>



書名:利益が出せる生産統制力~異常の芽を事前に摘み取るQCD管理~

著者:坂倉貢司

発行:日刊工業新聞社

 コロナ禍でQCDの維持に苦慮する生産現場へ向けた「利益確保」のためのバイブル。「生産計画通りに遂行できない」「標準やルールが守れない」要因を解明し、改善着手までのプロセスを伝授。SCMの停滞などによる外乱にも正しく対処できる工程運営の進め方を詳述する。
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