伊藤忠商事は、半固体リチウムイオン電池の研究・開発を行う米国24M Technologies, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州)のシリーズEラウンドにおけるリード投資家として他の投資家も含めた出資ラウンドを取りまとめ、第三者割当増資を引き受けた。同出資を通じて、24M社を伊藤忠商事の持分法適用会社とし、同社と次世代リチウムイオン電池のグローバル製造・開発事業を共同推進することになった。
米24M社は、安全性、エネルギー密度、リサイクル特性、製造コストなどで現行のリチウムイオン電池を上回る半固体電池の研究・開発企業。24M社は、現行リチウムイオン電池の製造工程を大きく改良、簡略化した独自プロセスを確立し、多数の技術特許を取得している。最大の特徴は、現行リチウムイオン電池の性能を維持・向上できることに加え、使用部材の削減、製造プロセスの簡略化により、価格競争力・リサイクル特性・安全性の高い製品を提供できる点。
米24M社は当該特許技術を複数の製造パートナーにライセンス供与することで、半固体電池の普及を進めていく。2020年には京セラが商業生産を開始しており、タイのGlobal Power Synergy PCL(GPSC)は、2021年中の商業生産稼働に向けて量産工場を建設中。また、2020年12月には、ノルウェーのFREYR ASとライセンス契約を締結した。
伊藤忠商事は、日本国内を中心に蓄電池ビジネスを展開しており、2021年3月末時点で、累計約4.3万台(約430MWh)の蓄電システムを販売している。国内においてはエヌエフ回路設計ブロックとの蓄電システム製造会社(NFブロッサムテクノロジーズ)を共同運営している。海外においては、カナダのEguana Technologies, Inc.への出資を通じて、米国、欧州、豪州などの海外市場向けに蓄電池ビジネスの展開を進めている。
伊藤忠商事は、米24M社への出資を通じて、製造ライセンスパートナーとの協業を深め、蓄電システムの基幹部品であるリチウムイオン電池の安定調達体制を構築する。(伊藤忠商事)