“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「消えゆくさかな」(ダニエル・ポーリー著/東海大学出版部)

2021-05-28 09:33:54 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:消えゆくさかな~世界の漁業への科学者からの警鐘~
 
著者:ダニエル・ポーリー
 
訳者:武藤文人

発行:東海大学出版部

 水産と海洋に関する様々な学問分野で著名なダニエル・ポーリー(ブリティシュコロンビア大学/カナダ)。彼の漁業に関する辛らつな批判は、煙たがられている場合も多いが、彼への反対者たちさえも、彼の業績に基づいて仕事を進めざるをえない。そんなポーリーが現代漁業のあり方について示し続けてきた警鐘をまとめたエッセイ集。2019年に刊行された同書の翻訳出版は、関係各所で大いに話題となるだろうし、海洋系の学生諸氏に大いなる教育効果が期待できる。

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●科学技術ニュース●日立Astemo、快適な自動運転車両空間を実現する高精度な軌道計画技術を開発

2021-05-28 09:33:26 |    輸送機器工学

  日立Astemoは、自動運転や先進運転支援技術による走行において、前後左右の不快な揺れや加速度を抑制し、快適な移動空間を実現するための、AD ECU(自動運転用電子制御ユニット)などにおける高精度な軌道計画技術として、「Dynamics planning(ダイナミクス・プランニング)」のアルゴリズムを開発した。

 今回、日立Astemoが開発したダイナミクス・プランニングは、自動運転や先進運転支援技術による走行において、熟練ドライバーのように車室内を快適に保って走行する軌道と速度を実現するためのアルゴリズムで。

 ダイナミクス・プランニングでは、カメラなどの外界認識センサー、MPU(Map Position Unit)による地図情報や、将来的にはインフラからの交通情報などを活用して、車両前方の走行可能領域をAD ECUなどに入力する。

 走行可能領域の幅を有効に利用して、カーブを曲がる際などにはなるべく緩やかなカーブを描くことで、車両にかかる加速度や加速度の変化を抑えることができる走行軌道と、その軌道に沿い走行した際に生じる加速度が小さくかつ緩やかになるような速度を計画する。
  
 このような軌道計画をする場合、従来の手法では、車両の重量や車長などの車両諸元を用いて複雑な計算を行うため、AD ECUなどにおいて高い演算能力が必要となるという課題や、強い風の力や路面の凹凸などによる意図しない外乱要素があると車両が快適に走らない場合があるという課題があつた。

 日立Astemoでは、車両諸元や外乱要素に対する対応を独自の車両制御技術で担うことにより、車両諸元を使わないシンプルな軌道計画を可能とするアルゴリズムであるダイナミクス・プランニングを開発した。ダイナミクス・プランニングにより算出される目標軌道で走行する自動走行車両においては、熟練ドライバーによる運転のように、前後左右の不快な揺れや加速度を抑制した快適な走行が可能となる。

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●科学技術ニュース●信州大学や国立極地研究所、南極・昭和基地のミューオン観測網のデータからコロナ質量放出の地球到達時の構造を解明

2021-05-28 09:32:55 |    宇宙・地球

 宇宙から降り注ぐ放射線(宇宙線)の観測のため、2018年2月、南極・昭和基地に中性子計とミューオン計が設置されたが、それから約半年後の2018年8月、昭和基地での中性子およびミューオンの値の減少が確認された。

 信州大学や国立極地研究所などの研究グループは、太陽風プラズマの観測データなどから、この現象が太陽の爆発現象(コロナ質量放出)によるものだと結論付け、さらに詳細に調べるため、汎世界的ミューオン観測網と中性子計群のデータを用いて、この時の地上の宇宙線密度と宇宙線の流れ(異方性)の変化を解析した。

 その結果、コロナ質量放出によって太陽から噴出したロープ状の磁力線群(磁気フラックスロープ、MFR)の内部に地球が入った時、宇宙線密度がいったん減少し、MFRの外に出る直前に急激に増加していたことを確認した。

 通常、地球がMFRに入ると宇宙線密度は減少し、外に出る前に元のレベルに戻るが、この時の後半の増加はMFR外の宇宙線密度をはるかに超えるものであった。

 この異常な増加の原因は、MFRの後方から吹いていた高速の太陽風がMFR後部に追いついたことで、MFR後部で断熱圧縮が起こり宇宙線の加速が起きたためと解釈することができた。(国立極地研究所)

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子力学の数学的基礎<新装版>」(J.v.ノイマン著/みすず書房)

2021-05-28 09:31:54 |    物理

 

<新刊情報>

 

 

書名:量子力学の数学的基礎<新装版>

著者:J.v.ノイマン

訳者:井上 健、広重 徹、恒藤敏彦

発行:みすず書房

 初版1957年11月15日発行の量子力学の古典的名著の新装版。

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