kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

震災から8年

2019-03-12 07:30:34 | 日記
昨日11日は東日本大震災からまる8年でした。テレビやラジオなど
マスコミはどこも特集を組んでその後の被災地の様子を伝えていま
した。あれから変わったもの、変わらなかったものそれは人々の暮
らしだけでなく業界を取り巻く変化もありました。その最たるもの
が福島原発事故で強烈な逆風が吹きまくった原子力産業だったよう
です。

石油など資源の乏しい日本でクリーンで発電コストも安価な原発は
日本政府が定める基幹電源の大きな柱でした。地球温暖化防止から
CO²排出が少ない原発産業の未来は明るいとみられていました。しか
し福島原発事故から環境は一変しました。世界的な反原発機運の盛
り上がりで関連産業は一気に冬の次代を迎えました。

東芝の躓きも米国の原発子会社のWHがらみでした。世界的な原発
企業であったフランスのアレバは新型原子炉建設の遅れもあり経営
危機が表面化しました。現在はフランス電力公社主導で再建中です。
フランス政府は現在70%以上を占めている原発依存度を50%まで下
げることを新たな目標にしています。

地球温暖化防止のため脱石油の主役は原発から再生可能な風力発電
や太陽光発電に完全に交代しつつあるようです。要因の一つにここ
数年進んだ再生可能エネルギーの発電コストの低下です。欧州では
洋上風力発電のコストが安価な石炭発電に数年で並ぶと予測もあり
ます。

日立は安全コストの急騰から英国で計画していた原発建設を断念し
ました。3000憶円という巨額な授業料を払いましたが、もはや国の
後ろ盾があっても原発建設の壁は高くなってしまっている現状を示
しているようです。原発建設中止のニュースが伝わり日立株が急騰
したのはこのまま事業を続ければさらに巨額な損失が出るかもしれ
ないという市場が見ていたからです。

脱原発の流れは少なくとも西側諸国では後戻りしないでしょう。国
策として取り組んでいるロシアや中国の今後の原発事業を主導権を
奪われるという危惧する向きもありますが、福島原発事故で東電が
実質国有化されるようなところまで追い込まれたことを考えると最早
原発は民間企業で行うのはさらに難しくなりそうです。いずれ日本で
も9つの電力会社が行っている原発を統合するような時代がくるかも
しれません。

また脱原発の動きは一気に再生可能エネルギーへのシフトを加速さ
せました。再生可能エネルギーの発電コストの低下は主にCO²排出量
の多い石炭火力に大きな逆風となりました。原発に続いて火力発電
事業にも一気に冬の時代が訪れようとしています。

2015年に欧州の火力発電大手アルストムを買収したGEは受注低迷も
あり昨年電力部門で2兆4000憶円の減損を計上しました。買収から
僅か3年での減損処理は如何にこの業界への逆風が急激に強まった
蚊を物語っています。業界を取り巻く環境が激変するような事態が
発生した場合、関連銘柄への投資は最新の注意が必要になります。
発電機器を取り扱う業界にとっては福島原発事故は大きな分岐点に
なりました。

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