kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

影の部分を考える

2011-11-26 10:37:16 | 日記
光が当たる場所があれば影になる場所もある。多くの場合として日が
当たっている時には実際の何倍もの大きさに見えるように伝えられる
場合が多いように感じます。またずっと日が当たり続けるように思える。
例えば震災後の電力不足から次世代のクリーンエネルギーとして太陽
光発電の将来性が囃され関連銘柄が大きく値上がりしました。「政策に
売りなし」と言われるように全員でお神輿を担ぎました。

自然エネルギーの全量買い取り制度が来年からスタートします。太陽
光発電の市場は確実に伸びるでしょう。素直な発想なら関連銘柄の恩
恵大ということでしょうが、市場拡大→競争激化という負の部分もある
ことを忘れてはいけません。太陽光発電市場は昨年まで世界市場の
大部分を占めていた欧州で財政危機から欧州市場では成長にブレー
キがかかり政策の後押しもあり需要増の期待が持てる日本市場に世界
の太陽電池メーカーが押し寄せてきました。

円高の後押しもあり海外勢の価格は日本企業よりも2割前後安い価格
です。結果として市場は拡大しますが価格競争の激化から日本企業は
苦戦するという結果になっています。また競争激化の背景としては太
陽電池産業の参入障壁の低さに原因があります。極論を言えば製造装
置さえあればベンチャー企業でも新規参入が容易に可能なことが価格
競争に陥る原因です。

株価が上昇している間は市場の急激な拡大ばかり囃されていますが
敢えてそんな時には影の部分もよく考えなければならないことをこの
ことを教えてくれました。次世代の輸出産業として有望視された原子
力発電、また二次電池として有望視されたNAS電池などは災害や事
故で光があっという間に影に代わってしまった例はたくさんあります。
期待が大きかっただけにその後の失望も大きくなります。そんなこと
を関連企業の株価下落は教えてくれました。

飛ぶ鳥を落とす勢いだったSNSゲーム関連銘柄、DeNAが球団を買
収するというニュースから雲行きが怪しくなり7~9月期の業績の伸び
悩みで一気に熱が覚めました。当初はDeNAだけの株価下落でしたが
次第にグリーにもコナミにも広がっていきました。

欧州のソブリン危機から米国や日本の国債へ資金が逃げ込んでいる
現状はある意味今後に課題を残します。多くの投資家がリスク回避か
ら一斉に日米の国債に資金シフトすれば必要以上に国債が買われ利
回りが低下します。本来分散投資が基本ですが欧州財政危機でソブリ
ン債投資の資金が日米に必要以上に集中します。行き過ぎた利回り
低下は金利の上昇局面では債券の暴落の危険性が増します。

増して日本の財政赤字は数字的には世界でも突出して高い水準です。
にも関わらず金利が低位安定しているのはデフレのおかげと国債消化
の95%を国内の投資家で賄っているからです。また円高で海外投資
に二の足を踏んでいる機関投資家の資金の受け皿になっているからで
す。本来は投資の世界で原則としている分散投資が欧州危機で資金が
国内に還流しているためにいびつな形になっています。

多くの投資家が同じ行動をとればその時には安心かもしれませんが
もし状況が一変したらどうなるのでしょう。先進国で最も低い国債利
回り、その前提条件のひとつでも崩れてしまったら影響は大きなも
のとなるでしょう。欧州のソブリン危機があっという間に広がった
ように市場の動きはある時点から予想以上に加速します。その影も
部分も考えていかなければなりません。
コメント
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