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経営を考える7

2009年03月19日 | Weblog
業務改善
 私たちが仕事を進めている周りには、多くの業務改善手法がちりばめられている。IE(Industrial Engineering:経営工学)やVE(Value Engineering:価値工学)から、小集団活動、改善提案活動も業務改善の方策であると考えられる。また「経費節減」はどのような企業でも常日頃から合言葉のようになっているけれど、それは放っておくとコスト(製造原価や管理費)は上がり*4)、製品価格は低下する傾向にあり、収益が低下する恐れがあるためである。

 それでは、企業の多くが上手に業務改善を行ない成果を上げているかと言えば、そうでもないように感じる。その原因には、その場凌ぎのやりっ放しが多いこと。ツボを心得た改善になっていないことが上げられる。

 やりっ放しとはPDCA(Plan Do Check Action)がまわってないことである。すなわち、行った改善の成果や問題点がチェック検討されて、次のステップに移行していないことである。またツボを心得た改善になっていないとは、枝葉末節の改善に終始しているということである。枝葉末節と思われるような改善もけっして疎かには出来ないのだけれど、それで満足していては業績に貢献するような成果としては現れ難い。

 それではツボを心得た改善とは何かを考えてみる。モノづくりをしている工場を例に取りその物の流れを見ると、「加工(生産)」と「検査」と「運搬」と「停滞」、この四つに分けられることが分かる。「停滞」とは原材料、仕掛品および製品などの主に在庫を指すが、細かく言えば生産工程中での手待ち状態のことも指す。この四つの中で付加価値を生んでいる、すなわち工場からお金を生み出しているのは「加工(生産)」だけだ。他はすべてお金を生み出さないばかりかお金を食っているだけ*5)。従って「停滞」、「運搬」、「検査」この3つを順に、それらを可能な限り省いてゆくことがツボを心得た改善になる。

 加えて「加工(生産)」面では、「生産コストは設計で決まる」と言われるように「設計」段階がポイントで、機能とコストを調和させた製品設計が必要となる。ISO9000シリーズが華やかかりし頃、ISO9001による設計部門の業務の「見える化」で、部品等の共通化が図られ、コストダウンに貢献が大きかったという話を聞いた。

 従業員の自主的活動による業務改善は勿論大切であるが、ツボを心得た改善活動こそ全社で展開する必要がある。

*4)「経験曲線効果」といって、累積生産量が増大するに従い、コストが減少していくことが謂われているが、管理されない状態においては必ずしもそれは保障されるものではない。
*5)この節 西塚宏著「不良ゼロクレームゼロのための完全生産のしくみとその実践」産能大学出版部刊 参考
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