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経営を考える8

2009年03月22日 | Weblog
マーケティングとイノベーション
 「事業の目的とは顧客をつくり出すこと」とドラッカー博士の語録にある。そしてドラッカー博士は、『企業の第1の機能はマーケティングであり、マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。しかし、マーケティングだけでは企業としての成功はない。企業の第2の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。イノベーションの結果もたらされるものは、よりよい製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足である。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす』。と述べている。「イノベーションの欠如こそ既存の組織が凋落する原因である」とも言っている。*6)

 「経営を考える」時、マーケティングはイノベーションとセットになる。なぜなら企業は常に新しい製品・商品や提供方法を生み出し続けなければならないからである。イノベーションには新製品や新商品(新たなサービス)の創出と、コンビニエンスストアのような新たな業態を生み出すこと、既存の製品の新しい用途を見つけることなどがある。寒冷地で冷蔵庫は凍結防止に役に立つ。すなわち、イノベーションを追求することがマーケティングにつながって行く。 

米国GE社の当時のCEOウェルチ氏は、ソニーのトリニトロンカラーテレビの鮮明な画像を見て、テレビ事業からの撤退を決めたという。また昨年、コンビニエンスストアの売上高は百貨店を超えた。イノベーションはいつの世も市場を席捲する。乗用車も従来のガソリン車からフル電動車への転換が云々される時代となった。今からハイブリッド車開発ではすでに時代遅れの懸念がある。ゲーム機だって、ブロック崩しに始まって、1ゲーム100円のスペースインベーダーが大人気となった。当時数十万円のゲーム機を自宅に買い込んだ芸能人の話も聞いたけれど、その後間も無く、スーパーマリオで1万7千円の家庭ゲーム機が普及する。そしてウィーフィットだ。この間僅か30年。

 使い捨てカメラからデジカメに取って変わったのはこの10年。携帯電話もしかり。テレビだって、ハイビジョンなど過剰品質だと最初は思っていたけれど、今やハイビジョン機能が常識になった。フラット画面であろうがブラウン管テレビは店頭から消えた。売り方を工夫する前に商品の性能、利便性が遥かに先を行ってしまう時代。

しかし、地道なマーケティング活動を疎かにしてよい筈はなく、売れる仕組みづくりによる顧客の創出は、いつの世にも取り組むべき課題である。

*6)この節は、日本経済新聞2005年11月13日「経営学の父」その思想と人生およびP.F.ドラッカー著/上田惇生編訳<エッセンシャル版>「マネジメント」ダイヤモンド社 2001年刊を参考にしています
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