時報が鳴らなくなってしまった。
原因はこの頃の気温の低さで、時報用のメカの軸受の油分が硬くなり、このため時報メカ全体が固まって時報を打てなくなってしまったからだ。
時を刻む方のメカはずっと動いているので、軸受油はやはらかいが、時報用のメカは毎時と30分の2度しか作動しないので、低気温だと油分が固まるのだ。日が上がり気温が暖かくなればまた打つだろう。
この時計は昭和34年12月(1959)に両親が購入したもの。51年間ずっと動いていたかと言うとそうではなく、昨年車庫から引っ張り出してきて、機械部分をオーバーホール(というのは少しオーバーホール)をして稼働可能にしたもの。ついでにかすれた文字盤は廃棄してスケルトン文字盤に改良したのだ。
今の感覚からすると、非常に精度が低く一日数分の誤差がある。振り子の長さの調整でかなりの精度は期待できるのではないかと考えたが、やはりそれは無理で、原因は気温の変化による機械の伸縮だと思っている。
子供のころは最新型であったゼンマイ時計だが、その後の進歩は目覚ましく (時計だけに目覚ましい ?) シンクロナスモータを使った電気時計、水晶発振子を使ったクォーツ時計、月差15秒。今は、家の標準時計は十万年に1秒の精度の電波時計となった。この電波時計でゼンマイ時計を合わせている。
この進歩した世界を想像できたものは一人もいないだろう。昨年生まれた孫が私の年齢になったとき、どのような社会になっているのか。このことも想像すら不可能だ。
こんな話はこれからも出てきそうであるな、年寄りだから。