【今日の 修理】
16本傘と書いたが、16本は傘の骨の本数の事。今、骨の数の多い傘、ちょっと流行りだなあ。
1990年ごろにワシが連れ合いにプレゼントしたものである。
数万円した高級傘で、その値段のせいか普段の雨の日には使われていない。
雨が降ると濡れちゃうじゃん、もったいなくて、がその理由。貧乏なやつめ。
昨日は古い友人に会いに行ったので「よそ行き」のこの傘をさして行った。濡れるけども大丈夫?
ただいま、と帰ってきて、早々に「壊れたから直してほしい」。どれどれ?
柄の部分が真っ二つになっている。なんでも、どこかに掛けてあったが倒れたら二つに増えたそうだ。
高級なだけあって真正の木である証拠が現われた。プラスチックなどではないぞ。
「こうなると傘って使いづらいわ」と言う。あったりまえだ。
「接着剤でくっつかない?」 「出来るには出来るが、もう少し考えてみるよ」
再び破壊されないように丈夫に作ろう。
柄の元の方(本体の方)に直径2mmのドリルで孔を開ける。
先の部分にも孔をうがつ。こちらは2.5mmの孔
ピアノ線の在庫を見繕って、径1.7mmのをワイヤーカッターで2本取る。
錆び取りと、摩擦力(接着力)を増すために、ヤスリでピアノ線の表面を「荒らす」
取り出したのは、常備してある100円ショップで買った2液混合型のエポキシ接着剤。
これをA液、B液、同量をひねり出してよく混合して。
孔にピアノ線を差し込み、そっともう片方の先端部分を突き出たピアノ線を頼って付ける。
この時接着剤が多いと接着部分からはみ出すので、コツは、少な目にかつ両方に接着剤を塗りつけること。もちろんピアノ線が入る穴にも接着剤を入れておく。これ重要。
はい、修理終了。接着剤の実用強度はこの場合1時間/20度cなので
それまでは絶対に動かさない。これも重要。
◆断面に接着剤を塗り、そのままくっつける方法でも元通りにはなるが、次にその近辺が壊れる可能性が高い。
ワシの技術がすごいところは2本のピアノ線を芯にしたところである。2本使用したことで柄のヒネリに対して強度が増すこと。これ、2つの材料の互いの利点を利用して一つの目的にかなうようにすることを「複合材料」という。英語で「コンポジット」と言う(かしら?)。他の例えでは、鉄筋コンクリートは圧縮に強いセメントコンクリートと引っ張りに強い鉄の棒を合理的に使っているのである。普段何気なく見ている鉄筋コンクリートだが、このような力学的に理にかなった考え方をしているのであるぞ。
以上講義おわり。これは今度の期末に出すから。